あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~ 

とらんぽりんまる

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おじいちゃんの屋根裏部屋

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 麻那人に手招きされて行ったのは、おじいちゃんの屋根裏部屋。
 
 結局、なんだかんだで麻那人だけがこの部屋で寝ていた。
 
 二階の廊下の端っこに、鎖がぶら下がっている。
 それを引っ張ると、階段が天井から降りてくるのだ。

「よいしょっと……」

 階段をあがると、おじいちゃんの屋根裏部屋。

 光が小さい頃に亡くなったおじいちゃん。
 光はおじいちゃんがこの部屋にこもっていると、会いたくなって我慢できなくなった。

 でも、この階段は一人で上がると危ないからと、笛を吹きなさいと言われていた。
 大切な金色の笛。
 笛を吹くと、おじいちゃんが階段を降ろして顔をだし、光を抱っこして屋根裏部屋に連れていってくれた。

 ……でもあの金色の笛は、おじいちゃんが亡くなった時に一緒に失くなってしまった。

 泣いて自分を責める光に、お母さんが抱き締めてくれてこう言った。

『光、あなたが失くしたわけじゃないの。そういう契約だったんだわ、だから一緒にバイバイしようね』 
 
 何を言っているのか、よくわからなかったけれど光の心は少し楽になった。

「……光?」

 麻那人の声でハッとなる。
 
「あ、ごめん!」

 なんだか懐かしい事を思い出してしまった。
 麻那人が先に階段をあがって、顔を出して手を差し伸べてくれたからかもしれない。

「うーん、やっぱり素敵」

 おじいちゃんの屋根裏部屋。

 ファンタジー映画に出てくるような、木で出来た本棚には色んな世界の本がびっしりと詰まっている。

 どれだけ重いんだろう? と思うようながっしりした木の机は磨き上げられたようにツヤツヤだ。
 壁には星やワニが描かれている。

 机の上には、羽根ペン。
 ロウを垂らして、手紙に封をするシーリングスタンプもある。

 棚には、ゴロゴロと鉱物の原石、干からびたような根っこ。液体や粉の入ったガラス瓶。
 
 天秤、何に使うのかわからない計測器。
 光にとって、何かわかるものなんて殆どない。

 でも、この部屋がやっぱり大好きだ。

 端っこに小柄だったおじいちゃんのベッドがある。
 パッチワークのベッドカバーがかぶせてあるのだ。

「このベッドは君が使いなよ」

「えっ」

「僕は今日からこれで寝る」

「悪魔王子! 王子である貴方様が、このような布の上で寝るだなんて!」

 ファルゴンが急に現れて、屋根裏部屋の天井をコウモリみたいにパタパタ飛んで喚く。
 
「はは。布じゃない、ハンモックだよ。僕はこれで寝てみたいと思ってたのさ」

 そういう麻那人の足元には届いた巨大なハンモックのダンボールがある。

「あ、これ……組み立てるの?」

「あぁ、そうだよ」

 麻那人が片手を上げると、ハンモックのダンボールが開いて中から部品が現れる。

「あ、魔法」

「うん」

「今日はもう二回目だよ? 大丈夫?」

「大丈夫じゃない?」

 軽く言う麻那人は、くるくる指で操るようにすると丁度スペースがある部分にガシン! ガシン!とハンモックが設置されていく。

「杭は残らないようにするよ」

「う、うん……」

 光が寝る事になるベッドのスペースの上に横と縦になるように、麻那人のハンモックは完成した。

「ヨイショ」

 本棚の本を取る用にある踏み台を麻那人は移動させる。
 それを足がかりにすると、ハンモックに麻那人は余裕で乗ることができた。

「わぁい」

 嬉しそうに揺れる麻那人。

「ううう! いいなぁ」

「おいでよ」

「えっ二人も乗って落ちない?」

「大丈夫だよ。魔法で組み立てたんだもん」

「じゃあ! 乗る!」

 楽しそうなことは、絶対やってみたい!
 光も踏み台に乗って、麻那人が引き上げてくれた。

「ぎゃあ! ゆ、揺れる!」

「あっはは、ハンモックだからね」

 思った以上に、布に身体が沈んで身動きが取れない。
 麻那人は笑っているけど、起き上がろうとすると揺れる!

「落ちる!」

 ハンモックがひっくり返って、二人で床に落ちた。
 瞬間に、ふわっとトランポリンのような感覚があった。
 頭から落ちそうになったのに、痛みも何も感じない。
 黒い雲のようなものが散っていくのが見えた。 

「麻那人……魔法使ったでしょ」

「うん、だって危なかったし」

「今日はもう三回目使っちゃったよ!? 大丈夫!?」

「大丈夫さ」

 時刻は21時。

「悪い偶然も、そんなに毎度起こるもんじゃないよ」

「そうなの?」

「そうだよ」

 ラーの事があってから、ちょっとビクビクしていた光。
 
「だから安心していいよ」

 根拠があるのかわからないけれど、麻那人の変に自信たっぷりな微笑みに光の心はホッとした。 
 
「……うん……!」

「ほら、天使の加護も君を見守っている」

 キルティングのベッドカバーも天使の加護マークをデザインしたものだったのだ。

「え?」

 おじいちゃんから何度か聞いたこともあったし、本や絵でも見せてもらった事があった紋章だった。

「それなのに気づかなかった……」

「日常にあるものって、そういうことが多いよね」
 
 沢山の色の布で作られていたので気付かなかった。

 おばあちゃんが作ったんだろうか? と光は思う。
 きっと長い歴史があるのに、くすむこともなくふんわりと、そこにある。

 嬉しさで心がくすぐったくなる。
 光はフフッと笑った。

「……麻那人もこれを使ってたの?」

「まさか、僕が使ったら溶けちゃうよ」

 冗談なのか、なんなのか。麻那人がベロっと笑って舌を出した。
 

 
 
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