記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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第2章 あなたは暗殺者⁉
気になるあなたは……僕の暗殺者②
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イヴァン卿が不貞腐れた顔をしながら、僕を見てきた。
「『ジュディ』は中央教会で魔力なしに登録されていないし、『エレーナ』のガラス玉は、先日、俺がもらってきたばかりだからな。司祭に『ガラス玉をくれ』と頼んだ俺が怪しまれ、危なく転売容疑をかけられて捕まるところだった」
「ははっ。とんだ災難でしたね。わざわざ遠くまで行ったのに」
「笑いごとじゃないだろう! 散々な目にあってやっと戻ってきたら、アンドレに続いてナグワまで変な女に騙されて、おかしなことを始めているし。ああー、どうなってんだよ!」
「別に僕は騙されていないですよ」
「得体の知れない激ヤバな女を、アンドレの家に置いている時点で騙されているだろう」
「それは……」
「あ~あ。ジュディが白なら、かの令嬢のことを忘れるいい機会だと思ったんだけどなー。駄目だったか」
「あの方のことは……はじめから期待していなかったから、もうどうでもいいんですよ」
「本当にすまん。俺が『絶対に妹に乗り換える』と言い続けたせいで、アンドレに余計な期待をさせたのが全部悪いんだ」
「別に恨んでいませんし……」
「気を持たせ続けて本当に申し訳なかった。――だけど、なんだってアンドレが好きになるのは、面倒な女ばっかりなんだ? 俺の苦労も考えろよな。あのご令嬢の次は、これだもんな――」
彼は「はぁ~あ」と大きなため息をついた。
――余計なお世話だ。
兄気取りのイヴァン卿の親切心なのは分かっているが、勝手に人の感情を決めつけて文句を言っている。聞き捨てならない。
「失礼ですね。誰がジュディを好きだといいましたか? そんな感情はありませんよ」
「そう、そう、そのまま諦めろ。あの子は絶対に駄目だ。さっさと追い払え。いつ本性が出てくるか分からないからな」
「今の彼女は記憶もないですし、問題はありませんよ。余計なことはしないでくださいね」
「駄目だ。あんな危険な女に同情をかけるな。ここに置いておくのは許可しない。早急になんとかしろよ。急に記憶を取り戻して、何をやらかすか分からんからな」
「……分かりましたよ」
とは言ったものの、彼女と一緒にいたい自分がいる。
――これが、何からくる感情なのか、……この時の僕はよく分からなかった。
――愚かなことに、あとで知らされる驚愕の事実に全く考えが及ばなかったのだ。
そのせいで、彼女の初めてを逃すことになるとは、悔やんでも悔やみきれない。
「あ~あ。昨日、半日以上中央教会に拘束されていたから、やっと王太子の婚約者に会えると思ったが、やっぱり最後まで会えなかったな」
「彼女の顔が分からないから、気づかなかっただけでしょう」
「さすがに服装で大体の家柄は分かる。俺の目には、高位貴族らしき令嬢は映らなかったぞ。まあ隠れていたのかもな」
「そうですか……」
「まあ、今までアンドレには言わなかったが、公式の場に現れないから、人前に出られないような顔をしているって、社交界で噂されているぞ。ブサイクなんだろう」
「止めなさい! 人の容姿をとやかくいうのは、どうかしていますよ」
「いや、絶対ブサイクだ。カステン辺境伯領も結婚パレードのルートに入っているから、アンドレも見られるだろう」
「……」
「まあ、ブサイクな顔を見たらアンドレの未練もなくなるだろう。ジュディでも、かの令嬢でもない、もっと普通の女に恋をしたらどうだ」
「いい加減にしてくれませんか。誰がジュディに恋心があると言いましたか? 僕は彼女に興味はありませんから」
「よし言ったな。ナグワがあの女に心酔しているから、厄介な事態になる前になんとかしろよ! 森に戻せ!」
「分かっていますから、余計なことに口を出さないでください」
