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新しいライフプラン 準備中
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今朝の朝食はブリトーっぽい何かだ。小麦粉を溶いて焼いたトルティーヤっぽいものに、昨日取り分けておいたラタトゥイユの具材をサルサソースの代わりにアレンジした一品である。残り物のアレンジ。これもまた節約の基本だ。いかに残り物と感じさせないか…、そのあたりに技量が問われるところだが。
「これが昨日と同じ物とは…とても思えないな」
「おほう!刺激的ですな!」
「唐辛子入れたから」
その朝食を食べながら僕は本日の指令を各員に割り振っていく。
「じゃフラヴィオは午前馬の世話、午後からルイージ君と書斎を片付けてね」
「古書の整理をすればいいのだろうか…」
「うん。分類がバラバラで気持ち悪いし机の上も溜まってるし…。中身を確認しながら勉強に必要な本をピックアップして」
「なるほど」
「イヴァーノ様、このお屋敷にはたくさんの蔵書があるのですね」
「ルイージ君は本が好き?」
「ええ。ですが私の国は書物が少なく…なのでとても嬉しいです」
「そうなの?じゃあ今度絵小説か何かお土産にするね」
「わぁ!楽しみです!」
ルイルイは品の良い静かな少年だが、時折見せる子供らしい顔が実に微笑ましい。
「それからおじいちゃんは昨日買ってきた道具で裏庭耕して菜園作りね。エルモとリコが手伝ってくれるって」
「それは良いのですが…」
「何?なんかあるの?」
またなんか面倒なことを言い出す気配…。ここの主従は全部顔に出るから分かりやすいんだよ!一番ポーカーフェイスなのがルイージ君ってどういうこと?
「イヴァーノ様!私もあのようにお洒落な上着が欲しいですぞ!」
「はぁ?何言ってんの!おじいちゃんもう社交とか関係ないでしょ!」
「欲しいですぞ!」
「うるさいなあ…」
朝食の支度を待つ間に衣裳部屋でジャケットのリメイク品を見たんだろう。お出かけの予定もないくせに自分も新しい貴族服が欲しいとはどういう了見だろう…
コス作成は僕の趣味でもある。時間と材料さえあれば作るのは全然嫌じゃない。が、このじいさんに今さら貴族服がそれほどいるだろうか?
三人にはそれぞれ、自国から着てきた貴族服がある。これは物は良いが痛みが激しいので近々修繕する予定である。そしてコレッティ家を訪れた際、身なりを整えるついで着替えた貴族服を、返せと言われないのをいいことにそのまま借りパクしている。これは生地と刺繍を見る限りかなり上等なものだ。
つまり庭仕事…平服。ちょっとそこまで…老男爵の古い衣類、一張羅…手持ちの貴族服二着、で、夜会も茶会も無いじいさんには十分だと思うわけだ。
「ロデオ、イヴに無理を言ってはいけないよ」
「ですが隣の子爵家の執事トニオはなかなか仕立ての良い上着を着ておりましてな。あ奴め、道で会うと見せつけてくるのですわい」
「ロデオ!」
「待ってフラヴィオ、…執事服か…」
言われて見れば確かに。
引っ越しパスタを持って隣家へご挨拶に伺った際、挨拶に出てきた執事はスクエアタイが良い感じに決まった渋いタキシードタイプの執事服を着用していた。
しっかりした体格の中年男性であるあの執事にあのスーツはとても似合っていた。それは否めない。だ・が!
