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フィフスエレ帝国跡編
第133話 襲撃・スコルピオ・騎乗戦
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侵入、フィフスエレ帝国。
この間はいきなりマンティコアがやって来たのに、侵入してしばらく進んでも何も出てこない。
「反応はないですねえー」
御者台で、ナルカの隣に腰掛けたルミイ。
精霊の力を借りて周辺を調べている。
ノーリスクで半径500mくらい調べられるらしい。
その凄まじい力をこれまで使ってもらったことが無かった気がするな……?
「マナビさんはどんどん先に行っちゃうから、ゆっくり魔法をする暇が無かったんですよー。それにわたしが運転してたじゃないですか」
「そう言えばそうだった」
ルミイとしては、先にどんな危険があるかも知れないのに、どんどん突き進んで次々に危険を撃破する俺はすごい男に見えていたようである。
ここで好感度を稼いでいたのだな。
お陰で今はよい関係である。
「またたまにルミイに運転させよう……」
「わたし、もう嫌ですからね!?」
断られてしまった。
「それにしても……誰も襲撃してこないというのは、フィフスエレが混乱しているのが分かるねえ。こいつら、魔法の警備網を敷いてたんだよ。だから誰かが侵入するとすぐ分かったんだ。これが働いていないことになる」
ナルカは不思議そうだ。
だが、その答えは簡単。
「魔力の星が落ちたんだ。警備網を維持できないくらいまで、帝国の魔力量が減ったんだろ」
「ああ、そっか!」
納得するナルカ。
神聖魔法が飛び交うセブンセンスでは実感し辛いが、魔力の星からの魔力供給が途絶えれば、魔法使いたちは魔法を使えなくなるのだ。
「あっ、魔獣の群れが寄ってきたみたいです。これなんでしょうね? アンドロスコルピオの軍隊? なんか槍の先についてますよ」
「なんだなんだ」
ルミイが曖昧な物言いをするなあ。
「ええとですね。槍の先に……人の生首ですね。魔法使いたちに反逆を起こしてやっちゃったみたいです。あひー、怖い! あと、5mくらいの大型個体も混じってます。こっちに気づいて襲ってくるみたいですよ!」
「オッケーオッケー。来るって分かれば怖くない。どーれ、接敵する頃合いに合わせてチュートリアル、行ってみよう。今回は護衛戦だ」
チュートリアルモードが発動する。
その中で動けるのは、ルミイとカオルンの二人。
これ、俺が選別することもできるが、どうやら自動で必要なメンバーを選定する機能もついてるらしい。
今回のナルカは御者に専念してもらった方がいいというわけだな。
「ふむふむ、チュートリアルは久々なのだなー。敵は強いのだ?」
「強いというかややこしい。アンドロスコルピオがあちこちから、包囲しつつ襲ってくるだろう」
「なるほどなのだ! じゃあ、上はカオルンが引き受けるのだ! 横はルミイの魔法でどうにかなるのだ」
「俺は前方担当だな。カオルンも戦術を考えるようになってきたのか。成長したなあ」
「えへへ、マナビの奥さんとして、カオルンもいつまでも自分が自分がじゃいけないと思ったのだ!」
「カオルンが成長してます!! わたしの地位が揺らぎます~」
「ルミイは独自の立場を確立しているから問題ないんじゃないか……?」
そういうことで、ミッション開始。
荷馬車軍団の速度は、時速4キロほど。
のんびりのたのた歩く。
馬車に乗り切れない人やアンデッドは同じ速度でついてくる。
二時間ごとくらいに休憩を入れて、一日の移動はおよそ六時間。
俺が早歩きで先行し、先にいる敵を倒したりもまあまあできる。
だが、ここはせっかくだから……。
「乗馬で戦ってみよう」
そういうことになった。
ネクタイブレードを伸ばすと、いい感じのリーチになる。
そして馬車を引いていた馬の中で、ちっちゃめのを一頭拝借。
これをチュートリアルに引き込んだ。
よく見たらゾンビホースじゃん。
「ゾンビホースよ。信者たちのこのキャラバンを守るために力を貸してもらうぞ。言葉分かる?」
