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93・なにっ、式場建設!?
第282話 コゲタとポーターの再会
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「ただいまー!」
「ぶるるー」
「あーっ!!」
コゲタが元気よく帰ってきたら、見慣れた馬が出迎えたのだ。
厩(うまや)がないので、さっき大工を呼んで素早く屋根と塀を作ってもらった。
人海戦術である。
金はかなり出した。
「明日からちゃんとしたのを作りますから!」
お金をもらってホクホクの大工たちなのだった。
頼むぞ……!!
「ポーター! ひさしぶりー!! なつかしー!」
「ひひーん」
コゲタがダッシュで、ポーターはパカポコ歩いて近づき……。
ペロンとコゲタの顔を舐めるポーターなのだった。
「ひゃあー」
懐かしいやり取りだなあ。
馬は小さい生き物を愛でる時にベロンと舐めたりするらしい。
「ポーターなめたらぬれちゃうでしょー」
「ぶるるー」
コゲタの抗議をポーターが聞き流している。
そして鼻先をぎゅっとコゲタに押し付けてきた。
コゲタもお返しとばかりにペロペロ舐めている。
うーむ、美しき友情。
「心温まる光景だねえ……。動物は相手のことをちゃんと覚えていると言うからね」
「うんうん、特にこの一人と一頭は仲良しだったからねえ」
彼らがムギュムギュしている姿を眺めつつ、僕らは機会を伺うのだ。
「式場を明らかに私達に見せまいとしていたよね」
「王家からのサプライズなんだろうが、僕らは別にそのサプライズを求めていないし、なんならこの結婚式は僕らが望んでいるわけでもない」
「そう、それよそれ。王家が恩を着せてくるけど、私達は別に式とかやらなくていいからね!」
「そうそうそう!! これは絶対に式場の中を覗いてやらなければ気がすまないぞ! コゲタ、留守番を任せていいかな? お手伝いさんと馬係さんと一緒に」
「はーい!」
コゲタが元気にお返事をした。
馬係とは、ポーターを連れてきてくれた農夫だ。
彼はうちで雇って、ポーターの世話を専門でやってもらうことになった。
将来的には馬を増やしたい。
そうしたら馬係もちょっと増やす。
何しろ、僕らは毎日馬車を使う必要がある。
遺跡を見に行かなくちゃだし、リップルも冒険者ギルドで安楽椅子冒険者をしに行く。
ポーターフル回転では可哀想なので、馬を増やすのは必至なのである。
まあ、なんならリップルの魔法で飛べばいいし、僕は油の力で滑って移動してもいい。
コゲタはコボルドで健脚だから、馬車に頼らない方法も全然ある。
「よし、行くぞナザル! 私に掴まるんだ!」
「よし!!」
「ふん!! 行くぞ!」
リップルがまた無詠唱で、僕を軽々と引き上げてふわりと舞い上がり、風よけのバリアみたいなのを張りながら飛び始めた。
一体幾つの魔法を同時に使ってるんです?
「さあねえ……? ええと、筋力強化、身体構造強化、浮遊移動、移動高速化、風よけ、自動運転……」
「そもそも幾つ魔法を知ってるんだ……」
リップル、謎のギフトの効果もあり、一読しただけで魔導書をマスター出来たらしい。
物凄い魔法の数が彼女の頭の中に入ってるんだろうなあ。
とか考えていたら一瞬で式場ですよ。
どーれどれ?
上空からぐるりと式場の回りを眺める。
「上に窓がついてるな。リップル、あそこから侵入しよう」
「よしきた」
風を除けているから、僕らの飛行する音はしない。
無音のまま式場の上に着地した。
……これ、リップルのスペックをフル活用すれば、どんな厳重な守りの城塞にでもするりと入り込んで要人を暗殺できるな。
恐ろしいハーフエルフだ!
まあ、リップルに言わせれば僕も似たようなものだろうが。
どれどれ?
窓かと思ったところは、鐘を鳴らすところだった。
これ、超巨大な教会か!!
