2 / 31
2話 婚約破棄の報告 その1
しおりを挟む
サンセット・メジラマ侯爵との婚約破棄が決まったその日、私はマリストル伯爵家に戻り、全ての事実を伝えたのだった。その理不尽な婚約破棄の全貌を……。
「サンセット・メジラマ侯爵がそのようなことを……? ぬう、なんということだ……!」
「はい、お父様……」
お母様はこの場には居なかったけれど、お父様はと普段とは違い怒りの形相に変化していた。
「申し訳ありません、お父様……侯爵家との婚約が破棄される形になってしまって……」
「ウィンベル、お前が謝ることではないよ。メジラマ侯爵の態度は、明らかに理不尽なものだ……婚約破棄を受け入れて正解だっただろう。まあ、話を聞く限り、強制的な婚約破棄だったようだがな」
「そうですね……私が懇願したとしても意味はなかったと思います」
サンセット様の心の中では、シリス・トークン公爵令嬢との婚約が既に決まっていたはずだ。私があの状況で、婚約破棄をしないで欲しいと、どれだけ頼み込んだとしても一蹴されていただろう。
まあ、実際に決定だと言われているしね。
「メジラマ侯爵はお前と婚約破棄をした後、シリス・トークン公爵令嬢と婚約をするつもりなのだな?」
「はい、そのように言っていました」
「そうか……よりによって、シリス嬢と……」
シリス・トークン様のいらっしゃるトークン家はメジラマ家以上の家格になる。サンセット様にとって、彼女との婚約は非常に有意義でしょうね。本来なら、他の貴族から白い目で見られそうだけれど……。
「サンセット様は議会の方々とも精通しているようですので、上手く婚約を綺麗な形に持って行くのだと思われます……」
「そうであろうな……まったく、上位貴族のすることだとは思えんが……」
お父様には全面的に同意だった。非常に嘆かわしいと言うかなんというか……。
「さらにサンセット様は、婚約破棄に係る慰謝料の支払いも拒んでおります」
「うむ、それは一番の問題だな。流石の私でも慰謝料を支払わないことに関しては、許すわけにはいかんぞ。それから、しっかりとした謝罪もさせねばなるまい。なにせ、可愛い娘を侮辱させられたのだからな!」
「お父様……ありがとうございます……」
お父様の本気の怒りに、私は感謝の意を示した。家族に慰められること程、嬉しいものはないのだから。味方がいるということは、それだけで勇気に繋がる。
「例えお前が血縁上は、私達の実の娘ではないとしても……心では実の娘以上に思っているよ」
「お父様……」
マリストル伯爵家には子供が居ないのだ。私は小さい頃に養女として、この屋敷に入ることになった。
それから17歳になるまで、お父様とお母様は優しく、時には厳しく私を育ててくれた。それは実の子供に対する愛情以上だと確信出来ている。それから、お父様とお母様には、もう一人の養子がおり……。
「ウィンベル! 無事か……!?」
「ヴィクター兄さま……?」
焦った様子で入って来たのは、私のお兄様だった。ヴィクター・マリストル……マリストル家の次期当主だ。
私の様子を知っているということは、事情を知っている使用人に話を聞いたのかもしれないわね。明らかにヴィクター兄さまの反応は婚約破棄の件を知っている様子だったから……。
「サンセット・メジラマ侯爵がそのようなことを……? ぬう、なんということだ……!」
「はい、お父様……」
お母様はこの場には居なかったけれど、お父様はと普段とは違い怒りの形相に変化していた。
「申し訳ありません、お父様……侯爵家との婚約が破棄される形になってしまって……」
「ウィンベル、お前が謝ることではないよ。メジラマ侯爵の態度は、明らかに理不尽なものだ……婚約破棄を受け入れて正解だっただろう。まあ、話を聞く限り、強制的な婚約破棄だったようだがな」
「そうですね……私が懇願したとしても意味はなかったと思います」
サンセット様の心の中では、シリス・トークン公爵令嬢との婚約が既に決まっていたはずだ。私があの状況で、婚約破棄をしないで欲しいと、どれだけ頼み込んだとしても一蹴されていただろう。
まあ、実際に決定だと言われているしね。
「メジラマ侯爵はお前と婚約破棄をした後、シリス・トークン公爵令嬢と婚約をするつもりなのだな?」
「はい、そのように言っていました」
「そうか……よりによって、シリス嬢と……」
シリス・トークン様のいらっしゃるトークン家はメジラマ家以上の家格になる。サンセット様にとって、彼女との婚約は非常に有意義でしょうね。本来なら、他の貴族から白い目で見られそうだけれど……。
「サンセット様は議会の方々とも精通しているようですので、上手く婚約を綺麗な形に持って行くのだと思われます……」
「そうであろうな……まったく、上位貴族のすることだとは思えんが……」
お父様には全面的に同意だった。非常に嘆かわしいと言うかなんというか……。
「さらにサンセット様は、婚約破棄に係る慰謝料の支払いも拒んでおります」
「うむ、それは一番の問題だな。流石の私でも慰謝料を支払わないことに関しては、許すわけにはいかんぞ。それから、しっかりとした謝罪もさせねばなるまい。なにせ、可愛い娘を侮辱させられたのだからな!」
「お父様……ありがとうございます……」
お父様の本気の怒りに、私は感謝の意を示した。家族に慰められること程、嬉しいものはないのだから。味方がいるということは、それだけで勇気に繋がる。
「例えお前が血縁上は、私達の実の娘ではないとしても……心では実の娘以上に思っているよ」
「お父様……」
マリストル伯爵家には子供が居ないのだ。私は小さい頃に養女として、この屋敷に入ることになった。
それから17歳になるまで、お父様とお母様は優しく、時には厳しく私を育ててくれた。それは実の子供に対する愛情以上だと確信出来ている。それから、お父様とお母様には、もう一人の養子がおり……。
「ウィンベル! 無事か……!?」
「ヴィクター兄さま……?」
焦った様子で入って来たのは、私のお兄様だった。ヴィクター・マリストル……マリストル家の次期当主だ。
私の様子を知っているということは、事情を知っている使用人に話を聞いたのかもしれないわね。明らかにヴィクター兄さまの反応は婚約破棄の件を知っている様子だったから……。
41
あなたにおすすめの小説
(完結)あぁ、それは私の彼ではありません!
