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優未

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リナリアにカルミエ第一王子との会話を聞いて驚いた様子はない。

「サフィールってあなたの同僚かしら」

やはり彼女はサフィールを知っている?

「前に言ったでしょう、好きな人がいるって。彼のことなの」

しかし、サフィールが彼女に会ったことはない。

「シオン、今まで私の相手をしてくれてありがとう。あなたの魔力って本当に彼に似ているの。…ねえ最後に抱きしめて」

返す言葉が見つからないまま彼女を抱きしめ、守護の魔法をかける。

「あなたの魔力に包まれているみたいで安心する。シオン…私は犯してもいない罪で死ぬなんて嫌よ。だから逃げようと思うの」

「必ず迎えに行く」

リナリアは首を横に振る。

「大罪人の娘が国に仕えている人と結ばれることなんてない。調査に協力したお礼に、私のことは見逃してくださいね。それでは」

右手を振り上げて手にしていた何かを床に叩きつけると同時に、目の前から彼女が消えた。

―――シオン、大好き

それは都合のいい幻聴だったのだろうか。

足元には黒く燃え尽きたような石が転がっている。

「転移石?」

魔力のない人間には使えないものだ。

「私の魔力を纏わせた?」

いつから用意していた?いつかこんな日がくると分かっていて行動していたとしか思えない。

気になる点はいくつかあるが、今自分が取るべき行動は決まっている。

逃げてくれた」

サフィールのことが好き?そんな存在しない人間のことを思う必要なんてない。

彼女は幸せにならないといけない。

魔力量が回復していく度に変な夢を見る回数が増えていった。

半信半疑ではあったが、リナリアに触れて最後のピースがはまった。

あれは実際に起きたこと。

「何のために巻き戻したんだ」
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