モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

文字の大きさ
66 / 173
第二部:神都ラグナスの冒険 2

第57話 ラグナス観光 その2

しおりを挟む
 通された大教会の中。
 なるほど、通路は広く長い。
 床は驚くほど平坦で、歩いているとむしろ足を痛めてしまいそうだ。

 俺達はセグウォークに乗り、司祭が案内するままに運ばれて行った。

 途中、驚くような光景を何度も目にする。
 大教会に務める職員や僧侶たちが、人間ばかりではなかったことだ。

「おっきい岩みたいなひとがいるですよ!」

「彼……彼女かな? トロールだね。あちらはエルフだし、むこうで書類の山を運んでいるのはゴブリンだ。多彩な種族が勤めているんですね」

 俺の言葉に、司祭は深く頷いた。

「これも、ラグナの神の思し召しです。全ての種族は、共に同じ世界を生きることが宿命付けられている。故に、別け隔てなくラグナの教えを受け、実行し、この世界を生きていくのだと。隣国のセントロー王国にはまだまだ愚かな差別が残っておりますが、それらはイリアノスにおいて、解決された問題なのですよ」

「へえ……」

 大したものだ。
 確かに、街なかは様々な種族が行き交っていたように思う。
 ごく近い距離で、人間と魔族と思われる人がすれ違っていたし、俺達を乗せてきてくれた船の船長はオーガだった。

 そういう寛容さがあるからこそ、ブランとドレが普通に大教会に入れるんだろうな。
 二匹とも、セグウォークを楽しそうに扱っている。

『わふん?』

『ブラン、こいつはなかなかだにゃ。自在に動くにゃ』

 ドレが普通に喋ってるけど、大丈夫かな。
 気にかけさせないようにこっちから話を振るか。

「アドポリスではまだまだ、そこまで考え方を変えていけませんね」

「本来、それが当たり前なのです。だからこそ、同じ神を頂く、という条件の平等が必要になるわけですよ。ラグナの神の下、我らは皆等しく信者なのです」

「凄いなあ……!」

「その代わり等しく教会税が課されますので。冒険者の方々にももちろん」

「辛いなあ……」

 いいことばかりじゃないな!
 教会税に対する怒りとか嫌気とか憤りで、種族を越えた絆があったりするとか聞くと、もう笑ってしまう。
 これもラグナ新教は意図してやってるのかね。

 そして俺達は、フランチェスコ枢機卿の部屋に通された。

 扉は魔法じかけらしい。

「フランチェスコ猊下、使者の方々をお連れしました」

『通したまえ』

 扉が開く。
 その奥には、動きやすそうな格好をした男が立っていた。

 金色の髪を眉の上で切りそろえた、いわゆる僧侶カット。
 年齢はよく分からないが、目つきが鋭い。

「あとは私が対応する。君は職務に戻りたまえ」

「はっ。では失礼いたします、猊下」

 この男がフランチェスコか。

「どうも。アドポリスから使者として来ました、モフライダーズです。俺はそのリーダーのオース」

「噂は聞いている。あちらの教会からも報告は来ているのでね。まさか、教会の下に魔法陣があったとは……。現地の者達はなんとずさんな仕事をしていたのだ」

 おお、ちょっと怒っている。

「ああ、こちらの話だ。気にしないでくれたまえ。では親書を受け取ろう。そして宝剣も」

「どうぞ」

 親書を受け取ると、彼は封をはがして中身を確認した。

「確かに。そして宝剣も間違いないものだ。この剣は、実は君達にも関わりがあるものでね」

「俺達に?」

「うむ。オース、君が破壊したという魔法陣は、魔王を呼ぶものだったと言う。あれは正確には違う。魔王は魔法陣などなしに出現し、それ単体で世界を変えた。あれが降り立ったときに人の世界は終わり、人は人ならざる者とともに生きねばならなくなったのだ。……あの魔法陣は、魔王が現れた時の状況を調べたものが、それを再現するために作ったのだろう。全く、とんでもない代物だ。そしてこの宝剣が、魔王の使っていた剣の欠片なのだよ」

「へえ……そんなとんでもないものを運んでたんですか、俺達は」

「そうなる。世界から、ラグナ新教が回収しているものだ。今の世の中に、余計な争乱など起こすわけにはいかないからな」

 それだけ告げると、フランチェスコは俺達を見回した。

「ご苦労だった。アドポリスが使者として選出する冒険者というのだから、君達こそがあの国の最高の冒険者なのだろう。こちらも、それ相応の報酬は用意する。だが……そういった金を出すためには手続きがあってな。済まないが、しばらく神都観光でもして金が出るのを待っていて欲しい」

「ああ、そういう……」

 どこも大変だ。
 だが、フランチェスコが見た目よりも話しやすい人間で、安心した。
 俺達はこれで、任された仕事も終えた。
 神都観光と洒落込もうかな。

「それから。君達が優秀な冒険者だと言うなら、私からも依頼が行くかも知れない。連絡が取りやすいよう、こちらが用意した宿に泊まってくれたまえ。ラグナスは治安の比較的良い都市だが、それでも事件や犯罪は起こる。モンスターだって入り込んで来ようとするのだ。冒険者の仕事の種は尽きないからね。ギルドにも顔を出しておくといい」

「なんか、いたれりつくせりですね。ありがとうございます」

「実力者には敬意を払う。それだけだ。では、帰っていいぞ」

「失礼します」

 そう言う事になって、枢機卿の部屋を後にする俺達なのだった。
 扉が締まった瞬間、カイルとファルクスが盛大に溜息をついた。

「うひいいい、なんて圧迫感だあの男。あいつ、すげえ使い手っすよ。全然隙がねえ。なんでラグナ新教のトップにあんなとんでもないのがいるんだ」

「フランチェスコ枢機卿、噂通りの方でしたなあ……。あの方、もう記録に残る限り、数百年以上あのままの姿らしいですぞ。まあ、代替わりはしてるのでしょうが」

「ははは、みんな大げさだなあ」

「ぷいー、クルミはとってもきんちょうしたです!」

 そう言えばクルミは静かだったな。
 気がついたら、俺の手をギュッと握っていた。

「みんな、お疲れ。やっぱり偉い人と会うと緊張するよね。大教会を出たら、打ち上げと行こう! それから紹介された宿に行って、しばらくは観光を楽しもうじゃないか」

 俺が宣言すると、みんな口々に快哉を上げる。

 どうやら神都にしばらく滞在することになりそうだし、この機会に色々見て回るのが良さそうだな。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

処理中です...