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第二部:神都ラグナスの冒険 3
第62話 下水の動物さらい その1
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神都ラグナスの冒険者ギルドは大きい。
どれくらい大きいかと言うと、アドポリスのギルドの倍くらいある建物に、三倍くらいの人数の冒険者が詰めかけていた。
どうやら、仕事の報酬を受け取る時間帯だったようだ。
そう言えばもうすぐ夕方だな。
俺達は外側から、それをのんびりと眺めていた。
ふと、メンバーが欠けていることに気付く。
「ドレがいないな……!」
「あっ、ほんとです! どこいったですかねえ?」
クルミがキョロキョロした。
「猫は気まぐれって言いますからね。それにドレはモンスター猫じゃないっすか。きっとすぐ戻ってくるっすよ」
カイルに言われてみればそんな気がする。
ここはのんびり待つとしよう。
ちなみに、待つ間も暇ではなかった。
なぜなら、うちにはファルクスがいるからだ。
「どれ、待機時間に一曲やりましょう。ははは、わたくしめの歌をタダで聞けるなんて、パーティ特権ですぞ」
彼はニコニコしながら、ぽろんとリュートを鳴らした。
報酬を受け取った後らしい冒険者が、ハッとしてこっちを見る。
ファルクスがウィンクする。
「冒険者の皆々様がた! 懐が暖かくなっている頃合いではございませんかな? ここは一つ、ギルドのバーでエールを引っ掛けつつ、このわたくしめ、ファルクスの戯曲でもいかがでしょう!」
うおー、とか、ヒューッ!と歓声が上がった。
「いいぞ吟遊詩人ー!」
「あれ? あいつ戯曲作家ファルクスじゃね?」
「あ! 毎回危険な仕事をするパーティに潜り込んでやべえ現場行って、必ず何曲か作って帰ってくるやつか!」
「ファルクスの歌が聞けるなんてなあ」
おや。
ファルクスは結構な有名人らしい。
「オースさん、俺、なんかこう、不穏な言葉を聞いた気がするんすけど。毎回危険な仕事をするパーティにって」
「ははは。俺達の仕事も何気に危険極まりないからね」
「そりゃそうっすけどー」
「センセエがいるからだいじょうぶです! カイルもがんばるですよ!」
「へえへえ」
そしてファルクスが歌い出した。
俺達は無料で聞けるけど、他の冒険者からはおひねりを要求するらしい。
しっかりしてるなあ。
そうこうしているうちに、冒険者の行列はサクサクと捌かれていって、すぐにギルドのカウンターが空いた。
そこには、何人かの受付さんが並んでいる。
リーダー格らしい受付は、エルフの受付嬢だ。
「お待ちの方どうぞ。この時間は新規のお仕事受注はできませんがよろしいですか?」
「はい。挨拶に来たんです。あ、これ俺達パーティのバッジです」
「照合します」
エルフの受付嬢が、手慣れた感じで妙な魔道具を取り出してきた。
それをバッジに当てて、メンバーを確認する。
「Cランクパーティ、モフライダーズ確認しました。司祭アリサは一時脱退。新たに吟遊詩人ファルクスを加えたのですね。……Sランクがリーダーで、Aランクが二人もいて、テイムされた分類不明モンスターが二体いるのにCランク……?」
受付嬢が、解せぬ、という顔をする。
「クルミがまだDランクなもので」
「あ、ああ、そうでした。ランク詐欺もいいところですよこれ。そうそう、彼女はスカイキラー討伐の達成で、イレギュラーですがCランク冒険者へ上がる条件を満たしました。この場でランクアップをしておきますね」
「やったですー!!」
クルミが拳を天に突き上げた。
「おめでとう、クルミ!」
「クルミ、あっという間にCランクかあ! やるなあ」
『わふん』
俺達に誉められて、クルミがニコニコする。
すると、周囲の冒険者もわっと盛り上がった。
「なんだ、ちっこいのがCランクかよ!」
「へえーやるじゃん」
「ここからが本番だぜえ! 気合い入れていけよちっこいの!」
「尻尾モフモフ……」
いかん、尻尾を狙ってるお姉さんがいる。
とりあえず、周りからも祝福されて、クルミは満面の笑顔になった。
「いいところですねえ、ラグナス!」
「そうだねえ」
「こほん! こほん!」
おっと、受付嬢を忘れてた。
「では、彼女、クルミさんがCランクになりましたので、モフライダーズのランクをBまで上げますね。それでもランク詐欺なんですが……。クルミさんがAランクになるまで、パーティはBで固定です。よろしいですね」
「はい。ありがとうございます」
外のギルドに来て分かったけど、このバッジって俺達の状況が記録されてるんだな。
アドポリスにはそれを確認する設備が無いだけだったのかも知れない。
あるいは、気づかないように確認してたとか?