古典的な執事服、それもおじいちゃんといえば燕尾服一択!個人の好みは色々あれど僕的にこれは譲れない。
幸い衣裳部屋には古い燕尾服が一着あった。大きすぎる襟をちょっと小さくして、ついでに角を丸くしてステッチ付けて…チラッと見える裏地を艶のある紫とかにしたら…あ、かわいいかも…
「んー、やっぱ制服はあったほうがいいな。少し時間かかるけどいい?」
「おお!もちろんですぞ!」
「イヴ…すまないね」
「いいえ。けど今日もほとんど衣装部屋に籠るから心配しないでね」
「まだ何か作るのかい?」
「次は僕のを…」ニコッ
そろそろ動かないとね。
僕が買い入れてきたのは洋裁道具とその関連品一式、そしてリボンやボタン、レースやビーズと言った周辺パーツだ。何故なら布地は在り余るほどあるからだ。真っ白な布が。
ゆくゆくは他の色も揃えたいが…とりあえず節約のため現状は真っ白な布しかない。
そして一番大事なことだが…
僕は名門コレッティ侯爵家の息子、伯爵夫人イヴァーノとして、立場的に汗水ながして働くことが出来ない。不本意ながら。
その問題を全て一度に解決するのがこれだ。
ギルドから剥がしてきた手元にある一枚の紙。そこにはこう書かれている。
サルディーニャ王立病院
求む看護助手
応募条件 体力と腕力に自信のある十五歳以上の健康な女子
委細面談
激務につき高給保証
僕は体力と健康には絶大な自信がある。
そして腕力だが、一般男子には劣るだろうが腐っても男子。女性たちよりはあるに違いない。………多分。
いやあるとも!二段重ねのガラガラと巨大な手荷物を三つ持って長い階段を上ったこともあるんだから!
よく考えて欲しい。真っ白と言えば病院、病院コスと言えば…、そう!真っ白なナース服だ!
僕は平民のキュートな少女、イブリン(仮名)となってナースとして働くつもりなのだ!
なーに、心配ない。僕は小学生の時保健委員を務めた男だ。それにイベント現場にはハプニングがつきもの。ねん挫した時にテーピングを施したことも、カッターで切った友人の指を止血したことも、熱中症の措置をしたこともある。
オペ…とか言われなければやれる自信がある!
ってことで…チクチクチク…
この国の看護服とは何の事はない。自前のワンピース(それも足首丈)に白いエプロンを着ただけの服だ。
なので今僕はふくらはぎ丈の白いワンピースを作成している。もちろんナースキャップもセットで。
コック帽みたいなナース帽もいいのだが…ここは王道、ナースキャップで。
え?面接にナース服を着ていくのかって?
…ほら、これは趣味と実益を兼ねてるから。それに熱意が伝わりやすいかと思って。
さて、作業の合間合間にご飯の支度をしながらチクチクすることおよそ半日。
ナース服は完成に近づいてきたが足りないものがあと一つ。足りないもの…だがその目星はすでについている。そのためにはフラヴィオの協力が不可欠。
なのでお誘いしますか。
お風呂に。
「これが昨日と同じ物とは…とても思えないな」
「おほう!刺激的ですな!」
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その朝食を食べながら僕は本日の指令を各員に割り振っていく。
「じゃフラヴィオは午前馬の世話、午後からルイージ君と書斎を片付けてね」
「古書の整理をすればいいのだろうか…」
「うん。分類がバラバラで気持ち悪いし机の上も溜まってるし…。中身を確認しながら勉強に必要な本をピックアップして」
「なるほど」
「イヴァーノ様、このお屋敷にはたくさんの蔵書があるのですね」
「ルイージ君は本が好き?」
「ええ。ですが私の国は書物が少なく…なのでとても嬉しいです」
「そうなの?じゃあ今度絵小説か何かお土産にするね」
「わぁ!楽しみです!」
ルイルイは品の良い静かな少年だが、時折見せる子供らしい顔が実に微笑ましい。
「それからおじいちゃんは昨日買ってきた道具で裏庭耕して菜園作りね。エルモとリコが手伝ってくれるって」
「それは良いのですが…」
「何?なんかあるの?」
またなんか面倒なことを言い出す気配…。ここの主従は全部顔に出るから分かりやすいんだよ!一番ポーカーフェイスなのがルイージ君ってどういうこと?
「イヴァーノ様!私もあのようにお洒落な上着が欲しいですぞ!」
「はぁ?何言ってんの!おじいちゃんもう社交とか関係ないでしょ!」
「欲しいですぞ!」
「うるさいなあ…」
朝食の支度を待つ間に衣裳部屋でジャケットのリメイク品を見たんだろう。お出かけの予定もないくせに自分も新しい貴族服が欲しいとはどういう了見だろう…
コス作成は僕の趣味でもある。時間と材料さえあれば作るのは全然嫌じゃない。が、このじいさんに今さら貴族服がそれほどいるだろうか?
