モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

文字の大きさ
126 / 173
第三部:セントロー王国の冒険 6

第117話 王都オートローでの出会い その4

しおりを挟む
「アルブレヒトでは長いだろう。俺と親しいものは略してアルディと呼ぶ。お前達もそう呼ぶがいい」

「オースさん、なんですのこいつ」

 こらアリサ、初対面の人を指差しちゃいけません。
 図書館から外に出て、アリサ達と合流したのだった。

 アルブレヒト、略してアルディを見て、アリサが訝しげな顔をしている。

「さるお方から紹介されたんだ。ちょうど国を出るつもりだったから、俺達について外に出ていくんだってさ」

「ふうん……。わたくし達、アドポリスではSランクくらいの実力を持ったパーティだったのですわよ? あなたがついてこれますかしらねえ」

 小姑みたいなこと言うな。

「俺は強いぞ」

 さらっと答えるアルディ。

「どれくらいですの?」

「セントロー王国最強だ」

「は?」

 でかく出たので、アリサがぽかんとした。
 俺もちょっと驚いた。

「だがな……。セントロー王国は平和なんだ。最強でも出番はない。そして俺の嫌いな事務仕事を、辺境伯である間はやり続けねばならん。幸い、俺には妻も子もなく、身軽な立場だ。こうして爵位を返上して一介のアルブレヒトになり、外に出ることも今のセントロー王国では許される」

「今、辺境伯って言いませんでした?」

 アリサが戦慄した。

「オースさん、また変な人を連れてきて……! 今までで一番変な人じゃないですの!! 所作を見るに辺境伯は言い過ぎとしても、間違いなく生まれがいい人ですわよこの人!」

「ははは、さる偉い人から頼まれてねえ」

 まさか、国王直々の頼みだとは思うまい。

「アルディ! おもしろいところに案内してくださいですよ!」

「よしきた。行くぞクルミ」

 なぜか意気投合してしまっているクルミとアルディ。
 観光するためにトコトコ歩き出した。

「ほら、気さくな人だろ」

「オースさんはそういうところ構わな過ぎるのですわよ!!」

 アルディは賢者の塔へ案内してくれると言うから、ワクワクだ。
 俺も鼻歌交じりで彼の後に続く。

『わふ』

『そうにゃあ。あののっぽ、本当に強いにゃ。なんで人間の枠に収まってるのかさっぱりだにゃ』

『わふん』

『はあー、平和になり過ぎるのも考えものだにゃあ。あれだけの力をどこにも使えないとか拷問にゃ。己はお昼寝して暮らすけどにゃ』

 モフモフ達の見解では、アルディの強さは本物らしいな。
 今の彼は、腰から剣をぶら下げている。

 王都の中では基本的に、武器を抜くことは許されない。
 しっかりと封印した上で、使用しない誓いを立てねばならないそうだ。

 アルディの剣もまた、封印されていた。
 あちこち肉抜きのある、変わった鞘に剣が収まっている。
 その刃の中ほどに、どうも見たことがある輝きがあった。

 あれ、確か……俺達がラグナスに届けた魔王関係の虹色の欠片と同じものじゃないのか?
 虹色の欠片がついた剣を装備する男、アルブレヒト。
 何気に魔王の関係者だったりしてな。

「ここが賢者の塔だ」

「なんだって!? うおおおお、高い! そして入り口からも漂ってくる古い紙の匂い! 本物だ!!」

 俺の理性が消し飛んだ。

「オースさんが一瞬でミーハーになりましたわ!!」

「センセエはこういうとこ大好きなんですねえ」

「中は基本的に関係者以外立ち入り禁止だな。貴重な研究資料なんかがあるらしいが……まあ、その研究資料が市場に流出してな」

「なんだって」

「不良賢者どもの小遣い稼ぎのせいで、賢者の塔の権威は失墜だ。それをある意味立て直したのが、ビブリオス男爵ことジーンだったわけだ。あいつが賢者の塔出身だったから、国民から賢者の塔を潰せという意見が出なかった」

「恐ろしいことになっていたんだな」

 俺達がビブリオス男爵領でやりあった賢者達が、まさしくその不良賢者達だった。
 確かにあんな、既にあるものを奪って成果にしようとするような品性では、賢者としてもろくなものではあるまい。
 開拓記に書いてあったビブリオス男爵のあり方こそ賢者だ。

 俺もかくありたい。

「それでな、陛下が大改革をやった。あの方、執政とかはまあまあ下手くそでな。大臣に全部任せてるくらいだ。だが、こと、学問や文化へのこだわりだけは誰にも負けない。陛下直々に指揮をとり、不良賢者を強権で全員クビにした。その後、残った賢者に弟子を取らせて新たな賢者の育成を始めているってわけだ。まあ、あと十年は育成期間だな」

「大改革をしたんだなあ……」

「ってことで、基本的に関係者以外立ち入り禁止なんだが、入館料を払うと臨時関係者になれて中を見学できるぞ。行くか?」

「行くに決まってる」

 俺は即答した。
 なんという杜撰な入館システムだろう。
 いや、それくらい、運営資金に困窮しているのかもしれない。

 確かに、入館料は高かった。
 高級宿一泊分くらいあるだろう。
 だがそれだけの価値はあるぞ、これは。

「おしろに入るみたいですねえー」

 クルミが塔の中をキョロキョロしながら歩いている。
 賢者の塔は、大きな螺旋階段が中央にあり、これを取り巻くようにして賢者達の研究室が点在している作りだった。
 ちなみに一階が広くなっており、そこに管理室や会議室などが設けられてるとのことである。

 賢者の塔は驚くべきことになんと十一階建て。
 上の階ほど力を持った賢者が住んでいると言う……のだが。

 うん、年をとって階段を上り下りするのが大変なので、ご高齢の賢者……つまりは実績のある賢者達は大体二階に住んでいる。
 トイレも三階までしか無いからね。

 なので、今は五階から上は展望室みたいな状態になっているのだそうだ。
 不良賢者が追い出されて、すっかり賢者の塔はガランとしてしまったようだ。

「センセエ、これはなんですか?」

「あ、なんだろうなあ。説明書きがある。魔力を込めると、自動で上下する籠だって。これに乗って、螺旋階段の中央を上に行ったり下に行ったりできるんだね」

 なるほど、階段を使わなくてもいいわけか。
 これは便利だ。
 人数は三人まで乗れるそうなので、俺とクルミとアルディが乗り込んだ。

「では、いざ最上階へ!」

 籠に設置された水晶球があり、これに触れながら念じる。
 すると、籠がするする上がり始めた。

『あっ、これなんか楽しそうだにゃ。アリサ、次は己といっしょに乗るにゃ』

「いいですわよ!」

『わふん』

 ブランが、僕は重量オーバーになるから階段でいいかなあ、なんて言うのだった。
 
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

処理中です...