アーラン国民の半分くらい参列できる規模と言うと、ヤバさが分かるだろうか。
前世で言うなら、東京ネズミーランドと同じくらいの敷地面積であろう。
なんならネズミーシーを足したくらいのサイズかも知れない。
でかい、でかすぎる。
近づくと装飾とか割と雑で、仕上がり最優先で作っていることが分かるのだが……。
「こんなものを僕らのために作ったのか!? とんでもない予算を投下したな……。完成したら近隣諸国を威圧できる規模のものになるぞ」
「これだけの規模になると、攻めるにも困るだろうねえ……」
各国から招待客が来るらしいが、彼らにこの式場の威容を見せつけ、アーランの勢いを知らしめる意図もあるのだろう。
鐘撞きの塔が僕らの降りたところだ。
ほんの短時間で、よくぞこんなものを作ったな……。
梯子を降りていくと、今まさにカンカンと中身を作っているところだった。
おお、なんと荘厳な大聖堂めいた作りか。
内側は巨大な六角形になっており、そこに至高神、大地母神、知識神、技工神、戦神、海神の彫像が飾られている。
儀式的な意味合いもあるな。
ここで神の力を得て、国の守りを願う的な。
……いや、もっとフランクに神様は降りてくるから気にしなくていいと思うなぁ……。
「ナザル、君、最近まで知識神とやたら仲良しだったらしいじゃないか」
「ああ。なんなら死んだら神にするからって宣告されてる」
「とんでもないな……。いや、君の成し遂げた成果を思えば当然とも言えるんだけど……おっと!」
下の方で、大工たちが僕らを指さしてわあわあ言っている。
「いたぞいたぞー!!」「いかん、見られた!」「捕まえろー!!」
「見つかったようだ。中身は確認したから逃げるぞナザル!」
「合点承知!」
「あっ、梯子をするする登って逃げていく!!」「なんて速さだ!」「あんな新郎新婦いる!?」「いるでしょあそこに!」
ということで、式場を確認し、逃げる僕らなのだった。
いよいよ披露宴、迫る!
「ぶるるー」
「あーっ!!」
コゲタが元気よく帰ってきたら、見慣れた馬が出迎えたのだ。
厩(うまや)がないので、さっき大工を呼んで素早く屋根と塀を作ってもらった。
人海戦術である。
金はかなり出した。
「明日からちゃんとしたのを作りますから!」
お金をもらってホクホクの大工たちなのだった。
頼むぞ……!!
「ポーター! ひさしぶりー!! なつかしー!」
「ひひーん」
コゲタがダッシュで、ポーターはパカポコ歩いて近づき……。
ペロンとコゲタの顔を舐めるポーターなのだった。
「ひゃあー」
懐かしいやり取りだなあ。
馬は小さい生き物を愛でる時にベロンと舐めたりするらしい。
「ポーターなめたらぬれちゃうでしょー」
「ぶるるー」
コゲタの抗議をポーターが聞き流している。
そして鼻先をぎゅっとコゲタに押し付けてきた。
コゲタもお返しとばかりにペロペロ舐めている。
うーむ、美しき友情。
「心温まる光景だねえ……。動物は相手のことをちゃんと覚えていると言うからね」
「うんうん、特にこの一人と一頭は仲良しだったからねえ」
彼らがムギュムギュしている姿を眺めつつ、僕らは機会を伺うのだ。
「式場を明らかに私達に見せまいとしていたよね」
「王家からのサプライズなんだろうが、僕らは別にそのサプライズを求めていないし、なんならこの結婚式は僕らが望んでいるわけでもない」
「そう、それよそれ。王家が恩を着せてくるけど、私達は別に式とかやらなくていいからね!」
「そうそうそう!! これは絶対に式場の中を覗いてやらなければ気がすまないぞ! コゲタ、留守番を任せていいかな? お手伝いさんと馬係さんと一緒に」
「はーい!」
コゲタが元気にお返事をした。
馬係とは、ポーターを連れてきてくれた農夫だ。
彼はうちで雇って、ポーターの世話を専門でやってもらうことになった。
将来的には馬を増やしたい。
そうしたら馬係もちょっと増やす。
何しろ、僕らは毎日馬車を使う必要がある。
遺跡を見に行かなくちゃだし、リップルも冒険者ギルドで安楽椅子冒険者をしに行く。
ポーターフル回転では可哀想なので、馬を増やすのは必至なのである。
まあ、なんならリップルの魔法で飛べばいいし、僕は油の力で滑って移動してもいい。
コゲタはコボルドで健脚だから、馬車に頼らない方法も全然ある。
「よし、行くぞナザル! 私に掴まるんだ!」
「よし!!」
「ふん!! 行くぞ!」
リップルがまた無詠唱で、僕を軽々と引き上げてふわりと舞い上がり、風よけのバリアみたいなのを張りながら飛び始めた。
一体幾つの魔法を同時に使ってるんです?
