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アスタリア国の事情 ②
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王の追悼を終えたその日、第二王子カッシオは現王妃ミランダ様と共に、王宮のほど近くにある〝太陽の広場”にて国民に向かい高らかに宣言した。「我こそがこのアスタリアを繁栄へと導く太陽の王である!」と。
それを受け王宮のバルコニーから今度は第一王子ファブリチオが宣言した。「我こそがアスタリアの正当な後継者。この国にどんな脅威も寄せ付けぬ頑強の王である!」と。
切って落とされた火蓋。日夜流される血と涙。
「ファブリチオ派の筆頭である宰相が凶刃に倒れました!」
「何!」
「カッシオ派の重鎮、ハノーバー侯爵が領地へ向かう道中何者かに襲われ亡くなったと…」
「くっ…」
日々報告される訃報に己の無力さを思い知らされる…
だが、今の私に一体何が出来るというのか、私は何をすべきなのか…
兄上たちはお分かりでないのか!優秀な人材を次々と失い国は荒れ民は疲弊し、これではカッシオの望む繁栄もファブリチオの望む驚異の無い国も遠ざかるばかりだと言うのに…
「大変です!仲裁に入ろうとしたアレクサ様が両派閥の刺客に狙われております!」
「それはどういうことだ!」
アレクサ様は昨年落馬により亡くなられた王弟殿下の妃であり、二人の王女と一人の王子に恵まれた賢明な才女であられる。その王子こそが継承順位第五位のルイージであり、ルイージは王の葬儀を終えた後、母であるアレクサ様の指示のもと、もっとも安全であろう私の宮に留まっていた。
アレクサ様はお二人の諍いを止めようと陰で奔走しておいでだったが、それを煩わしく思う何者かがどちらの派閥にも存在したと言うことだろう…
「アレクサ様はどこに居られる」
「はっ、王城南の大門にほど近い中立家で折衝に当たっておりました」
「ロデオ、加勢は出来ないか」
「フラヴィオ様、正直申してそれほどの手勢フラヴィオ様にはございませぬ。あったとしてもそれはあなた様のために使わねば」
「それはどういう意味だ」
ロデオは言う。アレクサ様は隣国の王族から嫁がれた由緒正しき王弟妃。南の大門はその隣国へ続くもっとも都合のいい出入口だと。
「あの賢明な王弟妃アレクサ様であれば即座に母国である隣国へ救援を要請し上手く国外へ脱出なされましょう」
「そうかもしれない…、ロデオ、お前のいう通りだ」
「そして側妃様でございますが…」
「うむ、母か…」
「側妃様は葬儀の後ミランダ様より王宮からの退去を命じられております。とうにご実家へ到着されておりますでしょう。心配には及びますまい」
…ミランダ様も随分嫌な真似をなさると思っていたが…今となっては幸いだったと言うしかない。
母の生家シリル男爵領は王都のある国の東側から最も遠い西側に位置する争いの届かぬ僻地だ。この状況下で向かうには長く危険な道中となるが、二人が狼煙を上げるより前に王宮を後にしたのは何より幸運だった。
「そうなると問題はこの第四宮に留まられたフラヴィオ様とルイージ様でございます。お二人は第五第六といえまごうこと無き王位継承者。あのお二人が一切の脅威を取り除こうとお考えである以上、いずれお命を狙われましょう」
「そう…なのであろうな…」
ああ…私自身は何も望んではいないと言うのに。だがロデオの見立ては正しいのだろう。私はまだ二十歳を超えたばかりの若輩者、ルイージに至ってはまだ十歳にも満たない子供だ。だからこそ今の今まで捨て置かれていたが…あのファブリチオであればいずれ驚異の芽は取り除くだろうし、非情なカッシオも懐に入らぬと分かれば切り捨てよう…
私の前には二つの道がある。一つは王子としての責任を担い、この地に残りなんとか争いを止めること。だがそれは今の私の力では不可能に近い。
そしてもう一つの道、それはなんとかこの争いからルイージを遠ざけ、いつか来るかもしれぬその日に備えることだ。
ルイージは人格者であられた亡き王弟と、聡明と名高い王弟妃の血を引く王子。その片鱗はいまですらすでに見て取れる。
そして…
争いを続ける二人の王子を見て思う…。遅かれ早かれこの王朝はどちらが王座に付こうがいずれ潰える。ならばその日に備えルイージに力をつけさせるのが私に出来る唯一なのではないか…
だが仮にも〝王子”と呼ばれる私とルイージが国を捨て逃げ出す、そのようなことが許されるのだろうか…
思い悩むそんな折、その文は届けられたのだ。
「フラヴィオ様、アレクサ様からの文でございます」
「な、何と書いてある!」
「…ルイージを頼みます、と。使者どのが言われるには、アレクサ様は王女様をお連れになって母国へと向かわれたようでございます」
であればこの文は王弟妃殿下から私への信頼と言えよう。ならば心は決まった!これは逃避ではない。生きるための戦略なのだ!
ーわぁぁぁ!ー
ーそこをどけぇい!ー
「あれは何だ!」
「…もしやルイージ様を狙う刺客…!」
やはり魔の手はここまできたか!
