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3章 依存国ツィーシャ
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「兄ちゃん、ほんと助かるよ!顔が強張ってるからもっと堅いやつだと思ってたけど、良いやつだな!
2週間くらい滞在して出てくから、それまでなら値引きしてやるよ!」
「………そりゃどうも、ありがとう」
満面の笑みで感謝を伝える荷車の主に、リュークは顔を少し触りながらそう言った。
ツィーシャに着いてから、リュークが魔法で荷車を新調し、馬の脚をある程度治して彼の故郷へ送り、新しい馬を用意したことに大変感動したようだ。
男は見えなくなるまで手を振り続けて賑やかな人混みへ紛れていった。
クレアたちも男が見えなくなるまで見送ると、互いに目を合わせた。
同年代に比べると低身長なリュークとクレアの身長差はわずか7センチ。
「認識阻害でもその顔はどうにもならなかったんだね?」
「………僕の顔はいろんなところで使い勝手がいいからね」
目が合うと、どちらかがこうしてちょっかいを出すのが当たり前だ。
使い勝手がいいという言葉で片付けようとしているが、本人も少し気にしているようで、まだ顔を触っている。
身長に見合わない切長の瞳は誰かを射殺す鋭さを持ち、眉はゆるやかではなくほぼ平行で、薄い唇が冷徹さを増している。
無表情でも少し怖がられそうな顔つきだ。
「まあ、『ちびっ子』が迷子になったわけじゃなくてよかったよ。…….あぁでも、僕の助けがなかったらあそこで立ち往生だったかもね」
「だから、『ちびっ子』はやめてよ……」
意趣返しをされたクレアはリュークの脇腹を小突いた。
いつものように大袈裟によろけて、痛そうなふりをして、また目が合うと、今度は笑い合った。
月日は経てど覚えている。
二人以外誰も知らない合言葉みたいに、いつものやり取りをして笑い合っている。
一生できないと、見られない思っていた光景が目の前で繰り広げられていることに、奇跡を感じるとともに、喜びが溢れて仕方がない。
「場所を移そうか」
口角の上がった表情で、リュークは嬉しそうに提案して、クレアの手を取った。
そうして指を鳴らすと、賑やかな街並みから一変して暖かなログハウスへと場所が移った。
すぐ近くの窓を見ると、足跡ひとつない積もり積もった雪が広がり、遠くにたくさんの建物が見える。
丘の上にひとつ建つ小さなログハウス、と言ったところだ。
リュークの方を向くと、認識阻害を解いて、見慣れた風貌── 漆黒の髪と黄金色の瞳──に戻っていた。
クレアは安心してフードを脱ぐと、結んでいた髪を一度下ろして、また高いところで結び直した。
その間にリュークがお茶と座る席を用意してくれて、クレアは結び直してすぐにリュークと向かいになるように座った。
「色々と話すことがあるけど、何から話そうか」
リュークの優しい笑みにクレアは鼻の奥がつんとした。
そう、話すことがたくさんある。さっきは笑い合っていたけれど、これから話せば話すほど、笑顔はなくなるんじゃないかと思うと怖くてたまらない。
クレアはまだ自分のことを話す勇気がなかった。
「………ごめん、リュークの話から聞かせてもらってもいいかな?今まで何があったのか」
「……僕の?別に構わないけど……あまり面白くないと思うよ」
そう言ったリュークの表情はクレアとよく似ていた。
酷なことをしたと、クレアは少し後悔した。
2週間くらい滞在して出てくから、それまでなら値引きしてやるよ!」
「………そりゃどうも、ありがとう」
満面の笑みで感謝を伝える荷車の主に、リュークは顔を少し触りながらそう言った。
ツィーシャに着いてから、リュークが魔法で荷車を新調し、馬の脚をある程度治して彼の故郷へ送り、新しい馬を用意したことに大変感動したようだ。
男は見えなくなるまで手を振り続けて賑やかな人混みへ紛れていった。
クレアたちも男が見えなくなるまで見送ると、互いに目を合わせた。
同年代に比べると低身長なリュークとクレアの身長差はわずか7センチ。
「認識阻害でもその顔はどうにもならなかったんだね?」
「………僕の顔はいろんなところで使い勝手がいいからね」
目が合うと、どちらかがこうしてちょっかいを出すのが当たり前だ。
使い勝手がいいという言葉で片付けようとしているが、本人も少し気にしているようで、まだ顔を触っている。
身長に見合わない切長の瞳は誰かを射殺す鋭さを持ち、眉はゆるやかではなくほぼ平行で、薄い唇が冷徹さを増している。
無表情でも少し怖がられそうな顔つきだ。
「まあ、『ちびっ子』が迷子になったわけじゃなくてよかったよ。…….あぁでも、僕の助けがなかったらあそこで立ち往生だったかもね」
「だから、『ちびっ子』はやめてよ……」
意趣返しをされたクレアはリュークの脇腹を小突いた。
いつものように大袈裟によろけて、痛そうなふりをして、また目が合うと、今度は笑い合った。
月日は経てど覚えている。
二人以外誰も知らない合言葉みたいに、いつものやり取りをして笑い合っている。
一生できないと、見られない思っていた光景が目の前で繰り広げられていることに、奇跡を感じるとともに、喜びが溢れて仕方がない。
「場所を移そうか」
口角の上がった表情で、リュークは嬉しそうに提案して、クレアの手を取った。
そうして指を鳴らすと、賑やかな街並みから一変して暖かなログハウスへと場所が移った。
すぐ近くの窓を見ると、足跡ひとつない積もり積もった雪が広がり、遠くにたくさんの建物が見える。
丘の上にひとつ建つ小さなログハウス、と言ったところだ。
リュークの方を向くと、認識阻害を解いて、見慣れた風貌── 漆黒の髪と黄金色の瞳──に戻っていた。
クレアは安心してフードを脱ぐと、結んでいた髪を一度下ろして、また高いところで結び直した。
その間にリュークがお茶と座る席を用意してくれて、クレアは結び直してすぐにリュークと向かいになるように座った。
「色々と話すことがあるけど、何から話そうか」
リュークの優しい笑みにクレアは鼻の奥がつんとした。
そう、話すことがたくさんある。さっきは笑い合っていたけれど、これから話せば話すほど、笑顔はなくなるんじゃないかと思うと怖くてたまらない。
クレアはまだ自分のことを話す勇気がなかった。
「………ごめん、リュークの話から聞かせてもらってもいいかな?今まで何があったのか」
「……僕の?別に構わないけど……あまり面白くないと思うよ」
そう言ったリュークの表情はクレアとよく似ていた。
酷なことをしたと、クレアは少し後悔した。
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