俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
261 / 337
85・カレーライス誕生?

第261話 丼飯の力を見よ

しおりを挟む
 ホカホカご飯にビネガーを混ぜると、なんとも言えぬ素晴らしい香りがしてくる。
 酢と米のマリアージュ……。
 昔は防腐のためにやったんだと聞いたことがあるが、今はもう、酢飯は美味しいという僕の感覚を信じて作る。

「不思議な香りがしてきた」

「ビネガーだと思うが、なんと言えばいいのか……」

「なるほど、なるほどな。いきなりビネガーをぶち込んだのはなぜだと思ったがそういう料理なのか。ふむふむ。具材はシンプルだが……本体の方に工夫を? しかしまあ、きれいなもんだ。白い粒がだんだんビネガーの色を纏っていくな」

 さすがギルボウ、いい目をしている。
 そしてついに酢飯は完成した。

 扇ぎながら混ぜていただけなんだが。
 そしてこのやり方は夢枕で知識神から学んだ!

 これを皿に盛り付ける。
 丼、丼が欲しい。
 絶対に作ってもらうぞ。

 そして酢飯の上に、漬けになった刺し身を並べていくのだ。
 おお、色とりどりの刺し身よ。

「さあ召し上がれ」

「ほう……、これはシンプルな料理に見えますが……」

 神官氏が唸った。

「知識神より賜った私の知恵が言っています。未知なるものを先入観で判断することなかれ、と……!」

「偉い」

「どれどれ、俺は早速」

 もりもりと食べ始めるギルボウ。
 全く先入観なく食べる辺りが彼の凄いところである。

「ほうほう!! ほほう!! タレに漬けた刺し身とビネガーのマリアージュは多少分かっていたところがある。だが、この米というのはとんでもないな……! なるほど、そのものが極めて淡白な味だからこそ、ビネガーとタレに漬け込まれた刺し身の味を受け止められるのか。しかも……噛むほどに甘くなる……! なんなら粥にしてさらさらと飲んでもいいな、これは」

 鋭い!
 ギルボウは、麦と比べて米が柔らかく、食べやすいことに気づいたのだ。
 だからこそこれは、加工せずそのまま炊いて食べられる。

 さらにそのものが水分を多く含むため、スープにつけて食べたりなどをしなくてもいいのだ。
 慣れないとちょっと癖があると思うが、これこそが我が魂の主食。

 飼い主氏と騎士ボータブル、神官氏も食べ始めた。

「あ、なるほど……。柔らかい。そして濃い味の食材と合うね」

「ふむふむ!! これは未知の食感ですな! だが、悪くない……!! パスタともまた違う。これはそのものを食べると言うよりは、色々なものと合わせていくための穀物……!」

「完全に理解しました。米とは料理の器であり、より料理を引き立たせることができる最高の脇役……!! 未知の穀物です。しかも食べやすい……!! ちょっと粘り気が強いのが好き嫌いが分かれるでしょうが」

 みんな食レポが上達しているなあ。
 知識神は謹慎を言いつけられていても、きちんと己の権能を果たしているらしい。

 なお、コボルド軍団は酢抜き、タレ抜きのお刺身ご飯だ。
 ちょっと塩を振ってある!

 大好評なのだ!

「おいしー!!」

「おいしーね!」

「うんままー!! みじかいおこめうんまー!」

 米を食べ慣れているハムソンは、インディカ米ばっかりだったわけだからな!
 船の中でもたくさん食べたと思うが、常に美味しさに感動できるのはいいところだと思う。

 さて、僕も漬け丼を。
 うん、美味い!

 王道の美味さだ。
 パクパクと食べて、あっという間に平らげてしまった。
 箸と丼を作る。
 これが次の課題だな。

 そして、カレーライスも作らねばならない。

「おいナザルよ。こんなもんじゃないんだろう?」

 ギルボウが分かってるぞ、という顔でニヤリと笑う。

「その通り。この米をカレーと合わせるんだ」

「ほう、カレーと米か! そいつはまた……奇想天外な組み合わせだ。だが、お前はずっとカレーにひと味足りないようなことを言っていたよな。つまりお前はずっと完成形を追い求めていたってわけか」

「全部言ってくれるじゃん! つまりはそういうことだよ。今日はみんな流石に腹いっぱいだろう。それに米の量も限られてる。カレーライスは僕らと、あとは殿下のご一家に献上するぶんだけにしておこう」

「なるほど、こいつは罪深いな。お前が執着するくらいだから、カレーライスとやらは恐ろしく美味いんだろう。だが、そいつをまだ、ほんの一握りのやつしか食うことはできない! 米が収穫できるのを待つしかないってわけか……!」

 一を言えば十くらい理解してくれる男だなあ。
 美食方面では最大の理解者と言って過言ではないだろう。

「それで、集めるメンツはどうする? 俺とお前と」

「カレーは流石にコボルドには大変だから、もっと五感が鈍い種族で固めよう。つまりドロテアさんを呼ぶ」

「お前、あの奥さん好きだよな」

「ギルボウだって好きだろ」

「当たり前だろ! 男だったらあんなおっとりした美人好きにならないわけがない」

 わあわあ僕らが騒いでいるうちに、他のメンバーも食事を終えたようだった。
 皆満足げだ。

「いや、実に興味深かったです。よし、帰るぞハムソンくん! 知識神に今回我々が知ったことを祈りによってお伝えするのだ!」

「おいのり!? おいのりおいのり! おなかいっぱいだからとちゅうでねちゃうかも!」

「祈りながら寝るなら結構!」

 なんか意外と気が合うのかもな、という神官氏とハムソンが出ていき、その神官氏の監視役である騎士ボータブルも出立した。
 で、飼い主氏は「今回も美味しいものをありがとう。また期待しているよ」と告げてアララちゃんと一緒に帰途へつく。

「ご主人! これからどうするの?」

「そうだな。遺跡でお米を育てる必要もあるし……苗を地下四階に運んじゃうか!」

 僕の長い一日は、まだ終わりそうにないのである。

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。 そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!? 個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!? これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥ 小説家になろうでも掲載しております。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

処理中です...