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93・なにっ、式場建設!?
第281話 国を挙げてのイベントだって
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「なんだって!? 国が式場を作ってる!?」
とんでもない話を伝え聞いたのだ。
ここは冒険者ギルド。
僕とリップルが一緒にやってくると、ワーッと盛り上がった。
「よっ、お二人さん!」「まさかリップルさんとくっつくなんてなあ」「ナザル、口は災いのもとだったな」
最後の失礼なやつはバンキンな。
リップルが「誰が災いだって?」とか言いながら巨大な手を呼び出し、バンキンの尻をビシバシ叩いた。
「ウグワーッ!」
尻を叩かれまくってぶっ倒れるバンキン。
おお、尻を突き上げる姿勢でヒクヒクしている。
「まーた無詠唱で見たこともない魔法使ってる」
「念動魔法と具現化魔法だよ。組み合わせただけさ。というかナザル、式場って私達のかい?」
「うむ、そうじゃない可能性があるよな」
「何を仰ってるんですがお二人ともー!」
メガネでのっぽの受付嬢がやって来て、僕らのごまかしを打ち砕いた。
「いいですか。お二人の結婚式は完全に国を挙げての大イベントになっているんですよ。アーランの王家は全面的にナザル・リップルの結婚を祝福し、贈り物として最大級の結婚式を用意すると」
「いらねーっ」
「いらないいらない」
僕もリップルもすごく嫌そうな顔で否定した。
だが、始まってしまったものは仕方ない。
どうやら、僕らが新居を選び、引っ越しなどをやっている間にどんどん進んでしまったようではないか。
なんとワンダバーから魔法使いまで訪れ、物凄い勢いで信じられない高精度の建築が行われているということだった。
何やってんの。
最近の輸出で稼いだ金が火を吹いてるね?
恐ろしい恐ろしい、と思いながらその様子を見に行くことにした。
どこにそれを作ったかと言うと、なんとアーランの外である。
確かにアーランから出たばかりの所に、やたらだだっ広い草原が広がっていると思っていたが……。
まさかここに式場を建ててしまうとは。
見た目は大聖堂という感じだった。
むちゃくちゃ建物の高さがある。
そして間口はオープン。
……というか、扉が存在しないんじゃないか……?
長めの庇しかない。
なんだなんだ。
なんなのだこれは。
ゴーレムがガッチャンガッチャン動き回って、建材を運んだり組み付けたりしている。
ここに大工たちが集まって、ガンガン叩いて固定したり、削ったり貼ったりしている。
「これはどういう建造物なんです?」
近くを通りかかった大工に聞いてみる。
「おっ、なんだい? おおーっ! あんた、もしかしてナザルさん!?」
「あっ、一目で気付かれてしまった」
「そりゃあ、その容姿をしている人間なんか他にいないからねえ」
金髪、褐色の肌、緑色の瞳の僕だからね。
「それにそういう容姿の人がハーフエルフの美女を連れていたらそりゃあもう」
「ははあ、私達は特徴的な外見だからねえ……」
僕とリップルが並ぶと、実に目立つもんなあ。
そんな僕らを一目見ようと、仕事中だった大工たちや魔法使いたちがワイワイと集まってきた。
「うおーっ、これが新郎新婦!」「いやあ見栄えするなあ!」「なるほど、この二人が着飾ったら並の建物じゃあ負けちまうわな」「アーラン中の人間が集まってきて参加するんだろ? だったらめちゃくちゃにでかくしねえとな」「でかくて豪華にしないと!!」
「あっ、なるほどよく分かりましたわ」
つまり凄いってことね。
僕らが着飾るとか妙なことを言っているのだが、よく分からないな。
今日は結局、野次馬化した大工たちに囲まれてこれ以上先に進めないようだ。
……もしかして僕らを先に進ませないようにしてない?
怪しんでいる所に、向こうからパカポコと馬を連れた人々がやって来た。
馬は僕をじーっと見ると、ハッとした。
「ポーター! ポーターじゃないか!」
「ひひーん!」
ポーターがパカポコと走ってくる。
むちむちした荷馬なのだが、さすが馬だ、速い。
あっという間に僕のところまでやって来たので、首を抱きしめてナデナデした。
「おおー、ポーター元気だったか。懐かしいなあ」
「ぶるるー」
「ほほー。これがナザルたちと一緒に旅をしたという荷馬かい? なんというか人間大好きみたいな顔をしているねえ」
「ぶるるー」
「うわー私の顔に鼻息をー」
リップルも気に入られたようだな。
よし、今日はポーターに免じて内見は許してやろう。
「確かに連れてきましたよ、旦那」
「ありがとうありがとう。報酬は後で使いが持ってくるからついてきてくれ」
ポーターを運んでくれた農夫には、褒美をはずんでやろう。
いやあ、これはコゲタが喜ぶぞ。
「ナザル、このポーターが私達の乗る馬車を引くのかい?」
「そういうこと。まあ、馬車と言っても屋根のついた荷車みたいなもんだけど」
「必要十分だろうね。私は実利にしか興味ないからね!」
理解ある奥さんで本当に助かるよ。
リップル、あまりにも長く生きてきたので見栄えというものの最小限度合いをよく知っているのだ。
「なるほど、どうやら私達の生活はかなり賑やかになりそうだね」
「なると思うね。ちなみにこの連れてきてくれた農夫はうちで雇ってポーターの世話をしてもらう」
「なるほど……。庭に彼の家を作らないといけないね?」
思いの外入り用な物が多いのだ。
さて、ポーターを落ち着けたら、式場を見てやるからな!!
