モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

文字の大きさ
65 / 173
第二部:神都ラグナスの冒険 2

第56話 ラグナス観光 その1

しおりを挟む
 まずは、引き受けた仕事を果たすとしよう。
 魔剣と親書を届ける。
 これが、アドポリスのギルドマスターから引き受けた仕事だ。

 神都ラグナスは大きい。
 大きいが、アドポリスの首都と面積だけならどっこいどっこいだろう。
 そこに、ぎっしりと建物が詰まっているから広く感じる。

「はー、どこまで行っても家やら教会やらで、どんだけ人が住んでるんだ……」

 カイルが呆然としている。

「ふむ、神都の都民として登録されている者だけで、十万人に及ぶと言われておりますな。登録は教会で行われますから、無登録者は教会に通わないような者達です。そんな人間も一万人ほどいますな。つまり……」

「十一万!?」

「?」

 吟遊詩人ファルクスの説明に、驚くカイルと、首を傾げるクルミ。

「センセエ、じゅういちまんってなんですか?」

「数だねえ。この街にいる人の数」

「ほえー。それって、クルミの村よりも多いですか?」

「多いねえ。クルミの村に住んでる人の数を、さらに森にある木の数くらいまで増やしただけの人がここには住んでるんだ」

「ほえー? ?」

 あまりにも数の桁が大きすぎて分からないようだ。
 クルミが数えられる数は、一度に二十一までである。

 両手両足の指の数だからね。
 あと尻尾か。

 ゼロ族は、狩りと採集で生きている種族だ。
 なので、管理するという概念があまりない。

 多く木の実が採集できた時は、土の中に埋めておく。
 そしてその場所を忘れて、そこから木が生えてきたり。

 まんまリスだね。
 それでも、人間と交流して、珍しい木の実と人間社会の物資などを物々交換してはいるようだ。
 なので、クルミもちょっとは人間社会のことが分かる。

「たくさんあることは分かったです! それで、やっぱりこのたくさんのおうちは、上にのぼったりしたらだめですか?」

「ダメだねえ」

「ざんねんです」

 ちょっとしょんぼりした。
 船では、マストに登ると誉められていたので、木登りが存分にできる村の時のことを思い出したのかも知れない。

「でも、仕事を引き受けたら、屋根の上にのぼって良くなるかもしれないよ。まずは届け物を片付けて、この街で仕事を受けてみよう!」

「はいです!」

 クルミが元気よく返事をした。

『わふん』

 ブランが、こんな都会で屋根に登る必要がある仕事ってなんだろうね、なんて言ってくる。

「そうだなあ。迷子の猫探しとか?」

『にゃ? 街なかで迷子になるにゃか? 都会の猫は軟弱にゃ』

 ブランの頭の上に鎮座したドレが、上から目線だ。

「ドレはラグナスでも迷わない自信があるのかい?」

『そりゃもちろん──』

 ドレはきょろきょろと、ラグナスを見回した。
 広い。
 そして所狭しと建物が立ち並び、多くの人々が行き交う。

 特徴的なのは、都市の中心にあるあの大きな尖塔かな。
 神都ラグナスを収める、法王の住む大教会だ。

『迷うにゃ』

「だよね」

『迷っても己は強く生きていくにゃ』

「そうかー」

 別の方向の話になってきたな。
 これには、クルミもカイルもファルクスも笑った。
 ファルクスの懐から出てきたロッキーも笑っている。

『鳥ー! 何を笑っているにゃー!』

『ピョイー』

 ドレが前足を振り上げて威嚇したら、ロッキーが翼を広げて対抗した。
 これは煽ってる。
 なかなかいい性格の小鳥だ。

 ぶらぶらと街なかを歩き続け、目指すは大教会。
 とても目立つし、広い道は全て大教会に通じているので、気がついたら目の前だ。

 ここに来て分かったのだが、ラグナスの中にもたくさんの運河がある。
 大教会周りは運河に囲まれており、さながら水に浮かぶ城のようにも見えた。

 運河には門が設けられ、万一賊がやって来ても簡単には入れないようになっている。
 ……だとしても、大通りがまっすぐ過ぎないか?
 戦争が起こって、相手の国がその気になったら、簡単に大教会まで攻めて来れるじゃないか。