俺達の詳細な情報が、バッジには記録されていた。
これは下手なことはできないなあ。
ああ、そう言えば。
「あの、気になる話を聞いたんですが」
「なんです? 仕事の受注はできませんよ」
受付嬢、既に帰り支度を始めている。
彼らの私物、受付カウンターの中に入れてあるんだな……!
「ペットの動物がさらわれてるとか」
「ああ、それですか。本来ならEからDランクの依頼なのですが、受付開始から一ヶ月が経過してもまだ誰もこの依頼を達成できないんですよね……。被害は次々出ていて、飼い主の方々からの抗議も多くて困っているところです。ほんと、こんな依頼受理するんじゃなかったわ……」
ぶつぶつ言ってる。
「明日の朝になれば受注できます? それ、俺達がやろうと思ってるんですけど」
「あなたがたが!? Bランクパーティじゃないですか!」
「でも、EやDランクパーティじゃ解決できなかったでしょう。それに、俺にはこの仕事をクリアする理由があるんですよ」
「理由……と言うと?」
「俺は、モフモフテイマーなんで」
俺の答えに、エルフの受付嬢は大変納得したような顔をしたのである。
どれくらい大きいかと言うと、アドポリスのギルドの倍くらいある建物に、三倍くらいの人数の冒険者が詰めかけていた。
どうやら、仕事の報酬を受け取る時間帯だったようだ。
そう言えばもうすぐ夕方だな。
俺達は外側から、それをのんびりと眺めていた。
ふと、メンバーが欠けていることに気付く。
「ドレがいないな……!」
「あっ、ほんとです! どこいったですかねえ?」
クルミがキョロキョロした。
「猫は気まぐれって言いますからね。それにドレはモンスター猫じゃないっすか。きっとすぐ戻ってくるっすよ」
カイルに言われてみればそんな気がする。
ここはのんびり待つとしよう。
ちなみに、待つ間も暇ではなかった。
なぜなら、うちにはファルクスがいるからだ。
「どれ、待機時間に一曲やりましょう。ははは、わたくしめの歌をタダで聞けるなんて、パーティ特権ですぞ」
彼はニコニコしながら、ぽろんとリュートを鳴らした。
報酬を受け取った後らしい冒険者が、ハッとしてこっちを見る。
ファルクスがウィンクする。
「冒険者の皆々様がた! 懐が暖かくなっている頃合いではございませんかな? ここは一つ、ギルドのバーでエールを引っ掛けつつ、このわたくしめ、ファルクスの戯曲でもいかがでしょう!」
うおー、とか、ヒューッ!と歓声が上がった。
「いいぞ吟遊詩人ー!」
「あれ? あいつ戯曲作家ファルクスじゃね?」
「あ! 毎回危険な仕事をするパーティに潜り込んでやべえ現場行って、必ず何曲か作って帰ってくるやつか!」
「ファルクスの歌が聞けるなんてなあ」
おや。
ファルクスは結構な有名人らしい。
「オースさん、俺、なんかこう、不穏な言葉を聞いた気がするんすけど。毎回危険な仕事をするパーティにって」
「ははは。俺達の仕事も何気に危険極まりないからね」
「そりゃそうっすけどー」
「センセエがいるからだいじょうぶです! カイルもがんばるですよ!」
「へえへえ」
そしてファルクスが歌い出した。
俺達は無料で聞けるけど、他の冒険者からはおひねりを要求するらしい。
しっかりしてるなあ。
そうこうしているうちに、冒険者の行列はサクサクと捌かれていって、すぐにギルドのカウンターが空いた。
そこには、何人かの受付さんが並んでいる。
