あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~ 

とらんぽりんまる

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魔術クラブ・天使の加護の紋章

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 ルルが描いてくれた、追いかけ鬼の絵。
 その絵を、ラーが家のプリンターで人数分コピーしてくれた。

「これってSNSで、みんなに聞いたらダメなの?」

 ラーはモデルの仕事として、SNSをやっている。

「うーん。変な目立ち方をすると、蘭子ちゃんに何をされるかわからない。心配だからやめておこう」

「心配……麻那人君……優しい……わかったわ! イケメン!」

 うっとりするラー。
 麻那人が言うこと、することは何でもイケメンみたいだ。
 
「じゃあ、これからみんなで聞き込みって感じだね」

 光が追いかけ鬼の絵を、見ながら言う。
 やっぱり恐ろしい顔だ。
 
「……追いかけ鬼の犯人め……! 絶対捕まえる」

「でもさぁ。光以外の、あたし達は襲われたりとか絶対にないの?」

 リィが不安そうに言う。

「そうだよね……ちょっと怖いし不安だよね……」

 ルルもだし、ラーも確かに不安そうな顔をした。
 
「とりあえず光。あれを配って」

 麻那人に言われて、ラーの家に来る前に駄菓子屋『てっぺぽりん』で買ってきたものを袋から取り出す。

「缶バッジ?」

 定番のグッズ。
 缶バッジだ。
 でもアイドルやキャラクターが、描かれているわけではない。
 何か図形が描いてある。

「なんの模様なの? 光」

「えっ!」

 光が渡したものだから、みんな光が用意したものだと思ったようだ。

「これはお守りだよ。ね? 光」

 麻那人が、いつもの笑顔で言う。
 
「う、うん……そうお守り!(お守りだったの!? なんで麻那人が説明しないのよ~)」

「じゃあ、これを着けてたら大丈夫? 可愛いじゃない」

 ラーがもう、バッジ自分の胸元にを着けている。
 ラーの洋服はいつも有名ブランド。
 なのに気にせず着けて、嬉しそうだ。

「うん、君達は大丈夫だよ。虫除けスプレーみたいなものさ。ね? 光」

「(えぇ!? そうなの!?……でも、たしかにこれはおじいちゃんの部屋で見たことがあったかもしれない)……そっか……これ天使の加護の紋章」

 勝手に口から出てきた言葉。
 ハッとする。
 でも麻那人を見ると、またにっこり笑った。
 みんなに、今のつぶやきは聞こえていないようだ。

「いいね! なんかみんなお揃いでさ! クラブって感じがするよ」

 リィも胸元に着けて笑う。

「とっても素敵なデザインだね……ありがとう光ちゃん」

 絵の上手なルルも、気に入ってくれたようだ。
 
「麻那人君は~? 着けないの?」

 ラーが麻那人にすり寄った。

「僕が着けたら溶けちゃう……いや、僕も着けるよ」

 麻那人は自分のベストにバッジを着けた。

 光だけが気付いたが、微妙にデザインが違う。

 魔法陣や紋章は、どこか一つでも間違えば効力を失う。
 つまり、天使の加護の効果はない……ということだ。

 悪魔王子の麻那人にとっては天使の加護はなんだろう。

 今敵は、光を狙ってくる。
 みんながこのバッジをしていれば大丈夫なら安心だ。

「(私は、大丈夫なのかな……)」

 不安もあるけれど、麻那人がいるから大丈夫かな? とも思う。

 そして麻那人が悪魔王子だという事も知らないみんなも、光の無事を信じているようだった。

 それから少し話をして紅茶を飲んで四人でテレビゲームをして、今日の集まりは終わりになった。

 ラーは今週は、モデルの仕事がある。
 リィも、陸上の練習があるようだ。
 
「私は絵のコンクールも終わったばかりだから、情報収集は行けるよ。光ちゃん」

「うん、じゃあ一緒に情報収集しようか!」
 
 昼休みは皆で計画を立てて放課後は、ルルと一緒に情報収集を頑張ることになった。

 


 お家に帰ると、今日の夕飯は具がいっぱいの豚汁だった。

 豚肉、白菜、さつまいも、しめじ、ニンジン、大根、玉ねぎ、油揚げに豆腐にコンニャク!

 野菜がいっぱい入ってて、栄養抜群!

 身体があったまって汗だくになって光も麻那人も食べる食べる。

「お味噌って美味しいなぁ。発酵食品、人間の偉大な発明だ……」

 子どもっぽくもないような事を言うので、お父さんが笑った。

「発酵して熟成……時間をかけると、ますます美味しくなるってすごいよね」
 
 光も美味しい豚汁をすすって、しみじみする。

「新しいものだけが、素晴らしいわけではない。歴史のあるものこそ、光り輝く時がある……」

 麻那人の深い言葉……。
 なんだか、味噌の話ではなくなっている気がする光。
 
「麻那人君は難しい事を言うね。そうだ、ハンモックが届いたよ」
 
「えーお父さん、ハンモックってなに?」

 お父さんの言葉に心当たりがなく、不思議に思う光。

「おじいちゃんの部屋を二人で使うっていうけど、ベッドを二つ置く場所もないし……麻那人君がハンモックで寝るっていうから注文したんだよ」

 またお父さんが、変にニコニコ笑っている事に気が付いた。
 きっと、さいみん術だ!

「でも、あれを取り付けるには業者に頼まないと危ないかな……」

「大丈夫、僕一人で作れますから」

 ニッコリ麻那人が笑う。

「そうかい? じゃあ頼むよ」

「はぁい」

 小学生に、ハンモックの設置を頼むなんてアリエナイ!

 やっぱり絶対さいみん術だ! と光は思う。
 
 ちなみに、さいみん術は一日三回の魔法には入らないらしい。
 すごく簡単で、ココアを淹れるくらい簡単だって! 

 そんなに簡単にできるなんて、ゾッとしてしまうけど……。
 なんとなく麻那人はいいヤツかも、と光も思い始めている……。

「豚汁おかわりしていいですか!?」

「もちろん!」

「じゃあ私も!」
 
 二人でおかわりを三回して、お腹がいっぱいでお風呂に入るまでに時間がかかった。
 
「(今日もいろんなことがあったなぁ)」

 昨日から、色々……。
 いや、悪魔王子が家に来てから色々ありすぎだけど……。
 
 魔術クラブは再結成したし、ラーともまた、前のように仲良くできそうだ。

 いい感じ。

「ふんふん~♪」 

 お風呂からあがって、鼻歌を歌いながらリビングに行くと麻那人がいない。

「あれぇ? 麻那人?」

「光、こっち」

 青いパジャマ姿の麻那人が、光を呼んだ。

 

 
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