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優未

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「リナリア嬢の婚約者エル・リンジームは兄上の息がかかった男みたいだね」

婚約者ですよ、殿下」

「デュランテは一途だもんね。こういうのは許せないよね」

第一王子派の人間たちがエンレ殿下の支持者やその親族のことを探っている。少しでも落ち度を見つけたいといったところだろうが、自分たちが先にボロを出しては意味がない。

「私はカルミエ様から直接聞きました。恋人と会っている現場を見られて婚約解消、見事任務に失敗したとか」

「他にも何か頼まれ事はあったかい?」

「リンジームの代わりに婚約者となって探ってこいと言われました」

「君が断っても、兄上が別の人間を婚約者に送ってくるだろうから。それは防ぎたいな」

エンレ殿下がデュランテの方に視線を送ると、彼は静かに頷きかえす。

「元々護衛を付ける予定でしたし、婚約者という形の方が自然でいいでしょう」

どうやら異論はないらしい。

「ではカルミエ様の動向を探りながら、リナリア嬢の婚約者として過ごすということでよろしいですか」

「うん。君がサフィールとして潜入している間は…隣国に派遣されていることにしようか」

「お任せします」

「なるべく早く片が付くことを願うとしよう」

エンレ殿下が防音魔法を解いて去っていった。


シオン・ルドベキアの名は良くも悪くも知られている。今回のような潜入捜査には足かせとなる場合が多い。その為に変化へんげの術で容姿や纏う魔力を変えることがある。サフィール・アパタイトはそのうちの1人だ。容姿を変えることだけなら容易いが、魔力は個々人で質が異なるため変質させるのには大量の魔力を必要とする。変化したまま長期間の任務をこなすとなると条件を満たせる人間が限られる。第一王子の偵察と令嬢の護衛―――魔法騎士の仕事は幅が広い。

カルミエ第一王子は魔法騎士の私をよく思っていない。彼の魔法嫌いは有名で、幼い頃魔力が微弱であることが判明し陛下からの関心を失ったからだと言われている。第一王子派に魔法使いをよく思っていない人間が多いのも事実だ。しかしそれ故に魔法や魔力についての知識に乏しいこともまた事実。魔力の強さのみでエンレ殿下を支持するものなどいないというのに。

選択肢は最初から1つしかない。
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