リーダー格らしい受付は、エルフの受付嬢だ。
「お待ちの方どうぞ。この時間は新規のお仕事受注はできませんがよろしいですか?」
「はい。挨拶に来たんです。あ、これ俺達パーティのバッジです」
「照合します」
エルフの受付嬢が、手慣れた感じで妙な魔道具を取り出してきた。
それをバッジに当てて、メンバーを確認する。
「Cランクパーティ、モフライダーズ確認しました。司祭アリサは一時脱退。新たに吟遊詩人ファルクスを加えたのですね。……Sランクがリーダーで、Aランクが二人もいて、テイムされた分類不明モンスターが二体いるのにCランク……?」
受付嬢が、解せぬ、という顔をする。
「クルミがまだDランクなもので」
「あ、ああ、そうでした。ランク詐欺もいいところですよこれ。そうそう、彼女はスカイキラー討伐の達成で、イレギュラーですがCランク冒険者へ上がる条件を満たしました。この場でランクアップをしておきますね」
「やったですー!!」
クルミが拳を天に突き上げた。
「おめでとう、クルミ!」
「クルミ、あっという間にCランクかあ! やるなあ」
『わふん』
俺達に誉められて、クルミがニコニコする。
すると、周囲の冒険者もわっと盛り上がった。
「なんだ、ちっこいのがCランクかよ!」
「へえーやるじゃん」
「ここからが本番だぜえ! 気合い入れていけよちっこいの!」
「尻尾モフモフ……」
いかん、尻尾を狙ってるお姉さんがいる。
とりあえず、周りからも祝福されて、クルミは満面の笑顔になった。
「いいところですねえ、ラグナス!」
「そうだねえ」
「こほん! こほん!」
おっと、受付嬢を忘れてた。
「では、彼女、クルミさんがCランクになりましたので、モフライダーズのランクをBまで上げますね。それでもランク詐欺なんですが……。クルミさんがAランクになるまで、パーティはBで固定です。よろしいですね」
「はい。ありがとうございます」
外のギルドに来て分かったけど、このバッジって俺達の状況が記録されてるんだな。
アドポリスにはそれを確認する設備が無いだけだったのかも知れない。
あるいは、気づかないように確認してたとか?
俺達の詳細な情報が、バッジには記録されていた。
これは下手なことはできないなあ。
ああ、そう言えば。
「あの、気になる話を聞いたんですが」
「なんです? 仕事の受注はできませんよ」
受付嬢、既に帰り支度を始めている。
彼らの私物、受付カウンターの中に入れてあるんだな……!
「ペットの動物がさらわれてるとか」
「ああ、それですか。本来ならEからDランクの依頼なのですが、受付開始から一ヶ月が経過してもまだ誰もこの依頼を達成できないんですよね……。被害は次々出ていて、飼い主の方々からの抗議も多くて困っているところです。ほんと、こんな依頼受理するんじゃなかったわ……」
ぶつぶつ言ってる。
「明日の朝になれば受注できます? それ、俺達がやろうと思ってるんですけど」
「あなたがたが!? Bランクパーティじゃないですか!」
「でも、EやDランクパーティじゃ解決できなかったでしょう。それに、俺にはこの仕事をクリアする理由があるんですよ」
「理由……と言うと?」
「俺は、モフモフテイマーなんで」
俺の答えに、エルフの受付嬢は大変納得したような顔をしたのである。
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