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第四話 召喚された当初
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屋敷はさほど汚れてはいなかったが、やっぱり
日本人としては清潔な方がいいに決まっている。
この世界に来て初めて覚えた魔法がクリーンだ
った。
まだ魔法も使えなかった時に、攻撃魔法よりも
失敗しても問題のない魔法という事で、初めに
教えてもらったのだった。
修行の後でも、汗だくだった服や身体が一瞬で
綺麗になるのだから便利だと思う。
暖かい時期なら水浴びも気持ちいいが、寒い時
期はこの魔法が重宝していた。
「さぁーて、行くか!『クリーン』」
部屋毎に魔法をかけると、埃一つない清潔な部
屋になっていく。
ここでは女性は聖女であるレイネしかいないが、
食事はもっぱら外で外食が多かった。
「そういえばキッチンも綺麗にしたけど、レイネ
って食事作れるのか?」
俺はあまり深く考えずに聞いてみた。
「食事?なんで私が作るのよ?下々の者が作れば
いいでしょ?平民なら私の為に働くのは苦じゃ
ないはずよ?」
「それって何もできねーってことじゃん」
「まぁまぁ、レイネは聖女様だったんだから、キ
ッチンに立つなんてなかったんだね?」
「そうよ。でも、勇者様が言ってくれれば、頑張
ちゃうわ」
「大丈夫だよ、レイネ。無理はしないで」
「そう?なら、今日は勇者様のベッドに行って…」
「さぁ、陸、僕らで作ってみようか?」
「はぁ?なんで俺まで?」
「まぁ、いいからいいから」
こうして、誠治と一緒に街で買い物に来たわけだが
料理などやった事がないので、何を買っていいかわ
からないのだった。
「なぁ~、これってトマトに似てね?」
「わぁーほんとだ!陸、よく見つけたね。買って行
こうか!」
「調理済みの買っちゃダメなのか?」
「それじゃー味気ないでしょ?それに……僕は自分
の作った料理を好きな人に食べてほしいけどな~」
「はいはい、じゃーこれを買って、それからあとは?」
誠治は時折り意味不明な事をいう。
それがなにを意味しているかなど俺は考えた事など
なかった。
それは友人でなくなるのが怖かったからでもあった。
今でも誠治と同じ部屋で寝起きしている。
それにはちょっとした事情があった。
♦︎
この世界に召喚されて、騎士たちに城に迎え入れら
れ勇者として誠治が崇められた時に、役立たずの俺
は、その場から引き離されそうになったのだ。
「なっ、なんだよっ!離せって……」
「陸を連れていくなら僕は勇者なんてお断りします。
僕が勇者になるなら陸も一緒でなければ嫌です」
皇帝に啖呵を切った誠治はかっこよかった。
「この者のステータスはあまりにも低い。勇者パー
ティーとしては役不足じゃろう。代わりになる者
をつけよう」
「では、僕は勇者じゃなくていい。今すぐに陸を返
してください。」
そう言って渡された装備から剣を選ぶと、皇帝に突
きつけたのだった。
それからは、用心するように同じ部屋で寝起きする
生活が始まったのだった。
「陸、大丈夫だった?……これって、あいつらに?」
「大丈夫だって……誠治はあんな事言ってよかった
のかよ?」
掴まれた腕が赤くなっているのを見つけると誠治は
心配そうにしてきた。
俺だって男だ。
多少力強く掴まれたくらい、平気だった。
だが、誠治はそれさえも心配そうにしていた。
誠治に護られなくてもいいくらい強くならなくては
と、思った瞬間だった。
「俺も早く強くなるからさ、そしたら一緒に旅に出
ようぜ。こんなところにずっといるなんて苦行だ
ろ?」
笑って見せると、誠治もほっとしたのか微笑んで見
せた。
それからは、宮廷魔法師から色々な魔法を教わった。
簡単な生活魔法から、攻撃魔法。
仕舞いには、最上級魔法までを一年という速さで
習得したのだった。
それを成す為の魔力が無限にあったからだ。
尽きない魔力があるという事は、休みなく練習で
きるという事だった。
食事と睡眠以外を全て魔法の練習に使ってきた。
そして、最初馬鹿にしていた魔法師達を見返す事
に成功したのだった。