青空一夏
恋愛
腹違いの妹はなんでも欲しがる『くれくれダコス』。幼い頃はリボンにぬいぐるみ、少し成長してからは本やドレス。
そして今、ダコスが欲しがっているのは私の彼だ。
「お姉様の彼をください!」
これはなんでも欲しがる妹がどうなったかというコメディー。ありがちな設定のサラッと読める軽いざまぁ。全年齢向け。
格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう
柚木ゆず
恋愛
「アルマ・レンザ―、光栄に思え。次期侯爵様は、お前をいたく気に入っているんだ。大人しく僕のものになれ。いいな?」
最初は柔らかな物腰で交際を提案されていた、リエズン侯爵家の嫡男・バチスタ様。ですがご自身の思い通りにならないと分かるや、その態度は一変しました。
……そうなのですね。格下は格上の命令に従わないといけない、そんなルールがあると仰るのですね。
分かりました。
ではそのルールに則り、わたしの命令に従っていただきましょう。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
(完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?
青空一夏
恋愛
私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。
私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・
これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。
※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。
※途中タグの追加や削除もありえます。
※表紙は青空作成AIイラストです。
地味でつまらない私は、殿下の婚約者として相応しくなかったのではありませんか?
木山楽斗
恋愛
「君のような地味でつまらない女は僕には相応しくない」
侯爵令嬢イルセアは、婚約者である第三王子からある日そう言われて婚約破棄された。
彼は貴族には華やかさが重要であると考えており、イルセアとは正反対の派手な令嬢を婚約者として迎えることを、独断で決めたのである。
そんな彼の行動を愚かと思いながらも、イルセアは変わる必要があるとも考えていた。
第三王子の批判は真っ当なものではないと理解しながらも、一理あるものだと彼女は感じていたのである。
そこでイルセアは、兄の婚約者の手を借りて派手過ぎない程に自らを着飾った。
そして彼女は、婚約破棄されたことによって自身に降りかかってきた悪評などを覆すためにも、とある舞踏会に臨んだのだ。
その舞踏会において、イルセアは第三王子と再会することになった。
彼はイルセアのことを誰であるか知らずに、初対面として声をかけてきたのである。
意気揚々と口説いてくる第三王子に対して、イルセアは言葉を返した。
「地味でつまらない私は、殿下の婚約者として相応しくなかったのではありませんか?」と。
遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした
おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。
真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。
ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。
「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」
「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」
「…今度は、ちゃんと言葉にするから」
お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~
柚木ゆず
恋愛
今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。
お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?
ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――
聖女の私と婚約破棄? 天罰ってご存じですか?
ぽんぽこ狸
恋愛
王宮内にある小さな離宮、そこには幸運の女神の聖女であるルーシャが住んでいた。王太子の婚約者であるルーシャはその加護を王太子クリフにすべて捧げるために幼いころから離宮に隔離され暮らしている。
しかし、ある日クリフは、アンジェリカという派手な令嬢を連れてルーシャの元を訪れた。
そして彼らはルーシャの幸運の力は真っ赤な嘘で、ルーシャは聖女を騙ってクリフをだましているのだと糾弾する。
離宮でずっと怠けていて社交界にも顔を出さない怠惰なごく潰しだと言われて、婚約破棄を叩きつけられる。
そんな彼女たちにルーシャは復讐を決意して、天罰について口にするのだった。
四万文字ぐらいの小説です。強火の復讐です。サクッと読んでってください!
恋愛小説9位、女性ホットランキング2位!読者の皆様には感謝しかありません。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる