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優未

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「僕は兄上のことを支えていければいいと思っていたのにな」

隣国に渡るデュランテを見送りにきたエンレ殿下がふと呟いた。幼い頃より比べられてきた2人であるが、同時に切磋琢磨してきた同志でもある。誰にも理解できない複雑な感情があるのだろう。

出発の時間となった時、デュランテがシオンに声をかける。

「シオン、カルミエ様は最近どうも焦っておられるように見える。私の身になにかあるかもしれない。その時は私のことは気にせず―――リナリアのことを守り抜いてほしい」

「必ず」

このまま順調にいったら、リナリアに自分の正体を告げよう。そんな暢気なことを考えるくらい自分は油断していた。相手がなりふり構ってはいられない状況だとも知らずに。



「クーデターの計画書が急に出てくるなどありえないです」

「それはそうだ。クレマチスは何もしていない」

「……」

「隣国との衝突を防いだという実績で俺はこの国の王になる」

「その為に無実の人間の命を奪うというのですか」

「あいつは大罪人だ!!俺ではなくエンレを支持したやつなど―――」

憎しみで歪んだ表情でその名を告げる。

「デュランテ・クレマチスなどこの手で葬ってやる!」

先生は魔術医として陛下に王子2人の魔力の判定を依頼されたことがある。その結果が今の騒動を引き起こしている。

―――全て私のせいだ

シオン・ルドベキアは魔法の才で成り上がった我が家でも持て余すほどの魔力量を持って生まれてきた。小さな体から溢れ出る魔力を抑えることはできても、その魔力が自分自身を痛めつけてしまうことはどうにもできなかった。このままでは大人になる前に自身の魔力に殺されてしまう。そんな時、父から話を聞いた当時文官だった先生が私のことを診てくれた。

症状に応じた魔道具の使用、魔力の適切な発散方法を教え、成長に伴い魔力を自分で制御できるようになった今も公私を問わず気にかけてくれている。私の面倒など見なければ魔法医になることもなく、その身を危険に晒すこともなかった人だ。奥方を早くに亡くされて、大事な一人娘と穏やかに過ごしていきたいと言っていた。

子供の頃、魔力過多で苦しんだ自分を救ってくれた命の恩人とその愛娘を絶対に守り抜く。

そう誓ったはずなのに―――
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