「ルイージ!ルイージはどこだ!王弟妃殿下に託されたのだ!何があろうとあの子だけは護らねば!」
「フラヴィオ殿下!こちらへ!お早く!」
「ルイージ!ルイージ!」
「うぅ…フラヴィオ兄様、ここです…」
サロンの暖炉の中に小さく丸まるルイージ。可哀想に…。暴漢の声に怯え切った彼は何とか身を隠そうと必死だったのだろう。煤にまみれたまま震える背を見て、私はどんなことをしようがこの子を守り次代へつなげる。そしていつかこのアスタリアへ帰還しルイージを王座につけるそう固く心に誓った!
それを受け王宮のバルコニーから今度は第一王子ファブリチオが宣言した。「我こそがアスタリアの正当な後継者。この国にどんな脅威も寄せ付けぬ頑強の王である!」と。
切って落とされた火蓋。日夜流される血と涙。
「ファブリチオ派の筆頭である宰相が凶刃に倒れました!」
「何!」
「カッシオ派の重鎮、ハノーバー侯爵が領地へ向かう道中何者かに襲われ亡くなったと…」
「くっ…」
日々報告される訃報に己の無力さを思い知らされる…
だが、今の私に一体何が出来るというのか、私は何をすべきなのか…
兄上たちはお分かりでないのか!優秀な人材を次々と失い国は荒れ民は疲弊し、これではカッシオの望む繁栄もファブリチオの望む驚異の無い国も遠ざかるばかりだと言うのに…
「大変です!仲裁に入ろうとしたアレクサ様が両派閥の刺客に狙われております!」
「それはどういうことだ!」
アレクサ様は昨年落馬により亡くなられた王弟殿下の妃であり、二人の王女と一人の王子に恵まれた賢明な才女であられる。その王子こそが継承順位第五位のルイージであり、ルイージは王の葬儀を終えた後、母であるアレクサ様の指示のもと、もっとも安全であろう私の宮に留まっていた。
アレクサ様はお二人の諍いを止めようと陰で奔走しておいでだったが、それを煩わしく思う何者かがどちらの派閥にも存在したと言うことだろう…
「アレクサ様はどこに居られる」
「はっ、王城南の大門にほど近い中立家で折衝に当たっておりました」
「ロデオ、加勢は出来ないか」
「フラヴィオ様、正直申してそれほどの手勢フラヴィオ様にはございませぬ。あったとしてもそれはあなた様のために使わねば」
「それはどういう意味だ」
ロデオは言う。アレクサ様は隣国の王族から嫁がれた由緒正しき王弟妃。南の大門はその隣国へ続くもっとも都合のいい出入口だと。
「あの賢明な王弟妃アレクサ様であれば即座に母国である隣国へ救援を要請し上手く国外へ脱出なされましょう」
「そうかもしれない…、ロデオ、お前のいう通りだ」
「そして側妃様でございますが…」
「うむ、母か…」
「側妃様は葬儀の後ミランダ様より王宮からの退去を命じられております。とうにご実家へ到着されておりますでしょう。心配には及びますまい」
…ミランダ様も随分嫌な真似をなさると思っていたが…今となっては幸いだったと言うしかない。
母の生家シリル男爵領は王都のある国の東側から最も遠い西側に位置する争いの届かぬ僻地だ。この状況下で向かうには長く危険な道中となるが、二人が狼煙を上げるより前に王宮を後にしたのは何より幸運だった。
「そうなると問題はこの第四宮に留まられたフラヴィオ様とルイージ様でございます。お二人は第五第六といえまごうこと無き王位継承者。あのお二人が一切の脅威を取り除こうとお考えである以上、いずれお命を狙われましょう」
「そう…なのであろうな…」
ああ…私自身は何も望んではいないと言うのに。だがロデオの見立ては正しいのだろう。私はまだ二十歳を超えたばかりの若輩者、ルイージに至ってはまだ十歳にも満たない子供だ。だからこそ今の今まで捨て置かれていたが…あのファブリチオであればいずれ驚異の芽は取り除くだろうし、非情なカッシオも懐に入らぬと分かれば切り捨てよう…
私の前には二つの道がある。一つは王子としての責任を担い、この地に残りなんとか争いを止めること。だがそれは今の私の力では不可能に近い。
そしてもう一つの道、それはなんとかこの争いからルイージを遠ざけ、いつか来るかもしれぬその日に備えることだ。
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思い悩むそんな折、その文は届けられたのだ。
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「な、何と書いてある!」
「…ルイージを頼みます、と。使者どのが言われるには、アレクサ様は王女様をお連れになって母国へと向かわれたようでございます」
であればこの文は王弟妃殿下から私への信頼と言えよう。ならば心は決まった!これは逃避ではない。生きるための戦略なのだ!
ーわぁぁぁ!ー
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「あれは何だ!」
「…もしやルイージ様を狙う刺客…!」
やはり魔の手はここまできたか!
「ルイージ!ルイージはどこだ!王弟妃殿下に託されたのだ!何があろうとあの子だけは護らねば!」
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