俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

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85・カレーライス誕生?

第260話 真・漬け丼

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 上陸した僕は、まず根城にしている宿に向かった。
 すると、知識神殿にいつものメンバー……いつメンが集まっているではないか。

「やあやあ、今帰ったぞ!」

「ナザル殿! お帰りなさい!」

「ナザルさんお元気なようで何より。……おや、コボルドが増えているような」

「南の島から連れ帰った、垂れ耳コボルドのハムソンだ」

「ハムソンです! こんにちは!! なんだここー!!」

 神殿に駆け込むハムソン。
 バタバタ走り回っている。

「なんという元気さか。ハッ、ナザルさん、彼はもしやまだ信仰を持っていない」

 神官氏、いいところに気づいたね。

「かの島のコボルドたちは、大魔道士カズテスを神としていたからね。それでも信仰心みたいなものは薄いはずだ」

「なるほど……!! では彼をうちに預けてくれませんか!」

「ハムソンがいいならいいよ。どうだいハムソン」

「ここにすむー!」

「いいって」

「やった!」

「賑やかになるなあ」

 飼い主氏がニッコリした。
 一緒にいるアララちゃんが、目を丸くして元気なハムソンを見ていたのだが、トコトコ歩いてきて「よろしくねー」と手を差し出した。
 ハムソンはこの手を掴み、ぴょんぴょん跳ねる。

「よろしくよろしくよろしく!」

 アララちゃんも楽しくなってきたようで、二人で一緒に跳ねている。
 白いモコモコが二人になったなあ。

「ずるーい! まぜてー!」

 コゲタが行った!
 コボルド三人でわちゃわちゃしだしたぞ。

 この光景を目を細めて眺める、僕とリップルと飼い主氏と騎士ボータブルなのだ。
 神官氏だけなんか真面目な顔をしている。

 そこでリップルが大きなあくびをした。

「ふわわわわ、私はそろそろ限界だ。揺れない地面で、ベッドがあるところに帰るよ。また何かあったら呼んで……」

「おう、おつかれー!」

 二ヶ月もの旅に付き合ってもらったのだ。
 たっぷり休んで欲しい。

 さて、コボルドたちがわちゃわちゃしている横で、まずは一息。

「旅の成果はどうだったんですか?」

 騎士ボータブル、いい質問だ。

「お米は見つかった。食べられるようにするのはちょっとひと手間だが、それは麦と同じだね」

「なるほど……。やっぱり加工してパンにするんですか? それともパスタ?」

「これはね、そのまま炊く。米のままの形で食べるんだ」

「なんと! それはちょっと想像ができない……」

「実際に食べに行ってみればいい」

 ここで神官氏が口を挟んだ。

「神も、知を得るための冒険を推奨しておられる。材料を持っているのでしょうナザルさん。食べに行きましょう」

「よし、行こう」

 元からそのつもりだったが、完全に食べるモードになった。
 飼い主氏とわちゃわちゃトリプルコボルドを連れて、向かう先は例の店。
 そう、ギルボウの店だね。

「コゲタ、先にギルボウに伝えておいてくれないか」

「わかったー!」

「アララもいくー!」

「ハムソンもハムソンもハムソンも!!」

 ぴょんぴょーんと跳ねて、アララとハムソンがついていく。
 元気元気。
 コボルドは三人以上揃うことでパワーアップするのかも知れない。

 事前に知らせておいたお陰で、僕が素材を買って訪れると、すっかりギルボウが料理モードだった。

「おうナザル! 待ってたぜ。お前がいないとこの街は変化が乏しくてな」

「久々だなギルボウ! 元気そうじゃないか! ……ということで、ご期待通りに新しい食材を持ってきた。僕の故郷では……いや、一度だけ親戚に食べさせてもらったちょっと変わった食べ物でね、米と言って」

「詮索はしないでおくが、俺にくらいは正直に話してもいいんだぞ?」

 ニヤニヤするギルボウだった。
 うーん!

「叶わないな! つまり、僕はこいつを昔は嫌ってほど食べた! まさに主食だよ。だがアーランと、このノーザンス大陸には存在していなかった! だからはるばる探しに行ったんだ」

「なるほどなあ。あの美食家ナザルがそこまで執着する食材……。そりゃあ興味があるね。どうやって食わせてくれるんだ?」

「まずは見ててくれ。ちょっと仕込みに時間がかかるんだが……」

 鍋を借りて米を炊く。
 このために、ギルボウは店を貸し切りにしてくれた。

 神官氏と飼い主氏と騎士ボータブル、コゲタにアララにハムソンがいる。
 賑やかなもんだ。

 僕は彼らの賑わいを背に黙々と作業をし、これをじっと見ているギルボウなのだった。

「ふんふん、火加減をある程度の時間ごとに変えているな。時間はうちの砂時計を使ってるな。なるほど、このタイミングか。ここからはしばらく空くのか? 俺が何か仕込んでおいてやろう。何をやればいい?」

「それじゃあ、刺し身を醤油だれに漬けておいてくれ!」

「ほう、刺し身を使って食うんだな? なるほどなるほど……。ところで、料理の名前を聞いていいか?」

「漬け丼だ。漬け刺し身丼とでも言うのかな……」

「漬け……。この醤油ベースのタレに漬け込んだ刺し身を、そこの鍋の中にある米とやらに乗せるのか? シンプルな料理に思えるが、食ってみたらそうじゃないんだろうな。楽しみだ」

「ああ、楽しみにしていてくれ! あ、それと……ビネガーあるか?」

「あるが、ビネガーを混ぜるのか?」

 そう言うことだ。
 酢飯で行くぞ!

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