モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第二部:神都ラグナスの冒険 3

第66話 下水の動物さらい その5

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 扉の鍵穴は、タイルのようなもので隠されていた。
 すぐに見つけ出して、検分する。

「魔法はかかってないみたいだね」

「なんすかオースさん、その虫眼鏡」

「魔法がかかってるかどうかを判別する道具。魔力を感じるとね、うっすら光って見えるんだ」

「すげえ!」

「だけどこうやって間近にならないと分からない。ぼやけちゃうからね」

「……使えるんだか使えないんだか……」

「こうやって使える状況に持っていくのが冒険者の腕だよ。さて、鍵穴をチェックだ。うん、罠はないね」

 鍵の構造は極めて単純。
 俺は鍵開けツールを取り出し、それでカチャカチャと作業を始めた。

 そもそも、ここまで人が入ってくる前提ではなかったのかも知れない。
 キメラを乗り越えた後の備えがおざなりだ。

「はい、開いた」

 ガチャンと音がした。

「おおー! センセエすごいですー!! クルミもやってみたいです!」

「クルミの適性はレンジャーだからなあ。鍵開けは地味にコツコツ、練習するしかないよ。よし、今度鍵開け練習キットを買ってあげよう。あれは盗賊ギルドに顔出ししないといけなくて、それなりの上納金がね」

「オースさん! オースさん! 今はそんな話してる場合じゃないっしょ!」

 カイルに突っ込まれてハッとする。そうだった。
 いけないいけない。
 そっと扉を開ける。

 金属製のそこそこ分厚い扉を、下水の壁面に似せて塗装してたらしい。
 音を立てないようにしても、ギギギっ扉がきしむ。

 その奥から、光が漏れてきた。

「おや、これは正解でしたな」

 扉の中の光景を見たファルクスがつぶやく。
 全くその通り。

 屋内にはあちこちに、小型の檻が設置されている。
 その中には、さらわれてきたのであろう動物達が。

 そして、部屋の半分は妙な魔法装置とでもいうべきもので埋まっていた。

 装置をいじっていた男たちが、ぎょっとした顔でこちらを見ている。

「よし、それじゃあ確保!」

 俺が宣言すると、仲間達がうおーっと咆哮をあげた。

 屋内の男達も、慌ててナイフや棒を取り出すが、明らかに戦いのプロではない。
 飛び込んだカイルが、彼らを次々に叩き伏せていく。

「おらあっ!」

「ウグワーッ」

「ウグワーッ」

 まとめて二人がなぎ倒され、目を回したようだ。
 クルミもせっせとスリングを振り回し、近寄ろうとする男達を倒している。

「屋内でスリングっウグワーッ」

「な、なんて命中率ウグワーッ」

「これはあっという間に終わりそうだぞ」

 俺は戦いを仲間達に任せ、魔法装置に歩み寄った。

「これは……。ううん、俺の知識ではちょっと知らない装置だな。でも、動物達をどうこうするものなのだろうか。それにしては、動物は無事なようだし……」

「そうですな。この装置はおそらく、動物に何かをとりつけるものですぞ。宝石などを加工する道具を、大型化したような仕組みをしております」

 ファルクスが詳しそうだ。
 彼の指差す先には、今正に、尻尾に何かを取り付けられようとしている子犬が、キャンキャン鳴いていた。

「今助けるからね!」

 俺が触れると、子犬はすぐに大人しくなった。
 モフモフしてるからね。

 そして、子犬を挟み込んでいた器具を外して解放する。
 檻も次々と解放し、犬や猫や小鳥が自由になっていく。

「犬や猫に取り付けるということは……。もしかして、何か細工をした上で飼い主のところに戻そうとしてたんだろうか? 詳しい事情は彼らから聞けそうだ」

 既に、犯人の一団は一人残らず床に転がっていた。
 うん、一人も死んでないな?

「手加減バッチリだね」

「そりゃあもう」

「狭いところだといりょくが出ないですねえー」

「クルミ、威力を出したらだめなところだね、ここは」

「そうだったですか!」

 良かった……!
 クルミ、全力だったよ……!

 この辺りは後で教えていこう。
 さてさて、辺りをざっと見回す。

 すると、小鳥達が天井に取り付こうとしているじゃないか。
 犬猫は、下水のひどい臭いですっかり弱っている。
 なんとかしてあげたいが……。

『ピョイー』

 すると、ファルクスの懐からロッキーが飛び立った。
 天井の一部に、コツコツっと嘴を当てている。

 他の小鳥達と同じ動作を……。
 これはつまり……?

 俺は指先を舐めて、頭上に向けて突き立てた。
 上から……風を感じる。

「抜け穴だ。恐らく、そこが神都と通じる出入り口の一つだぞ」

 下水を出入りしてたら、体に臭いがついてしまうもんな。
 常に下水の臭いがする人間なんて、目立って仕方がない。

「ブラン!」

『わふ!』

 真っ白な巨体が、宙に跳ね上がった。
 マーナガルムは小鳥達を、そっと優しく右の前足で横に寄せると、残る左の前足で天井をパンチした。

 ものすごい音がする。
 そして、叩いた箇所がきれいな円形を描いてすっぽ抜け、吹き飛んでいった。

 そこは……どう見ても地下室だ。
 神都ラグナスに住む何者かの家が、この下水の密室に繋がっていたのだ。

 そうと分かれば話が早い。

「こんなこともあろうかと、リュックにフック付きロープがあってね」

「センセエのリュック、なんでもでてくるですねー」

 備えあれば憂いなし。
 軽く振り回してから、フックを投げつける。
 一発で、抜け穴のヘリに引っかかった。

 俺達は、これを伝って脱出する。
 動物達は、ブランがせっせと運んでくれた。

『わふん』

「わんわん!」

「にゃあにゃあ!」

 おお、ブランが動物達に慕われている。
 心温まる光景だ。
 そして、この動物達をひどい目に合わせた黒幕への怒りが沸いてくるな。

 俺は奮然としながら、地下室を抜けた。
 地下室からの扉は、やはり単純な錠がされていた。
 これを即座に解除。
 地上へと躍り出る。

「う、う、うわああ、なんだ君はあ!」

 そこには、明らかに地位の高そうな服装をした男がいたのだった。
 なるほど、犯罪組織と繋がっている大富豪というわけか。

「よーし、みんな! 確保ーっ!」

 怒涛の勢いで、事件は決着することになるのだ。
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