モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

文字の大きさ
71 / 173
第二部:神都ラグナスの冒険 3

第62話 下水の動物さらい その1

しおりを挟む
 神都ラグナスの冒険者ギルドは大きい。
 どれくらい大きいかと言うと、アドポリスのギルドの倍くらいある建物に、三倍くらいの人数の冒険者が詰めかけていた。

 どうやら、仕事の報酬を受け取る時間帯だったようだ。
 そう言えばもうすぐ夕方だな。

 俺達は外側から、それをのんびりと眺めていた。
 ふと、メンバーが欠けていることに気付く。

「ドレがいないな……!」

「あっ、ほんとです! どこいったですかねえ?」

 クルミがキョロキョロした。

「猫は気まぐれって言いますからね。それにドレはモンスター猫じゃないっすか。きっとすぐ戻ってくるっすよ」

 カイルに言われてみればそんな気がする。
 ここはのんびり待つとしよう。

 ちなみに、待つ間も暇ではなかった。
 なぜなら、うちにはファルクスがいるからだ。

「どれ、待機時間に一曲やりましょう。ははは、わたくしめの歌をタダで聞けるなんて、パーティ特権ですぞ」

 彼はニコニコしながら、ぽろんとリュートを鳴らした。
 報酬を受け取った後らしい冒険者が、ハッとしてこっちを見る。

 ファルクスがウィンクする。

「冒険者の皆々様がた! 懐が暖かくなっている頃合いではございませんかな? ここは一つ、ギルドのバーでエールを引っ掛けつつ、このわたくしめ、ファルクスの戯曲でもいかがでしょう!」

 うおー、とか、ヒューッ!と歓声が上がった。

「いいぞ吟遊詩人ー!」

「あれ? あいつ戯曲作家ファルクスじゃね?」

「あ! 毎回危険な仕事をするパーティに潜り込んでやべえ現場行って、必ず何曲か作って帰ってくるやつか!」

「ファルクスの歌が聞けるなんてなあ」

 おや。
 ファルクスは結構な有名人らしい。

「オースさん、俺、なんかこう、不穏な言葉を聞いた気がするんすけど。毎回危険な仕事をするパーティにって」

「ははは。俺達の仕事も何気に危険極まりないからね」

「そりゃそうっすけどー」

「センセエがいるからだいじょうぶです! カイルもがんばるですよ!」

「へえへえ」

 そしてファルクスが歌い出した。
 俺達は無料で聞けるけど、他の冒険者からはおひねりを要求するらしい。
 しっかりしてるなあ。

 そうこうしているうちに、冒険者の行列はサクサクと捌かれていって、すぐにギルドのカウンターが空いた。
 そこには、何人かの受付さんが並んでいる。

 リーダー格らしい受付は、エルフの受付嬢だ。

「お待ちの方どうぞ。この時間は新規のお仕事受注はできませんがよろしいですか?」

「はい。挨拶に来たんです。あ、これ俺達パーティのバッジです」

「照合します」

 エルフの受付嬢が、手慣れた感じで妙な魔道具を取り出してきた。
 それをバッジに当てて、メンバーを確認する。

「Cランクパーティ、モフライダーズ確認しました。司祭アリサは一時脱退。新たに吟遊詩人ファルクスを加えたのですね。……Sランクがリーダーで、Aランクが二人もいて、テイムされた分類不明モンスターが二体いるのにCランク……?」

 受付嬢が、解せぬ、という顔をする。

「クルミがまだDランクなもので」

「あ、ああ、そうでした。ランク詐欺もいいところですよこれ。そうそう、彼女はスカイキラー討伐の達成で、イレギュラーですがCランク冒険者へ上がる条件を満たしました。この場でランクアップをしておきますね」

「やったですー!!」

 クルミが拳を天に突き上げた。

「おめでとう、クルミ!」

「クルミ、あっという間にCランクかあ! やるなあ」

『わふん』

 俺達に誉められて、クルミがニコニコする。
 すると、周囲の冒険者もわっと盛り上がった。

「なんだ、ちっこいのがCランクかよ!」

「へえーやるじゃん」

「ここからが本番だぜえ! 気合い入れていけよちっこいの!」

「尻尾モフモフ……」

 いかん、尻尾を狙ってるお姉さんがいる。
 とりあえず、周りからも祝福されて、クルミは満面の笑顔になった。

「いいところですねえ、ラグナス!」

「そうだねえ」

「こほん! こほん!」

 おっと、受付嬢を忘れてた。

「では、彼女、クルミさんがCランクになりましたので、モフライダーズのランクをBまで上げますね。それでもランク詐欺なんですが……。クルミさんがAランクになるまで、パーティはBで固定です。よろしいですね」

「はい。ありがとうございます」

 外のギルドに来て分かったけど、このバッジって俺達の状況が記録されてるんだな。
 アドポリスにはそれを確認する設備が無いだけだったのかも知れない。
 あるいは、気づかないように確認してたとか?

 俺達の詳細な情報が、バッジには記録されていた。
 これは下手なことはできないなあ。

 ああ、そう言えば。

「あの、気になる話を聞いたんですが」

「なんです? 仕事の受注はできませんよ」

 受付嬢、既に帰り支度を始めている。
 彼らの私物、受付カウンターの中に入れてあるんだな……!

「ペットの動物がさらわれてるとか」

「ああ、それですか。本来ならEからDランクの依頼なのですが、受付開始から一ヶ月が経過してもまだ誰もこの依頼を達成できないんですよね……。被害は次々出ていて、飼い主の方々からの抗議も多くて困っているところです。ほんと、こんな依頼受理するんじゃなかったわ……」

 ぶつぶつ言ってる。

「明日の朝になれば受注できます? それ、俺達がやろうと思ってるんですけど」

「あなたがたが!? Bランクパーティじゃないですか!」

「でも、EやDランクパーティじゃ解決できなかったでしょう。それに、俺にはこの仕事をクリアする理由があるんですよ」

「理由……と言うと?」

「俺は、モフモフテイマーなんで」

 俺の答えに、エルフの受付嬢は大変納得したような顔をしたのである。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

処理中です...