胸がジリジリして不愉快だ。
そう思い、イヴァン卿の前から立ち去った。
そのとき抱いた焦燥感をそのままにしたのを後悔するとは、このときの僕は知らなかった。
◇◇◇
「『ジュディ』は中央教会で魔力なしに登録されていないし、『エレーナ』のガラス玉は、先日、俺がもらってきたばかりだからな。司祭に『ガラス玉をくれ』と頼んだ俺が怪しまれ、危なく転売容疑をかけられて捕まるところだった」
「ははっ。とんだ災難でしたね。わざわざ遠くまで行ったのに」
「笑いごとじゃないだろう! 散々な目にあってやっと戻ってきたら、アンドレに続いてナグワまで変な女に騙されて、おかしなことを始めているし。ああー、どうなってんだよ!」
「別に僕は騙されていないですよ」
「得体の知れない激ヤバな女を、アンドレの家に置いている時点で騙されているだろう」
「それは……」
「あ~あ。ジュディが白なら、かの令嬢のことを忘れるいい機会だと思ったんだけどなー。駄目だったか」
「あの方のことは……はじめから期待していなかったから、もうどうでもいいんですよ」
「本当にすまん。俺が『絶対に妹に乗り換える』と言い続けたせいで、アンドレに余計な期待をさせたのが全部悪いんだ」
「別に恨んでいませんし……」
「気を持たせ続けて本当に申し訳なかった。――だけど、なんだってアンドレが好きになるのは、面倒な女ばっかりなんだ? 俺の苦労も考えろよな。あのご令嬢の次は、これだもんな――」
彼は「はぁ~あ」と大きなため息をついた。
――余計なお世話だ。
兄気取りのイヴァン卿の親切心なのは分かっているが、勝手に人の感情を決めつけて文句を言っている。聞き捨てならない。
「失礼ですね。誰がジュディを好きだといいましたか? そんな感情はありませんよ」
「そう、そう、そのまま諦めろ。あの子は絶対に駄目だ。さっさと追い払え。いつ本性が出てくるか分からないからな」
「今の彼女は記憶もないですし、問題はありませんよ。余計なことはしないでくださいね」
「駄目だ。あんな危険な女に同情をかけるな。ここに置いておくのは許可しない。早急になんとかしろよ。急に記憶を取り戻して、何をやらかすか分からんからな」
「……分かりましたよ」
とは言ったものの、彼女と一緒にいたい自分がいる。
――これが、何からくる感情なのか、……この時の僕はよく分からなかった。
――愚かなことに、あとで知らされる驚愕の事実に全く考えが及ばなかったのだ。
そのせいで、彼女の初めてを逃すことになるとは、悔やんでも悔やみきれない。
「あ~あ。昨日、半日以上中央教会に拘束されていたから、やっと王太子の婚約者に会えると思ったが、やっぱり最後まで会えなかったな」
「彼女の顔が分からないから、気づかなかっただけでしょう」
「さすがに服装で大体の家柄は分かる。俺の目には、高位貴族らしき令嬢は映らなかったぞ。まあ隠れていたのかもな」
「そうですか……」
「まあ、今までアンドレには言わなかったが、公式の場に現れないから、人前に出られないような顔をしているって、社交界で噂されているぞ。ブサイクなんだろう」
「止めなさい! 人の容姿をとやかくいうのは、どうかしていますよ」
「いや、絶対ブサイクだ。カステン辺境伯領も結婚パレードのルートに入っているから、アンドレも見られるだろう」
「……」
「まあ、ブサイクな顔を見たらアンドレの未練もなくなるだろう。ジュディでも、かの令嬢でもない、もっと普通の女に恋をしたらどうだ」
「いい加減にしてくれませんか。誰がジュディに恋心があると言いましたか? 僕は彼女に興味はありませんから」
「よし言ったな。ナグワがあの女に心酔しているから、厄介な事態になる前になんとかしろよ! 森に戻せ!」
「分かっていますから、余計なことに口を出さないでください」
胸がジリジリして不愉快だ。
そう思い、イヴァン卿の前から立ち去った。
そのとき抱いた焦燥感をそのままにしたのを後悔するとは、このときの僕は知らなかった。
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