俺がモテない理由

秋元智也

文字の大きさ
42 / 61

第四十二話 過去の出来事

しおりを挟む
ドアがいきなり開かれると、中には数人の神官服
の男達が蹲って居た。

腕を縛られ逃げられないようにされて居たのだっ
た。

「大丈夫ですか?助けに来ました。俺らは勇者の
 連れで、ここに囚われている神官を助け出して
 欲しいと言われて来たんです」

いきなり嘘を吐くと、安心させるように依頼され
たのだと言った。

「それは……ありがたい」
「教皇様の導きか、いや、女神様のご慈悲だろう」

口々に縄を解くと神に祈りを捧げ出したのだった。

「今は時間がないのです。すぐに逃げてください。
 一緒に来た者が西側から騒ぎを起こして居ます。
 今ならこちらの通路を通って逃げられるはずです」
「あぁ、ありがたい。無事に逃げ延びたなら、ぜひ
 お礼をさせていただきたい」
「あぁ、俺はあんた達にとある呪いを解いてもら
 いたいんでね。絶対に無事に逃すから付いてきて
 ください」

そう言うと、俺はモンドと別れた。
モンドは当初の予定通りに玉座の間へと向かう。

だが、俺はこの神官達を連れて外へと通じる抜け
道へと向かったのだった。

「こちらです。ここをまっすぐにいくと、俺らが
 侵入に使った抜け道に出ます。開けた場所の奥
 の井戸があり、そこに梯子がかかっているので、
 そこを降りてまっすぐ行くと隣の村井戸につな
 がっています。そこで待って居てください。あ
 とは教会までお送りしますから」
「何から何まで、感謝いたします」

確かこの中の一人がすごい神聖力を持った神官だ
ったはずだ。
レイネの師匠に当たる人だと誠治に話していたの
を盗み聞きした記憶があるからだった。

過去の俺はこいつらをその場に放置した事で、彼
らを死なせてしまったのだ。

「よし、今回は死なせなくてよかった…」

誠治のように人助けを主としてはいないせいか目
の前の敵しか見えて居なかったのだ。
今なら、どう動くべきかわかる。

俺らが攻め入って来た時、王はすぐに逃げる準備
をして居たのだ。
そして、魔族に裏切られた王は裏手の山に逃げ込
んだのだ。
そこで魔物に襲われて護衛と共に、次の日に死体
で発見されたのだ。

俺は、すぐに城を出ると森の奥へと探しにいく。

モンドにも知らせたかったが、説明が出来ない。
そもそも、過去を知っているので、森へ逃げたの
だと言っても、誰も信じないだろう。

俺はたった一人で行動するしかなかったのだった。

ここは魔物もいるので、警戒しながら探さなけれ
ばならない。

迂闊に声をあげようものなら、魔物を引き寄せて
しまうからだ。

だが、そんな事は心配する必要はなかったらしい。

少し離れた場所で怒鳴り声が聞こえたからだ。

「おい、いい加減にしろ!お前達が不甲斐ない
 からあんな勇者如きに城を攻め落とされる事
 になるんだ!たかだか若造がっ…忌々しい」

声の主は、この国の国王だった。
生きたまま捕まえられるならそれに越した事は
ないからだ。

そっと影に隠れながら様子を見る事にする。

今出て行っても、護衛の騎士と戦う事になり
そうだからだ。

王が死んだ原因は確か魔物の襲撃だったはず
だ。

見つかった時には、身体中食い荒らされて、
衣服もボロボロでただの残骸としか判別でき
ない状態だった。
それでも国王だと判断した理由は身に着けて
いた装飾品だったと聞いた。

「おい。そこのお前!服を脱げ。」
「それではお守りできかねます」
「いいから、わしの言う事を聞け!それと、他
 の者はついて来い」

少し太めのがっしりした騎士の服を脱がせると
王は自分の服と取り替えたのだった。

「これも身につけておけ」
「ですが。これは……」
「いいから、それから後ろを向いておれ」
「はい……我が王の命ならば……」

騎士が後ろを向いた瞬間。
他の騎士の剣先がその騎士の身体へと突き刺さっ
ていく。

無残に貫かれた騎士はその場に横たわったのだっ
た。

「これは……嘘だろ……」

俺の今見ている光景は、過去でもあった事だろう。
となると、王は生きている?

そう思われた時、血の匂いに誘われてきたのか
ワーウルフが姿を見せたのだった。

ワーウルフは俊敏性に優れた魔物で、機動力であ
る足さえ奪ってしまえば、楽に勝てる相手だ。

俺ならもちろん、足元を鈍らせるのだが……。
はて、騎士の中に魔法が使える者がいるのだろう
か?

ここはじっくり観察する事にした。

王を取り囲むように騎士達が陣形を組んだ。
まぁ、護る対象がいればそうならざるを得ないだ
ろう。

だが。ここでこの陣形は悪手としか言えない。

そもそも、俊敏性の高い魔物相手に護りの姿勢で
は一向に倒せないのだ。

だからと言って、盾を持っているのならまだしも
剣だけの騎士ばかりでは、無意味と言えたのだっ
た。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

新生活始まりました

たかさき
BL
コンビニで出会った金髪不良にいきなり家に押しかけられた平凡の話。

ヒメ様が賊にさらわれました!

はやしかわともえ
BL
BLです。 11月のBL大賞用の作品です。 10/31に全話公開予定です。 宜しくお願いします。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

唇を隠して,それでも君に恋したい。

初恋
BL
同性で親友の敦に恋をする主人公は,性別だけでなく,生まれながらの特殊な体質にも悩まされ,けれどその恋心はなくならない。 大きな弊害に様々な苦難を強いられながらも,たった1人に恋し続ける男の子のお話。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

処理中です...