底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第4章

第39話

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第39話

「おい!おっさん!いい加減起きろよ!」


何やら遠くでグレムの声が聞こえるが、瞼が重くて目を開けられない。それで目を開けられないでいると、顔に冷たい物をかけられた。

それでようやく目を開ける事ができ、目を開けると木桶を片手に持ったグレムがいた。


「ようやく起きたか。おっさん随分と寝てたな!
もう、昼になるところだったぜ。
もう俺達はいつでも出立できるから、おっさん待ちだ。金があれば馬でも買えたけど、おっさんにそこまで甘えられねぇからな」

「え?金さえあれば馬は買えるのか?」

「あ、ああ、そりゃあ、買えるさ。
でも高いぜ?俺達みたいな身なりの者が買おうとすると足元見られるから、かなり高くなると思うぜ。それに馬が買えても馬が引く荷車は中々売って無いし、どちらにしても歩くしかないな」

「いや、グレム、馬が買えるなら直ぐに買おう!
荷車については問題ない。俺が何とかする」

「何とかってどうするんだよ。
ま、でも雇い主のおっさんがそう言うなら良いぜ。馬があれば荷物くらいは乗せれるしな。
どうする?おっさんも一緒に行くか?」

「行く。グレムに買って来て貰っても良いけど、此処に居ても仕方ないし、どんな場所で買うかも見たい」

「ああ、いいぜ。直ぐ行くから起きろよ」


寝起きで未だに寝そべったままだった俺はゆっくりと起き上がり、のそのそとグレムに付いて行く。

「おっさん!遅い!早く行こうぜ」

寝起きの状態でスタスタと先を歩いていくグレムに付いて行くのは辛いが、グレムは先に行っては俺を待つを繰り返してくれて助かった。そして、馬を買える所は意外と近くだったようで、馬小屋がチラホラと見え出した。


「ほら、着いたぜ」


グレムの立ち止まった所は馬とは縁がなさそうな小さなボロ小屋だった。
周りには馬を販売しているような店もあるのに、何故こんな所なのだろうと、小屋に入って行くグレムに続いて小屋に入ると中は薄暗く、今にも消えそうな小さなランプが一つ壁に掛かっていて、見るからに汚い親父が小屋の壁際に置かれている椅子に座り、木の枝をしゃぶりながらチョークのような物で壁に何かを書いていた。


「おう、親父!馬を買いに来たぜ」

「チッ、ウルセェのが来たな。俺は忙しいんだ。お前みたいな貧乏兵士に売る馬なんてねぇよ」

「おい親父、誰が貧乏だ!まぁ、今は確かに金ねぇけどよ。それに兵士はもう辞めたぜ。
それでこの国を出るから馬を買いに来たぜ」

「金がねぇのに買いにだと?馬鹿かオメェはよ」

「正確には俺じゃなくて、このおっさんだよ」

「あ?オメェより金が無さそうな親父連れてきてどうするんだ馬鹿が」


グレムの背後にいる俺を親父の前に出すと、金が無い親父に見られた。上半身裸の今の姿では仕方ない事だ。汚い親父はグレムに馬鹿と言った後、再び壁に向かってブツブツと言いながら再び何かを書き出した。


「おい、おっさん。金を出してくれよ。このままじゃ、あの親父こっちを見てくれもしないぜ」


グレムに言われるままに片手を前に出して、I.Bから金貨を10枚目程取り出し、壁に向かっている親父の目の前に金貨を見せてやった。


「むおぉぉ!な、なんて物を出しやがる!
おい!誰だこのおっさんは!
どっかの貴族か?オメェの仲間に身ぐるみを剥がされたのか?」

「ちげぇよ。俺の雇い主だ。
この国を出る為に馬を買いに来たんだぜ?
他の店じゃ俺達みたいな奴が馬を買いに来たとか言えば、相手にしないし、仮に金を見せても出所を探られて兵士に報告されるだけだからな。
だから親父の所に来たんだぜ」

「ふん!オメェ分かってるじゃねぇか。
まぁいい、欲しいのは何頭だ?
あまり融通がきくのがいねぇけどよ」

「おっさん、何頭買う?」

「そうだな。普通に荷車を引ければいいから二~四頭で良いと思っているよ」

「四頭か、ふん!オメェ運が良いな。
丁度用意できるのが四頭だ。それで金額は、その親父が今手にしている金貨全部だ」

「おいおいおい親父!そりゃあ足元見過ぎだろうがよ」
「ふん!嫌なら無理して買わなくても良いんだぜ。他の店で買いな」


汚い親父はニヤニヤしながら俺の持っている金貨を見つめている。そんな親父にグレムは歯軋りをして親父を睨んでいる。
俺は溜息を一息つくと、親父のチョークまみれの手を取って持っている金貨を手渡した。