三人にはそれぞれ、自国から着てきた貴族服がある。これは物は良いが痛みが激しいので近々修繕する予定である。そしてコレッティ家を訪れた際、身なりを整えるついで着替えた貴族服を、返せと言われないのをいいことにそのまま借りパクしている。これは生地と刺繍を見る限りかなり上等なものだ。
つまり庭仕事…平服。ちょっとそこまで…老男爵の古い衣類、一張羅…手持ちの貴族服二着、で、夜会も茶会も無いじいさんには十分だと思うわけだ。
「ロデオ、イヴに無理を言ってはいけないよ」
「ですが隣の子爵家の執事トニオはなかなか仕立ての良い上着を着ておりましてな。あ奴め、道で会うと見せつけてくるのですわい」
「ロデオ!」
「待ってフラヴィオ、…執事服か…」
言われて見れば確かに。
引っ越しパスタを持って隣家へご挨拶に伺った際、挨拶に出てきた執事はスクエアタイが良い感じに決まった渋いタキシードタイプの執事服を着用していた。
しっかりした体格の中年男性であるあの執事にあのスーツはとても似合っていた。それは否めない。だ・が!
古典的な執事服、それもおじいちゃんといえば燕尾服一択!個人の好みは色々あれど僕的にこれは譲れない。
幸い衣裳部屋には古い燕尾服が一着あった。大きすぎる襟をちょっと小さくして、ついでに角を丸くしてステッチ付けて…チラッと見える裏地を艶のある紫とかにしたら…あ、かわいいかも…
「んー、やっぱ制服はあったほうがいいな。少し時間かかるけどいい?」
「おお!もちろんですぞ!」
「イヴ…すまないね」
「いいえ。けど今日もほとんど衣装部屋に籠るから心配しないでね」
「まだ何か作るのかい?」
「次は僕のを…」ニコッ
そろそろ動かないとね。
僕が買い入れてきたのは洋裁道具とその関連品一式、そしてリボンやボタン、レースやビーズと言った周辺パーツだ。何故なら布地は在り余るほどあるからだ。真っ白な布が。
ゆくゆくは他の色も揃えたいが…とりあえず節約のため現状は真っ白な布しかない。
そして一番大事なことだが…
僕は名門コレッティ侯爵家の息子、伯爵夫人イヴァーノとして、立場的に汗水ながして働くことが出来ない。不本意ながら。
その問題を全て一度に解決するのがこれだ。
ギルドから剥がしてきた手元にある一枚の紙。そこにはこう書かれている。
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僕は体力と健康には絶大な自信がある。
そして腕力だが、一般男子には劣るだろうが腐っても男子。女性たちよりはあるに違いない。………多分。
いやあるとも!二段重ねのガラガラと巨大な手荷物を三つ持って長い階段を上ったこともあるんだから!
よく考えて欲しい。真っ白と言えば病院、病院コスと言えば…、そう!真っ白なナース服だ!
僕は平民のキュートな少女、イブリン(仮名)となってナースとして働くつもりなのだ!
なーに、心配ない。僕は小学生の時保健委員を務めた男だ。それにイベント現場にはハプニングがつきもの。ねん挫した時にテーピングを施したことも、カッターで切った友人の指を止血したことも、熱中症の措置をしたこともある。
オペ…とか言われなければやれる自信がある!
ってことで…チクチクチク…
この国の看護服とは何の事はない。自前のワンピース(それも足首丈)に白いエプロンを着ただけの服だ。
なので今僕はふくらはぎ丈の白いワンピースを作成している。もちろんナースキャップもセットで。
コック帽みたいなナース帽もいいのだが…ここは王道、ナースキャップで。
え?面接にナース服を着ていくのかって?
…ほら、これは趣味と実益を兼ねてるから。それに熱意が伝わりやすいかと思って。
さて、作業の合間合間にご飯の支度をしながらチクチクすることおよそ半日。
ナース服は完成に近づいてきたが足りないものがあと一つ。足りないもの…だがその目星はすでについている。そのためにはフラヴィオの協力が不可欠。
なのでお誘いしますか。
お風呂に。
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コメント、エール、いいねお待ちしております♡
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