そこまで来れば、皇帝も文句は言えなくなった。
そして、魔王討伐に旅立つ事になったのだった。
日本人としては清潔な方がいいに決まっている。
この世界に来て初めて覚えた魔法がクリーンだ
った。
まだ魔法も使えなかった時に、攻撃魔法よりも
失敗しても問題のない魔法という事で、初めに
教えてもらったのだった。
修行の後でも、汗だくだった服や身体が一瞬で
綺麗になるのだから便利だと思う。
暖かい時期なら水浴びも気持ちいいが、寒い時
期はこの魔法が重宝していた。
「さぁーて、行くか!『クリーン』」
部屋毎に魔法をかけると、埃一つない清潔な部
屋になっていく。
ここでは女性は聖女であるレイネしかいないが、
食事はもっぱら外で外食が多かった。
「そういえばキッチンも綺麗にしたけど、レイネ
って食事作れるのか?」
俺はあまり深く考えずに聞いてみた。
「食事?なんで私が作るのよ?下々の者が作れば
いいでしょ?平民なら私の為に働くのは苦じゃ
ないはずよ?」
「それって何もできねーってことじゃん」
「まぁまぁ、レイネは聖女様だったんだから、キ
ッチンに立つなんてなかったんだね?」
「そうよ。でも、勇者様が言ってくれれば、頑張
ちゃうわ」
「大丈夫だよ、レイネ。無理はしないで」
「そう?なら、今日は勇者様のベッドに行って…」
「さぁ、陸、僕らで作ってみようか?」
「はぁ?なんで俺まで?」
「まぁ、いいからいいから」
こうして、誠治と一緒に街で買い物に来たわけだが
料理などやった事がないので、何を買っていいかわ
からないのだった。
「なぁ~、これってトマトに似てね?」
「わぁーほんとだ!陸、よく見つけたね。買って行
こうか!」
「調理済みの買っちゃダメなのか?」
「それじゃー味気ないでしょ?それに……僕は自分
の作った料理を好きな人に食べてほしいけどな~」
「はいはい、じゃーこれを買って、それからあとは?」
誠治は時折り意味不明な事をいう。
それがなにを意味しているかなど俺は考えた事など
なかった。
それは友人でなくなるのが怖かったからでもあった。
今でも誠治と同じ部屋で寝起きしている。
それにはちょっとした事情があった。
♦︎
この世界に召喚されて、騎士たちに城に迎え入れら
れ勇者として誠治が崇められた時に、役立たずの俺
は、その場から引き離されそうになったのだ。
「なっ、なんだよっ!離せって……」
「陸を連れていくなら僕は勇者なんてお断りします。
僕が勇者になるなら陸も一緒でなければ嫌です」
皇帝に啖呵を切った誠治はかっこよかった。
「この者のステータスはあまりにも低い。勇者パー
ティーとしては役不足じゃろう。代わりになる者
をつけよう」
「では、僕は勇者じゃなくていい。今すぐに陸を返
してください。」
そう言って渡された装備から剣を選ぶと、皇帝に突
きつけたのだった。
それからは、用心するように同じ部屋で寝起きする
生活が始まったのだった。
「陸、大丈夫だった?……これって、あいつらに?」
「大丈夫だって……誠治はあんな事言ってよかった
のかよ?」
掴まれた腕が赤くなっているのを見つけると誠治は
心配そうにしてきた。
俺だって男だ。
多少力強く掴まれたくらい、平気だった。
だが、誠治はそれさえも心配そうにしていた。
誠治に護られなくてもいいくらい強くならなくては
と、思った瞬間だった。
「俺も早く強くなるからさ、そしたら一緒に旅に出
ようぜ。こんなところにずっといるなんて苦行だ
ろ?」
笑って見せると、誠治もほっとしたのか微笑んで見
せた。
それからは、宮廷魔法師から色々な魔法を教わった。
簡単な生活魔法から、攻撃魔法。
仕舞いには、最上級魔法までを一年という速さで
習得したのだった。
それを成す為の魔力が無限にあったからだ。
尽きない魔力があるという事は、休みなく練習で
きるという事だった。
食事と睡眠以外を全て魔法の練習に使ってきた。
そして、最初馬鹿にしていた魔法師達を見返す事
に成功したのだった。
そこまで来れば、皇帝も文句は言えなくなった。
そして、魔王討伐に旅立つ事になったのだった。
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