モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第一部:都市国家アドポリスの冒険 1

第2話 追放は新たなる旅立ち その2

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「あのー。もしやあなたが、マーナガルム?」

『わふーん?』

 でっかいモフモフが、笑ったような顔になる。
 そして、首を傾げた。

 うーん。
 かわいい。

 そしてどういうことだろうか。
 俺を襲う気配がない。

 ここで俺はハッとする。

 マーナガルムがでかいモフモフ犬だとしよう。
 モフモフ犬はモフモフしている。
 俺はモフモフテイマーだ。

 つまり……。

「俺は君をテイムできるんだな!」

『わふわふ』

「よし、テイムだっ!!」

 ようやく痺れも取れてきて、俺はマーナガルムに向けて手を伸ばした。
 そしてハッとする。

「テイムってどうやるんだっけ」

 俺はこれまで、一匹のモンスターもテイムしたことがない。
 というのも、ショーナウン・ウィンドの冒険する場所は、どこもかしこもモフモフモンスターがいない場所だったからだ。

 実地で練習できなかったのだ。
 
「むーん、むーん」

 やり方が分からなくて唸っていると、マーナガルムは口をパカーっと広げた。
 凄く笑ってるような顔になる。
 そして、舌がにゅーっと伸びてきて俺の手のひらをペロッと舐めた。

「おひょー」

 手のひらがベトベトになってしまった。
 だが、俺がその事を気にする暇はなかった。

『わふーん』

 マーナガルムは鼻を鳴らすと、俺の目の前で伏せの姿勢になったのだ。
 こ、これは……!?

「テイムされている……!?」

『わふ』

 マーナガルムが尻尾を振った。
 これはどうやら、俺を主として認めたらしい。

 恐る恐る近づいて、でかいマーナガルムの鼻に触ってみた。
 しっとりしている。

『わふ』

 おっ、ちょっと嫌がってる。

「ごめんごめん、鼻には触らないよ。よーしよし、いい子だなあ」

 俺はマーナガルムの首をよじ登り、背中から首にかけて全身で抱きついた。
 手のひらで、もふもふした毛をわしゃわしゃする。

『わふふ』

 おお、喜んでる喜んでる。
 マーナガルムの大きさは、雄の牛くらい。
 まあ、とんでもなくでかい犬だ。

 この気が優しそうなモンスターが、SSランクだって言うのか?

 目の前にしていながら、とても信じられない。
 しかもそれを俺がテイムしたのだ。

「マーナガルム、進めー」

『わん』

 立ち上がったマーナガルムが、トコトコ歩く。

「伏せ!」

『わふん』

「お手」

 俺が差し出した手に、マーナガルムは器用に前足を伸ばし、ぽふんと触った。

「おおー! いい子いい子いい子! よーしよしよしよし」

 わしゃわしゃ撫でたら、マーナガルムが鼻をすぴすぴ鳴らして喜んだ。

 ま、いいか!
 こいつ可愛いし!

 俺もモンスターをテイムできたことだし、いっぱしの冒険者になれた気がする。
 だが、もうSランクパーティに戻る気はないな。

 あんなひどいことを言う奴らとは一緒にやっていられない。
 俺は孤高を貫き、モフモフの道を行く……!

「よーし、それじゃあ森の外に行くぞマーナガルム! ……いちいちその名前で呼ぶのも長いよな。よし、名前をつける」

『わん』

「えーと、白い毛皮だから、シロ……は安直だし。ホワイト、もまんまだし。よし、お前はブランだ! これも白って意味だけどな」

『わんわん!』

 気に入ったらしい。
 いや、いつもこいつは笑ってるような顔をしてるから、本心は分からないんだけど。

 そう思ったら、ブランは俺をぺいっと地面に落として、めちゃくちゃに舐めてきた。
 うわあー! 全身べとべとだあ。
 だけど、猛烈に喜んでるのはわかるぞ!

「うおお、だけど犬くさいーっ!!」

 こうして、俺と魔犬ブランのふたり旅が始まったのだ。
 

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