俺がモテない理由

秋元智也

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第四十三話 一国の終焉

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同時に飛びかかって来るワーウルフを斬ろうと前
に出た瞬間、他のワーウルフが角度をかえて飛び
かかって来ていた。
それを気付くのが遅かったのか、一瞬で一人殺さ
れてしまう。

「うわぁっ……やめろっ……あぁぁ!」

首に噛み付くと骨を噛み砕き肉を引きちぎったの
が見えた。

真っ赤な鮮血が飛び散ると匂いで引き寄せられた
のか魔物の数が増える。
早くここを離れた方がいいのは分かるのだが、こ
の先が気になるのもあった。

助けるべきか?
それとも、ギリギリまで見ているべきか。

最初に喧嘩を売ってきたのはこの国の一番偉い奴
だった。

俺たち勇者パーティーは勇者という肩書きの誠治
を中心としたパーティーだ。

もし魔王を討ち取ったとなれば他国のお偉いさん
にしては面白くないのだった。
ましてや他国が発表した勇者となればなおのこと
だ。

まぁ、そんなくだらないプライドの為に俺らは
あとをつけられ、暗殺部隊を送り込まれ、迷惑
して居たのだった。

木の枝を足場に俺はするすると木の上へ登った。

下で見ているのもいいが、匂いで俺まで巻き込
まれる事にはなりたくなかった。

もし、ここにいるのが誠治だったら?
すぐにでも助けたかもしれない。
だが、俺はそうはしない。

どっちも弱るのを待つつもりだ。




じっと見ていると、次第に騎士達も地形に慣れ
たのか、動きの早さに慣れたのか。
確実に、1匹づつ倒し始めていた。

だが、数が圧倒的に多いせいか不利な現状は変わ
らない。

一人、また一人と倒れていく。
魔物もまた、一匹、また一匹と倒されていく。

王を護る騎士も数人になった。
すでにボロボロで、王より先に逃げ出さないのが
不思議なくらいに忠誠心が強いらしい。

俺だったら、とっくに見限っている事だろう。

やっと、騎士が一人になった所で、最後の騎士が
ワーウルフの突撃にバランスを崩し転んだ所を見
るやいなや、魔法を発動する。

『風の刃よ、我が前の敵を切り裂かん。ウインド
 カッター』

俺は、魔物が全員倒れるのを確認してから地面
に降りた。

残された騎士は女性騎士一人だけだった。
王様を背に庇うように立っているが、もう足は
ガクガクと震えて居た。

「このままここに居ると、また血の匂いを追って
 魔物が来ますよ?早く行きましょう…」
「貴殿は……味方ですか?」

騎士の弱々しい声が、俺の耳に届いた。
一度王様とは顔を合わせた事があった。

確か、誠治が勇者として活躍し始めた時に魔物
退治をした帰りに王城に招待されたのだ。

その時、俺もモンドもレイネも一緒だったが…。
今の俺の格好はあきらかに不審者だった。
黒ずくめで、魔法師らしくない忍び装束の様な姿
だった。

これでは疑われても仕方がない。

「えぇ、俺は…助けに来たんです。早くこちらへ」

怪しい事この上ないが、それでもここにいるより
はいいと思ったのだろう。
俺の後ろをついてきた。

城の裏手の山を降りる様なコースを選びながら、
実際は城の城門の前に出る様にぐるりと回ってき
ただけなのだが。

霧を発生させながら、視界の悪い森を抜ける。
すると目の前には城門の塀が広がっており、すぐ
そこに城門があったのだった。

「これで、安全ですよ」
「おい、貴様!何を考えているんだ!ここは城の
 前じゃないか!」

怒鳴る騎士を軽く笑うと、手を振って見せた。

「安全な場所までお連れすると言ったじゃないで
 すかぁ~。ここが一番安全ですよ?」

そう言って、反乱に加担した平民達の目の前に王
を突き出したのだった。



王を引きずり下ろす為に、平民の不平不満を煽り
先導して、その隙に勇者パーティーが突入したの
だ。

神官達を人質に教会は動く事ができなかった。

が、助け出した今、正義はこちらにあるのだった。

多分、神官達も無事脱出している頃だろう。
逃げ延びていれば、すぐにでも教会へ駆け込むだ
ろう。

教会には神殿騎士という、しっかり訓練された騎士
達がいる。

あとはその人達がここに加われば、完璧に落とせる
という算段だった。

「おい、ここに連れてきた目的はなんだ!我をはめ
 たのか?」
「私が……命にかけても御守り申し上げます」
「えぇーい。女風情がっ!」

自分を必死に護ってくれた騎士を足蹴にすると、こ
の場から逃れようと走り出したのだった。

『風よ、我が身を護る盾となれ、ウインドウォール』

目に見えない風の壁が聳え立つ。
巻き上がる風の渦を中心に細長く壁のようになった。

まるで鳥籠のようにそこに閉じ込める目的で魔法を
放ったのだった。

「逃げなくてもいいのに……そう言えば神官達を閉
 じ込めた理由を聞いても?」
「あやつらは我の治療の為に呼んだんじゃ。何が
 悪い?」
「いえ、でしたら部屋に閉じ込めた理由が知りたい
 なぁ~って思いましてね。今頃は教会へ逃げおお
 せている頃でしょうけどね」

俺の言葉も終わらぬうちに、重厚な鎧を身に纏った
騎士の一団が辿りついたのだった。



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