「これで良いか?馬はいつ用意できる?
なるべく早く欲しいんだけど」

「へい、毎度!あ、あの早くというと?
どのくらい早くだ?ですはい」


親父に金貨を渡した瞬間、親父の態度と言葉遣いが変わった。


「できれば今日中が良いけど、無理なら徒歩で国を出る」

「いえいえいえ、大丈夫だぞ。ですはい。
今すぐにでも用意するぞ。ですはい」


小汚い親父は手に持っていたチョークを床に放り投げ、直ぐ小屋から走って出て行った。
そんな親父をポカーンとして見送った後、グレムが俺に頭を下げた。


「あんな親父初めて見たぜ。おっさん、悪かったな。余計な金を出させてしまって」

「いや良いさ。金はまだまだあるし、そのうちまた稼ぐさ。それより馬を用意するのって、どのくらい掛かるんだろうね」

「多分あの親父の急ぎようだと、そう掛からないと思うぜ。おっさん、どうする?此処で待ってるか?それとも、特に面白い物はないけどこの辺りを適当に歩くか?」

「そうだな。こんな所にいたって仕方ないし、見て回るかな。あ、そうだ。ここにギルドはあるか?」

「ギルドはこの国には無いぜ。今までは雑用は奴隷に魔物退治は兵士が戦闘用の奴隷とでやってきたからな。雑用でもそれを仕事にしている人もいるしな。おっさん、ギルドに何か依頼したかったのか?」

「いやなに、消費した分の金を稼ごうと思ったんだけど。この国には無いのか」

「は?おっさん、おっさんの服じゃギルドに入れないだろうがよ。もし入れても登録とか出来ないだろうぜ」

「グレム、俺が首から下げている首飾りが見えないのか?俺はこれでも冒険者なんだぞ」

「え?それって飾りじゃないのか?冒険者に憧れていてとかと思っていたぜ。じゃあ、その色の紫は本物でおっさんはBランクなのか?」

「お、この国にギルドはないのにランクの色をよく知っていたな。俺でも忘れかけていたのに」

「あ、ああ、そりゃあな。兵士としての遠征で偶に他所の国に行く事もあったし、俺も冒険者登録はしているんだぜ。ただし、登録だけでまだランクを上げてないんだけど」

「え?登録してるの?じゃあ、カードか首飾り持っているのか?あ、でもお前が裸の時、何も身につけてなかったよ」

「おっさん知らねぇの?カードは身体の一部に貼り付ける事が出来るんだぜ。で、使いたい時に取り出せるんだ。ほれ」


グレムは自身の服をめくって腹を見せ、腹からぺりぺりっと見覚えがあるカードを取り出した。

【グレム】
レベル10
HP80     MP10
筋力10 体力20 魔力3
敏捷度20 運10

カードにはグレムのステータスが記載されているが本当に元兵士か?そう疑いたくなるほど弱かった。

「あ?おっさんどした?」

「いや、まぁ、グレム、強く生きろよ。国を出る時、時間あれば俺が鍛えてやるよ」

「はぁ?なんで俺がおっさんに励まされなきゃいけないんだよ!鍛える?何言ってんだよ。おっさんがBランクなのも強い仲間とかがいたからだろうがよ!」

「ありゃ、怒らせてしまった。まぁ、このステータスでもゴブリンと頑張ればオークくらいは倒せるし大丈夫だな。悪かったなグレム」

「いや、ゴブリンは倒せるんだけどよ。
オークは一人じゃ無理なんだよな。て、もうこの話は止めだ止めだ!話は切り替えるぜ。おっさん、行きたい所か見てみたい物はあるか?」


グレムはギルドカードを再び自分の腹に貼り付けて、俺が行きたい場所を聞いてきたが、初めて来た場所だし、兵士に見られると厄介な事になるの間違いないだろうしで、どうしようと考えたのちグレムに付いて行く事にした。

「いや、ないよ。グレムに付いて行くからグレムの行きたい所に行ってくれよ。それで気になる事があればその都度聞くからさ」

「おっさんがそれで良いなら良いんだけどよ。
俺に付いて来ても面白くないぜ?」

「いいよいいよ。行こっか」


グレムは微笑んでいるいる俺に苦笑いして、歩き出した。

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