 まるで、この大教会はダミーみたいな扱いだな。
 本当に国にとって重要なものは、隠されているとか。

 まさかね。

 大教会入り口であろう、巨大な橋の前。
 立派な服装に身を包み、ハルバートを手にした門番が複数人。

「あのー。アドポリスからの親書を持ってきたんですが」

 門番がじろりと俺を見た。
 そして、親書を目にする。

 今は、筒状になった上に蝋で封がされている。

「お待ち下さい」

 門番の中でも偉いらしい人物がそう告げると、橋の奥に向かって走っていった。
 ……走っていった? なんか、妙なものに乗ってる。
 二輪の車輪が横についた台座に乗り、台座は絶妙にバランスを保ちながらウィーンと走っていく。
 なんだあれ。

 待つことしばし。

「こないですねー」

 クルミが飽きてきた頃、ようやく大教会に動きがあった。
 二輪の台座に乗って、何人もの司祭がやって来たのだ。
 だからなんなんだ、あれ。

「ありゃなんだ」

「あれなんです?」

 カイルもクルミも分からない。
 俺だってもちろん分からない。

「魔力を使って走る、自走車輪セグウォークですな。屋内や凸凹が少ない場所しか走れませんが、大教会は広い上に司祭はローブが邪魔で移動が大変なため、普及しているようですぞ。この国の富豪も家の中用として活用しているはずですな」

 さすがファルクス、詳しい。
 だけど、セグウォーク。
 あれに乗って集団でやって来る様は、なんともユーモラスだ。

「親書を持ってきたと聞いたが」

 偉いらしい司祭が尋ねてきたので、俺は「これです」と親書を提示する。
 司祭は親書に向けて、むにゃむにゃと呪文を唱えた。

 彼の頭上から、ピカッと光りが降り注ぐ。
 神聖魔法を使ったみたいだな。

「ああ、間違いありませんな。これは失礼しました。どうやらあの宝剣も持っていらっしゃるご様子……」

 確証が取れたようで、司祭は丁寧な態度になった。
 そして、司祭は空を仰いだ。

「あ、これはこれはフランチェスコ猊下。え? は、はい。彼らを通せと。あ、はい。今すぐお連れします」

 司祭が俺達に向き直る。

「ただいま、フランチェスコ枢機卿から連絡がありましてな。法王聖下はご多忙ゆえ、代わりに会うと」

「フランチェスコ枢機卿は、法王聖下に次ぐ地位にあるお方ですよ。これは凄い」

 ファルクスの解説がありがたい。
 つまり俺達、この国の偉人に直接会うわけだな。
 まあ、確かに俺達はアドポリスからの使者だし、そう言う扱いもありうるか。

「じゃあ、会います。あの、それでブランとドレを連れて行っても?」

「あー」

 司祭が、うちの犬と猫を見て難しい顔をした。
 すると、すぐにどこからかそのフランチェスコ枢機卿からお告げがあったらしい。

「あっ、構わないそうです。どうぞどうぞ」

 かくして。
 人数分のセグウォークを用意され、俺達はなんとも不思議な乗り物で大教会に入っていくのだった。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく
ファンタジー
 異世界でドッペルゲンガーとして転生した、しがないサラリーマン古木海(ふるき かい)は、意外な事に魔王軍の中で順調に出世していた。  しかし順調であった筈の彼の生活は、あっさりと崩壊してしまう。  中央の魔王軍から辺境のど田舎へと追放されてしまった彼は、しかしそこで自らの天職とも言える立場を手に入れる。  ダンジョンマスターとしてダンジョンを運営し、こっそりと冒険者を強化することで人類を滅びの危機から救いたい彼は、恐ろしい部下達の目を盗みながら彼らの味方をしていく。  しかしそれらの行動は何故かいつも思いも寄らぬ方向へと転がっていき、その度に彼らは周りからの評価を高めていってしまう。  これは戦闘能力が皆無の主人公が、強大な力を秘める部下と恐ろしい上司の板ばさみに苦しめられながら、影から人類を救済していく物語。  毎週水・土 20:10更新です。  この作品は「小説家になろう」様にも投降されています。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

処理中です...