俺がモテない理由

秋元智也

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第二十四話 バンパイアの弱点

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結局わかった事は、純粋無垢な子供の生き血が
食事として必要で、特に純潔のバンパイアには
眷属を作る能力に優れているが、それも1日に
一体づつらしい。

「でも、なんで一日一体なんだよ?ゲームでは
 一気に100体くらいバーンって作れそうじゃん」

俺は、ゲームならと言うと、モンドとレイネが
呆れたような顔をしてきた。

「陸、あのな~、眷属ってのは自分の血を入れて
 作るんだと聞いてる。それで、人間の血を全部
 吸い出してまずは飲み干してから再び自分の体
 液を入れ直すと出来るって伝承があるだぞ?こ
 れは冒険者なら誰でも知っている知識だ。その
 ゲームとやらはどんな説明だったかは知らない
 が、そんなに多く眷属が出来てたら、人間はと 
 っくに滅んでるだろ?」

モンドは教本のような説明をすると、そこに補足
のようにレイネが付け足す。

「純血であるなら尚更ですわね。普通は混血のバ
 ンパイアは、眷属を作ってもただ歩く屍になる
 だけで思い通りに動かす事はできないの。でも、
 純血は違うわ。眷属を強化したり、思い通りに
 操る事が出来るわ。もちろん、これは昔に書か
 れた書物に書かれていた事だけれど、純血のバ
 ンパイアを倒すには専用の武器が必要なの。
 まぁ、勇者様の剣なら問題ないけれど……」

やっぱりゲームみたいに聖武器という奴なのだろ
うか?
魔王を倒すべく準備した時に、誠治の剣は聖剣と
呼ばれる物をゲットしていた。

もしかしたら、皇帝に献上せよとか言われるかと
思ったが、それもなく。
普通に今も誠治が背中に担がれている。

「噛まれたら眷属になるかと思ってたけど、違う
 んだな~」
「そんな簡単に眷属が出来たら怖いわ。それによ。
 噛まれたらって、それはただの屍になって、動
 きの鈍いだけの雑魚になるだけよ?」
「って、やっぱり噛まれたらダメなんじゃん!」
「当たり前でしょ?何を今更言っているのよ?」
「そうだぞ、冒険者なら誰でも知ってる知識だ
 ぞ?」

まるで常識と言わんばかりの言い方だった。

「なら、誠治が切れば終わりじゃん」
「バカなの?しっかり心臓を貫かないと死なない
 のよ」
「バカって、心臓なら分かるじゃん」

俺の言葉に、モンドがポンッと肩を叩いた。

「あいつらの心臓は一つじゃないんだ。それに
 必ずしも身体の中にあるとは限らないんだよ」
「なんだよそれ……ずるいじゃん」

取り外し自由って事か?
まじでチートじゃん!

そういった俺に、レイネは苦笑いを浮かべた。

「そう易々と、見つかる場所には置かないでしょ
 うね。だからといって、下手な場所に隠して他
 の魔物にでも見つかったら終わりだから、入念
 な隠し場所がない限り、本体が出てくる事はな
 いわ」
「でも、前回俺の前に現れた時は……」
「だからよ。きっとどこかに隠してあるから出て
 きたのよ。前の魔王戦の時も出てこなかったの
 よ?隠れてこそこそしていた奴が出てきたって
 事は……よっぽど自信があるのかしらね」
「誰にも見つからず、そして安全な場所って事か
 な」

誠治は言葉を続けると、レイネはうっとりしながら
頷いたのだった。

「さすがは勇者様だわ。理解が早くてす、て、き!
 どっかの誰かさんとは大違いだわ」
「おい、喧嘩売ってんのか?」
「別に?鈍い人には聞いてないわ」
「なっ……このっ…」
「まぁまぁ、陸、落ち着いて。それでまとめると
 この街のどこかにいて、今も僕らを見ている可
 能性があるって事だね。なら、単独行動は控え
 て、二人一組で動こうか!あとは、奴に有効的
 な武器を持っている僕と、レイネ様は離れた方
 がいいね」
「そ……それは……」

残念そうなレイネに誠治はニッコリと微笑む。
一番腹黒い気がするのは俺だけなのだろうか?

レイネは誠治の為ならきっとなんだってやるだろ
う。
惚れた女ってのは、どこまでも貪欲なのだ。
好いた男の為ならどこまででも残酷になれる。

俺だって、これまで勇者パーティーとして野党や 
向かってくる敵には容赦なく魔法をぶっ放してき
た。

だけど、惚れた相手の為に、正義を曲げる事など
絶対にない。

そこまで人に惚れた事がないからだった。

横にイケメンがいて、誰にでも優しくて…。
そんな状況で、横にいる平凡な男に興味を示す女
など一人もいなかったからだ。

いや。たった一人過去にいた。

俺を気遣ってくれるような優しい子だった。
もう、顔も忘れてしまうほど会っていない。

今、何をしているのだろう?

誠治と一緒に街を見ながら歩いていると、ふと視
界を横切った人物に視線がいった。
その視界の先にちらりとフードを被った女性の姿
が、気になったのだった。

一瞬だったから、見間違いかもしれない。
だが、確かに見かけた横顔は彼女だった気がする。

「っ……」
「陸?どうしたの?」
「ちょっと、待っててくれ。すぐに戻るっ!」

俺は走り出していた。
あの横顔は凄く似ていたのだ。
かつて、この世界で唯一陸を慕ってくれた神官の
彼女に……。

急いで路地を曲がると、先の角を曲がったフード
の人を追う。
そしてやっと追いつくと、服を掴んだ。

「あのっ……待って……」
「……?」

フードの人が、立ち止まると振り返った。

全く別人だった。
さっき見た顔とは似ても似つかなかった。

「なにか?」
「いえ……ごめんなさい。人違い…です」
「もう行ってもいいかしら?その手離してくれ
 る?」
「あ……はい」

凄く恥ずかしくなった。
どうして見間違えたのだろう。

「アウラ……一体どこにいるんだよ……」

追いかけてきた誠治が何事かと心配そうに眺めて
くる。

「一体いきなり走り出してどうしたの?」
「いや……なんでもないよ。見回りの続きをしよ
 うか」

俺の様子に誠治は気を使ったのか、いきなり休憩
しようと言ってきたのだった。

「そこで休もうか?街を見回るのもいいけど、同
 じところで人の流れを見るのも大事だよ」
「あぁ……そうだな」

休むついてに、ベンチに腰掛けたのだった。





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