モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第二部:神都ラグナスの冒険 6

第82話 追跡! 神都包囲網 その5

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『ここにゃー』

 ドレの肉球が、ぺちりと地図の一角を叩いた。
 彼はただの猫ではない。

 この世界の外側からやって来た、クァールという特殊なモンスターだ。
 世界の外は空も陸も無く、どこまでもふわふわ浮かぶ空間が広がっているのだそうで、そこを旅してきたドレには高い空間認識能力があるのである。

 ということで、地図の位置把握は完璧……らしい。

「ドレ、前足で地図が隠れてるからね」

 ちょいっとつまんで彼の前足をどける。

『ちゅちゅーっ』

 するとローズが走ってきて、ドレの前足があったところに、小さくて短い前足をぺちっと乗せた。
 大変かわいい。

「ローズもどいてね」

 ひょいっとつまむと、ローズがじたばたした。

「しかしドレも、いつの間にローズと仲良くなったんだい?」

『戦いの中で友情を育んだにゃ。具体的には、ネズミ食べるよりも人間が用意したミルクとか肉の方が絶対美味いにゃ。こいつに手を出す理由がないにゃ』

『ちゅっちゅ』

 ローズがふんふん頷いているが、これは絶対にドレの言葉の意味が分かってないな。
 多分、ローズはカーバンクルとしても子どもだろうし。

『わふわふ』

「ブランがローズ担当なのかい? 世話をかけるねえ」

『わふん』

 なるほど、ブラン的には、ローズはタイプが近いモンスターだと感じ取れるらしい。だから、遠い甥っ子みたいなイメージで親しみが持てるとか。

『この犬、どっちにせよ面倒見がいいにゃ。だからちゃんと面倒を見て、己にこのネズミがくっついてくるのを阻止してほしいにゃ』

『ちゅちゅーい』

『わふん』

 うちのモフモフ達が、わちゃわちゃともみ合いだした。

『うーわー! やめるにゃー! もっとやれっていうフリじゃないにゃー!』

「あわわ、モフモフ天国……! あわわわわ」

 アリサが震えながら、ブラン達の方向へよろよろ歩いてきた。
 彼女はしばらく使い物にならないな……!

「ふむ、この位置ですな」

 ファルクスが、ドレの指し示した位置にピンを刺す。
 そこは……正に、灯台下暗しとしか言えない場所だった。

 まさかこんなところに忘却派のアジトがあったなんて。

 そこは大教会の目と鼻の先。
 大通りに面した、家々の立ち並ぶ一角だったのだ。

「この区画にアジトがあるということかな。いや、まさか、この区画そのものがアジトだったり……?」

「ありえますな。ラグナとザクサーンの反目は千年以上続いておりますぞ。何十年も前から敵地に潜伏し、企みごとを行うなど日常的なことでありましょう」

「なるほど。恐ろしいなあ」

「それにこの一角、各地を巡る商人達の宿もありますからな。ほれ、ここがウィスコン商会と言いまして、アドポリス側からこのラグナまでの商売でそこそこ名の知れた商人のグループですな」

「それがまるごと、ザクサーン忘却派の被り物だったと。うわ、本当に怖いな。でも最近になって、急に彼らがあからさまな活動をするようになったのはどうしてだろうね」

「それはもちろん」

 ファルクスが意味ありげに俺を見た。
 クルミが横から元気よく飛び出してくる。

「センセエですね!! クルミわかっちゃったです!」

 ファルクスが口をパクパクさせた。
 そして悲しげな顔になる。

「クルミ殿……こう……わたくしめが大切に育てて育てた話題をですね。結論からさらっていくのはご勘弁願いたいですぞ……」

「んー?」

 その辺りの微妙なニュアンスはクルミには伝わらないと思うなあ。

「ええと、つまり俺がアドポリスで、色々大暴れをしたからそれが彼らの刺激になったと?」

「はい。何らかの目的を持って、ショーナウン・ウインドや他のパーティなどにも間諜を入り込ませ、企んでいたのだと思いますな。だがそれが、アドポリスの大事件で駄目になってしまった。特に、首謀者らしきアストラルの妻、ファレナを潜り込ませていたショーナウン・ウインドは本命だったのでしょうなあ」

「言われてみればそうだよなあ……」

「結果的に、全てを解決したオース殿は、ザクサーン忘却派からすると最大の障害と映ったのでしょう。これを排除するか懐柔するかで、今回は懐柔に動いたと。ま、オース殿はかの枢機卿と繋がっておりますからな。穏当な選択です」

 この話を、横でふんふん言いながら聞いてたクルミ。

「むずかしいことは分かんないですけど、やっぱしセンセエはすごいですねえ」

 おっ、訳知り顔でそれっぽい事を言っている。
 クルミが背伸びをするようになったんだなあ。
 難しい会話についてこようとしてるぞ。

 微笑ましい。

「クルミは賢いな」

「ほんとですか!? むふふ、クルミはかしこいです!」

「会議の最中にいちゃつくのはどうかと思いますぞ」

 そんな話をしていたら、向こうでアリサがぴょーんと飛び跳ねた。

「え、ええーっ!? ほ、本当ですかお師様ーっ!?」

 そして、モフモフの前だと言うのに、真っ青になってこちらへ戻ってくる。

「たたたた、大変ですわ」

「どうしたんだい」

「お師様、正式なルートでアルマース帝国に抗議を入れたのですが」

「ついこの間のことだよね。文書が向こうに届くまでまだまだあるでしょ」

「そうなのですけれど、ザクサーン教のトップもわたくしたちと同じ通信魔法が使えるので」

「ああ、なるほど! 便利だなあ……」

「ザクサーン教協調派の重鎮が、すぐにでもラグナスに来ると……」

「なんと!!」

 それは驚くなと言う方が無理な話題だ。

「急な話だね。だけど、恐ろしくフットワークが軽い。神都ラグナスに、ラグナとザクサーンのトップクラスの人が揃ってしまうことになる訳だね」

「そうなりますわ。つまりこれって……忘却派を誘い出す餌みたいなのを意識してるのかなと」

 確かに。
 忘却派にとっての標的みたいなのが、一度に揃うのだ。
 動かないわけにはいかないだろう。

 フランチェスコ枢機卿、決める気だな。
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