俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
260 / 337
85・カレーライス誕生?

第260話 真・漬け丼

しおりを挟む
 上陸した僕は、まず根城にしている宿に向かった。
 すると、知識神殿にいつものメンバー……いつメンが集まっているではないか。

「やあやあ、今帰ったぞ!」

「ナザル殿! お帰りなさい!」

「ナザルさんお元気なようで何より。……おや、コボルドが増えているような」

「南の島から連れ帰った、垂れ耳コボルドのハムソンだ」

「ハムソンです! こんにちは!! なんだここー!!」

 神殿に駆け込むハムソン。
 バタバタ走り回っている。

「なんという元気さか。ハッ、ナザルさん、彼はもしやまだ信仰を持っていない」

 神官氏、いいところに気づいたね。

「かの島のコボルドたちは、大魔道士カズテスを神としていたからね。それでも信仰心みたいなものは薄いはずだ」

「なるほど……!! では彼をうちに預けてくれませんか!」

「ハムソンがいいならいいよ。どうだいハムソン」

「ここにすむー!」

「いいって」

「やった!」

「賑やかになるなあ」

 飼い主氏がニッコリした。
 一緒にいるアララちゃんが、目を丸くして元気なハムソンを見ていたのだが、トコトコ歩いてきて「よろしくねー」と手を差し出した。
 ハムソンはこの手を掴み、ぴょんぴょん跳ねる。

「よろしくよろしくよろしく!」

 アララちゃんも楽しくなってきたようで、二人で一緒に跳ねている。
 白いモコモコが二人になったなあ。

「ずるーい! まぜてー!」

 コゲタが行った!
 コボルド三人でわちゃわちゃしだしたぞ。

 この光景を目を細めて眺める、僕とリップルと飼い主氏と騎士ボータブルなのだ。
 神官氏だけなんか真面目な顔をしている。

 そこでリップルが大きなあくびをした。

「ふわわわわ、私はそろそろ限界だ。揺れない地面で、ベッドがあるところに帰るよ。また何かあったら呼んで……」

「おう、おつかれー!」

 二ヶ月もの旅に付き合ってもらったのだ。
 たっぷり休んで欲しい。

 さて、コボルドたちがわちゃわちゃしている横で、まずは一息。

「旅の成果はどうだったんですか?」

 騎士ボータブル、いい質問だ。

「お米は見つかった。食べられるようにするのはちょっとひと手間だが、それは麦と同じだね」

「なるほど……。やっぱり加工してパンにするんですか? それともパスタ?」

「これはね、そのまま炊く。米のままの形で食べるんだ」

「なんと! それはちょっと想像ができない……」

「実際に食べに行ってみればいい」

 ここで神官氏が口を挟んだ。

「神も、知を得るための冒険を推奨しておられる。材料を持っているのでしょうナザルさん。食べに行きましょう」

「よし、行こう」

 元からそのつもりだったが、完全に食べるモードになった。
 飼い主氏とわちゃわちゃトリプルコボルドを連れて、向かう先は例の店。
 そう、ギルボウの店だね。

「コゲタ、先にギルボウに伝えておいてくれないか」

「わかったー!」

「アララもいくー!」

「ハムソンもハムソンもハムソンも!!」

 ぴょんぴょーんと跳ねて、アララとハムソンがついていく。
 元気元気。
 コボルドは三人以上揃うことでパワーアップするのかも知れない。

 事前に知らせておいたお陰で、僕が素材を買って訪れると、すっかりギルボウが料理モードだった。

「おうナザル! 待ってたぜ。お前がいないとこの街は変化が乏しくてな」

「久々だなギルボウ! 元気そうじゃないか! ……ということで、ご期待通りに新しい食材を持ってきた。僕の故郷では……いや、一度だけ親戚に食べさせてもらったちょっと変わった食べ物でね、米と言って」

「詮索はしないでおくが、俺にくらいは正直に話してもいいんだぞ?」

 ニヤニヤするギルボウだった。
 うーん!

「叶わないな! つまり、僕はこいつを昔は嫌ってほど食べた! まさに主食だよ。だがアーランと、このノーザンス大陸には存在していなかった! だからはるばる探しに行ったんだ」

「なるほどなあ。あの美食家ナザルがそこまで執着する食材……。そりゃあ興味があるね。どうやって食わせてくれるんだ?」

「まずは見ててくれ。ちょっと仕込みに時間がかかるんだが……」

 鍋を借りて米を炊く。
 このために、ギルボウは店を貸し切りにしてくれた。

 神官氏と飼い主氏と騎士ボータブル、コゲタにアララにハムソンがいる。
 賑やかなもんだ。

 僕は彼らの賑わいを背に黙々と作業をし、これをじっと見ているギルボウなのだった。

「ふんふん、火加減をある程度の時間ごとに変えているな。時間はうちの砂時計を使ってるな。なるほど、このタイミングか。ここからはしばらく空くのか? 俺が何か仕込んでおいてやろう。何をやればいい?」

「それじゃあ、刺し身を醤油だれに漬けておいてくれ!」

「ほう、刺し身を使って食うんだな? なるほどなるほど……。ところで、料理の名前を聞いていいか?」

「漬け丼だ。漬け刺し身丼とでも言うのかな……」

「漬け……。この醤油ベースのタレに漬け込んだ刺し身を、そこの鍋の中にある米とやらに乗せるのか? シンプルな料理に思えるが、食ってみたらそうじゃないんだろうな。楽しみだ」

「ああ、楽しみにしていてくれ! あ、それと……ビネガーあるか?」

「あるが、ビネガーを混ぜるのか?」

 そう言うことだ。
 酢飯で行くぞ!

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。 そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!? 個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!? これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥ 小説家になろうでも掲載しております。

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...