「ぶるる」
おっ、通じる通じる。
アンデッドとなることに同意した馬だから、もともとルサルカ教団に対しての忠誠心とか帰属意識が強いやつなのだ。
この共同体にいかなる危機が迫っているのかを説明したら、すぐ理解してくれた。
俺は彼の背中に鞍をつけてまたがる。
何度か、チュートリアルの中でチュートリアルをして、走らせられるようになった。
馬の方が俺に合わせてくれているとも言う。
ちなみに、彼の名前はルサルカラバーとか言うらしい。
競馬か。
略してラバーと呼ばれてたらしいので、俺もそう呼ぶ。
「ラバー、ひたすら前進だ。敵が出てくるぞ」
「ひひーん!」
ゾンビ化しているので、生前よりも速度は落ちているラバー。
だが、恐怖心が消えているから何が起きても絶対に動じない。
勇ましさ全開で突っ走るラバーなのだ。
そんな眼前に出現する、大型アンドロスコルピオ。
腕まで四本あり、三本の斧を振り回し、巨大な盾で攻撃をガードする。
進行方向の木を切り倒しながら突き進んできたようだ。
なんと森に優しくない魔獣だ。
俺はラバーを走らせながら、アンドロスコルピオの攻撃を見極める。
斧はタイミングを合わせれば、ネクタイブレードでいなせる。
初速が乗り切らないうちなら、力が籠もっていても全く怖くないな。
相手の動きを見切り、弱点を確認し、スコルピオに飛び乗って倒す、と。
そこからラバーに戻る。
よしよし。
ラバーも、俺が降りやすい位置に移動してくれる。
超賢い馬じゃん。ゾンビだけど。
アンデッド化するとルサルカの眷属となるため、自由行動を許される時は仮の頭脳みたいなのが与えられるらしい。
これによって、獣のアンデッドであっても人間と同じような思考をする。
ラバーにとって、俺はルサルカ教団を守り、導く頼れる仲間なのだそうだ。
だから彼は、俺をサポートするために全力を尽くす。
有能!
連続して出現する大型アンドロスコルピオを、ラバーとのコンビでどんどん撃破。
ついに森が途切れるところまでキャラバンを誘導できた……というところで、チュートリアルは終了となった。
よーし、始めての騎乗戦、本番行ってみよう!
この間はいきなりマンティコアがやって来たのに、侵入してしばらく進んでも何も出てこない。
「反応はないですねえー」
御者台で、ナルカの隣に腰掛けたルミイ。
精霊の力を借りて周辺を調べている。
ノーリスクで半径500mくらい調べられるらしい。
その凄まじい力をこれまで使ってもらったことが無かった気がするな……?
「マナビさんはどんどん先に行っちゃうから、ゆっくり魔法をする暇が無かったんですよー。それにわたしが運転してたじゃないですか」
「そう言えばそうだった」
ルミイとしては、先にどんな危険があるかも知れないのに、どんどん突き進んで次々に危険を撃破する俺はすごい男に見えていたようである。
ここで好感度を稼いでいたのだな。
お陰で今はよい関係である。
「またたまにルミイに運転させよう……」
「わたし、もう嫌ですからね!?」
断られてしまった。
「それにしても……誰も襲撃してこないというのは、フィフスエレが混乱しているのが分かるねえ。こいつら、魔法の警備網を敷いてたんだよ。だから誰かが侵入するとすぐ分かったんだ。これが働いていないことになる」
ナルカは不思議そうだ。
だが、その答えは簡単。
「魔力の星が落ちたんだ。警備網を維持できないくらいまで、帝国の魔力量が減ったんだろ」
「ああ、そっか!」
納得するナルカ。
神聖魔法が飛び交うセブンセンスでは実感し辛いが、魔力の星からの魔力供給が途絶えれば、魔法使いたちは魔法を使えなくなるのだ。
「あっ、魔獣の群れが寄ってきたみたいです。これなんでしょうね? アンドロスコルピオの軍隊? なんか槍の先についてますよ」
「なんだなんだ」
ルミイが曖昧な物言いをするなあ。
「ええとですね。槍の先に……人の生首ですね。魔法使いたちに反逆を起こしてやっちゃったみたいです。あひー、怖い! あと、5mくらいの大型個体も混じってます。こっちに気づいて襲ってくるみたいですよ!」