「さあねえ……? ええと、筋力強化、身体構造強化、浮遊移動、移動高速化、風よけ、自動運転……」
「そもそも幾つ魔法を知ってるんだ……」
リップル、謎のギフトの効果もあり、一読しただけで魔導書をマスター出来たらしい。
物凄い魔法の数が彼女の頭の中に入ってるんだろうなあ。
とか考えていたら一瞬で式場ですよ。
どーれどれ?
上空からぐるりと式場の回りを眺める。
「上に窓がついてるな。リップル、あそこから侵入しよう」
「よしきた」
風を除けているから、僕らの飛行する音はしない。
無音のまま式場の上に着地した。
……これ、リップルのスペックをフル活用すれば、どんな厳重な守りの城塞にでもするりと入り込んで要人を暗殺できるな。
恐ろしいハーフエルフだ!
まあ、リップルに言わせれば僕も似たようなものだろうが。
どれどれ?
窓かと思ったところは、鐘を鳴らすところだった。
これ、超巨大な教会か!!
アーラン国民の半分くらい参列できる規模と言うと、ヤバさが分かるだろうか。
前世で言うなら、東京ネズミーランドと同じくらいの敷地面積であろう。
なんならネズミーシーを足したくらいのサイズかも知れない。
でかい、でかすぎる。
近づくと装飾とか割と雑で、仕上がり最優先で作っていることが分かるのだが……。
「こんなものを僕らのために作ったのか!? とんでもない予算を投下したな……。完成したら近隣諸国を威圧できる規模のものになるぞ」
「これだけの規模になると、攻めるにも困るだろうねえ……」
各国から招待客が来るらしいが、彼らにこの式場の威容を見せつけ、アーランの勢いを知らしめる意図もあるのだろう。
鐘撞きの塔が僕らの降りたところだ。
ほんの短時間で、よくぞこんなものを作ったな……。
梯子を降りていくと、今まさにカンカンと中身を作っているところだった。
おお、なんと荘厳な大聖堂めいた作りか。
内側は巨大な六角形になっており、そこに至高神、大地母神、知識神、技工神、戦神、海神の彫像が飾られている。
儀式的な意味合いもあるな。
ここで神の力を得て、国の守りを願う的な。
……いや、もっとフランクに神様は降りてくるから気にしなくていいと思うなぁ……。
「ナザル、君、最近まで知識神とやたら仲良しだったらしいじゃないか」
「ああ。なんなら死んだら神にするからって宣告されてる」
「とんでもないな……。いや、君の成し遂げた成果を思えば当然とも言えるんだけど……おっと!」
下の方で、大工たちが僕らを指さしてわあわあ言っている。
「いたぞいたぞー!!」「いかん、見られた!」「捕まえろー!!」
「見つかったようだ。中身は確認したから逃げるぞナザル!」
「合点承知!」
「あっ、梯子をするする登って逃げていく!!」「なんて速さだ!」「あんな新郎新婦いる!?」「いるでしょあそこに!」
ということで、式場を確認し、逃げる僕らなのだった。
いよいよ披露宴、迫る!
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