とんでもない話を伝え聞いたのだ。
ここは冒険者ギルド。
僕とリップルが一緒にやってくると、ワーッと盛り上がった。
「よっ、お二人さん!」「まさかリップルさんとくっつくなんてなあ」「ナザル、口は災いのもとだったな」
最後の失礼なやつはバンキンな。
リップルが「誰が災いだって?」とか言いながら巨大な手を呼び出し、バンキンの尻をビシバシ叩いた。
「ウグワーッ!」
尻を叩かれまくってぶっ倒れるバンキン。
おお、尻を突き上げる姿勢でヒクヒクしている。
「まーた無詠唱で見たこともない魔法使ってる」
「念動魔法と具現化魔法だよ。組み合わせただけさ。というかナザル、式場って私達のかい?」
「うむ、そうじゃない可能性があるよな」
「何を仰ってるんですがお二人ともー!」
メガネでのっぽの受付嬢がやって来て、僕らのごまかしを打ち砕いた。
「いいですか。お二人の結婚式は完全に国を挙げての大イベントになっているんですよ。アーランの王家は全面的にナザル・リップルの結婚を祝福し、贈り物として最大級の結婚式を用意すると」
「いらねーっ」
「いらないいらない」
僕もリップルもすごく嫌そうな顔で否定した。
だが、始まってしまったものは仕方ない。
どうやら、僕らが新居を選び、引っ越しなどをやっている間にどんどん進んでしまったようではないか。
なんとワンダバーから魔法使いまで訪れ、物凄い勢いで信じられない高精度の建築が行われているということだった。
何やってんの。
最近の輸出で稼いだ金が火を吹いてるね?
恐ろしい恐ろしい、と思いながらその様子を見に行くことにした。
どこにそれを作ったかと言うと、なんとアーランの外である。
確かにアーランから出たばかりの所に、やたらだだっ広い草原が広がっていると思っていたが……。
まさかここに式場を建ててしまうとは。
見た目は大聖堂という感じだった。
むちゃくちゃ建物の高さがある。
そして間口はオープン。
……というか、扉が存在しないんじゃないか……?
長めの庇しかない。
なんだなんだ。
なんなのだこれは。
ゴーレムがガッチャンガッチャン動き回って、建材を運んだり組み付けたりしている。
ここに大工たちが集まって、ガンガン叩いて固定したり、削ったり貼ったりしている。
「これはどういう建造物なんです?」
近くを通りかかった大工に聞いてみる。
「おっ、なんだい? おおーっ! あんた、もしかしてナザルさん!?」
「あっ、一目で気付かれてしまった」
「そりゃあ、その容姿をしている人間なんか他にいないからねえ」
金髪、褐色の肌、緑色の瞳の僕だからね。
「それにそういう容姿の人がハーフエルフの美女を連れていたらそりゃあもう」
「ははあ、私達は特徴的な外見だからねえ……」
僕とリップルが並ぶと、実に目立つもんなあ。
そんな僕らを一目見ようと、仕事中だった大工たちや魔法使いたちがワイワイと集まってきた。
「うおーっ、これが新郎新婦!」「いやあ見栄えするなあ!」「なるほど、この二人が着飾ったら並の建物じゃあ負けちまうわな」「アーラン中の人間が集まってきて参加するんだろ? だったらめちゃくちゃにでかくしねえとな」「でかくて豪華にしないと!!」
「あっ、なるほどよく分かりましたわ」
つまり凄いってことね。
僕らが着飾るとか妙なことを言っているのだが、よく分からないな。
今日は結局、野次馬化した大工たちに囲まれてこれ以上先に進めないようだ。
……もしかして僕らを先に進ませないようにしてない?
怪しんでいる所に、向こうからパカポコと馬を連れた人々がやって来た。
馬は僕をじーっと見ると、ハッとした。
「ポーター! ポーターじゃないか!」
「ひひーん!」
ポーターがパカポコと走ってくる。
むちむちした荷馬なのだが、さすが馬だ、速い。
あっという間に僕のところまでやって来たので、首を抱きしめてナデナデした。
「おおー、ポーター元気だったか。懐かしいなあ」
「ぶるるー」
「ほほー。これがナザルたちと一緒に旅をしたという荷馬かい? なんというか人間大好きみたいな顔をしているねえ」
「ぶるるー」
「うわー私の顔に鼻息をー」
リップルも気に入られたようだな。
よし、今日はポーターに免じて内見は許してやろう。
「確かに連れてきましたよ、旦那」
「ありがとうありがとう。報酬は後で使いが持ってくるからついてきてくれ」
ポーターを運んでくれた農夫には、褒美をはずんでやろう。
いやあ、これはコゲタが喜ぶぞ。
「ナザル、このポーターが私達の乗る馬車を引くのかい?」
「そういうこと。まあ、馬車と言っても屋根のついた荷車みたいなもんだけど」
「必要十分だろうね。私は実利にしか興味ないからね!」
理解ある奥さんで本当に助かるよ。
リップル、あまりにも長く生きてきたので見栄えというものの最小限度合いをよく知っているのだ。
「なるほど、どうやら私達の生活はかなり賑やかになりそうだね」
「なると思うね。ちなみにこの連れてきてくれた農夫はうちで雇ってポーターの世話をしてもらう」
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