「オッケーオッケー。来るって分かれば怖くない。どーれ、接敵する頃合いに合わせてチュートリアル、行ってみよう。今回は護衛戦だ」
チュートリアルモードが発動する。
その中で動けるのは、ルミイとカオルンの二人。
これ、俺が選別することもできるが、どうやら自動で必要なメンバーを選定する機能もついてるらしい。
今回のナルカは御者に専念してもらった方がいいというわけだな。
「ふむふむ、チュートリアルは久々なのだなー。敵は強いのだ?」
「強いというかややこしい。アンドロスコルピオがあちこちから、包囲しつつ襲ってくるだろう」
「なるほどなのだ! じゃあ、上はカオルンが引き受けるのだ! 横はルミイの魔法でどうにかなるのだ」
「俺は前方担当だな。カオルンも戦術を考えるようになってきたのか。成長したなあ」
「えへへ、マナビの奥さんとして、カオルンもいつまでも自分が自分がじゃいけないと思ったのだ!」
「カオルンが成長してます!! わたしの地位が揺らぎます~」
「ルミイは独自の立場を確立しているから問題ないんじゃないか……?」
そういうことで、ミッション開始。
荷馬車軍団の速度は、時速4キロほど。
のんびりのたのた歩く。
馬車に乗り切れない人やアンデッドは同じ速度でついてくる。
二時間ごとくらいに休憩を入れて、一日の移動はおよそ六時間。
俺が早歩きで先行し、先にいる敵を倒したりもまあまあできる。
だが、ここはせっかくだから……。
「乗馬で戦ってみよう」
そういうことになった。
ネクタイブレードを伸ばすと、いい感じのリーチになる。
そして馬車を引いていた馬の中で、ちっちゃめのを一頭拝借。
これをチュートリアルに引き込んだ。
よく見たらゾンビホースじゃん。
「ゾンビホースよ。信者たちのこのキャラバンを守るために力を貸してもらうぞ。言葉分かる?」
「ぶるる」
おっ、通じる通じる。
アンデッドとなることに同意した馬だから、もともとルサルカ教団に対しての忠誠心とか帰属意識が強いやつなのだ。
この共同体にいかなる危機が迫っているのかを説明したら、すぐ理解してくれた。
俺は彼の背中に鞍をつけてまたがる。
何度か、チュートリアルの中でチュートリアルをして、走らせられるようになった。
馬の方が俺に合わせてくれているとも言う。
ちなみに、彼の名前はルサルカラバーとか言うらしい。
競馬か。
略してラバーと呼ばれてたらしいので、俺もそう呼ぶ。
「ラバー、ひたすら前進だ。敵が出てくるぞ」
「ひひーん!」
ゾンビ化しているので、生前よりも速度は落ちているラバー。
だが、恐怖心が消えているから何が起きても絶対に動じない。
勇ましさ全開で突っ走るラバーなのだ。
そんな眼前に出現する、大型アンドロスコルピオ。
腕まで四本あり、三本の斧を振り回し、巨大な盾で攻撃をガードする。
進行方向の木を切り倒しながら突き進んできたようだ。
なんと森に優しくない魔獣だ。
俺はラバーを走らせながら、アンドロスコルピオの攻撃を見極める。
斧はタイミングを合わせれば、ネクタイブレードでいなせる。
初速が乗り切らないうちなら、力が籠もっていても全く怖くないな。
相手の動きを見切り、弱点を確認し、スコルピオに飛び乗って倒す、と。
そこからラバーに戻る。
よしよし。
ラバーも、俺が降りやすい位置に移動してくれる。
超賢い馬じゃん。ゾンビだけど。
アンデッド化するとルサルカの眷属となるため、自由行動を許される時は仮の頭脳みたいなのが与えられるらしい。
これによって、獣のアンデッドであっても人間と同じような思考をする。
ラバーにとって、俺はルサルカ教団を守り、導く頼れる仲間なのだそうだ。
だから彼は、俺をサポートするために全力を尽くす。
有能!
連続して出現する大型アンドロスコルピオを、ラバーとのコンビでどんどん撃破。
ついに森が途切れるところまでキャラバンを誘導できた……というところで、チュートリアルは終了となった。
よーし、始めての騎乗戦、本番行ってみよう!
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