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二人の寝不足な朝
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いやー、参った参った…
フラヴィオのせいで今朝の僕は喉がガラガラだよ…
それでもなんとか最大の危機だけは回避出来たからよしとしよう。
そう。
フラヴィオが望むエッチでエロエロしい、あーんなセリフやこーんなセリフを言わされる…というアダルトビデオみたいな目に遭う危機だけは。
…そのために秘密をゲロってしまったのはご愛敬だが、僕はフラヴィオを信じてる!
え?そっちかって? そりゃそうでしょ。まだDT卒業したての初心者にあれらのセリフは無理だって…
「流石に言葉がない。供も連れず無防備な状態でカタリーナ姫殿下を街につれだすなど…」
結果…こうして朝っぱらから叱られていた。昨夜は二人とも疲れ果ててあのまま寝ちゃったから…、てへ☆
「何も無かったから良かったようなものの…なんと危険極まりない」
「貴族街の中はチンピラなんか居ませんし、それにこの国の人は敬虔だからシスターに狼藉は働きませんよ」
「だからと言って…」
「言っとくけど反省なんてしませんよ。こうでもしないとカタリーナ様は灰色の青春しか知らないままお嫁入りじゃないですか。そんなの可哀想です」
男のアマーディオと違い、女性の、それも輿入れ前のカタリーナ様には何一つ自由がない…。
こちらでもあちらでも、ただただ城の中に飾られるだけのドールで居るしかないなんて…頭のいいカタリーナ様にはあまりにも気の毒だ。
彼女はどこか、前世ならバリキャリを目指しそうな雰囲気があるのに。
「カタリーナ様は来年には輿入れなんですよ!」
それも侍女一人連れて行けないという話しだ…。ぜーんぶ隣国で揃えるんだって。あちらに早く馴染むために。
あちらの国はカタリーナ様のために何もかも最高級品で揃え、万全の状態でお迎えしてくれるらしいけど…それでもサルディーニャのモノを持ち込むことだけは許してくれなかったんだって。ヒドイ話だよ…
「国同士の婚姻とはそういうものだよイヴ。王女とは身一つで赴きその国への恭順を示すものなのだよ」
「マジあり得ないから」
右も左もわからないアウェイな場所で頼れる人が誰も居ないなんて…どれほど心細いだろう。
「それでもカタリーナ様は全て受け入れようとしてる。だからせめて…せめて楽しい想い出くらいたくさん作ってあげたいじゃん!」
「…君は優しい人だ。イヴ、せめて次に何かをするときは私にも事前に知らせてくれると嬉しいよ」
「止めないって約束するならそうします」
「…止めたくとも君は止められないだろう?…いいとも約束しよう」
「フラヴィオ…」キュン
と言うことで、フラヴィオのリクエストにお応えしてネクストイベントを告知することにした。
「ってことでカタリーナ様にルイージ君のお供、以外の勉強時間をプレゼントしようと思ってて。ナイショですよ?」
「どうするのだい?」
「今度はそれほど無理しないです。輿入れ先の文学をより詳しく学ぶ、っていう名目でヴィットーレ先生に参殿してもらって講義内容をこっそり難解なのに変えてもらうだけです」
ヴィットーレは国語の講師だ。学院では主に文学、古典を中心に教えている。が、この国で講師となるには大学に進む必要がある。
ここで言う大学とは、より高度で専門的な学問を身に付けたい勉強好きな人だけが、高いお金をだしてまで進む非常に真面目な教育機関を指している。当然サークル活動もコンパもない。
そこでは文法や修辞と言う言語学や論理学、数学や幾何学、科学全般の他に、より高度な知識を要する医学や法学…といった専門科目を学ぶことができる。
つまりヴィットーレは国語の分野以外も少しくらいなら教授できるということだ。それこそカタリーナ様の望むままに…
「彼は侯爵家の生まれだったね」
「コレッティ家ほどの序列じゃないですけど出仕は十分可能ですよ」
「それならば問題無いだろう。存分力になってやりなさい」
「はーい」
ということで昨日のメモはヴィットーレを夕食に招待するカード代わりだ。二、三日中に返事は来るだろう。
さて…鴨とは言えこれもカタリーナ様のため。何を作ってもてなそうか…
-----------------------
まったくイヴの破天荒ぶりにも困ったものだ。まさか姫殿下を市中へお連れするなど…
幸いセルジオ殿が護衛を引き受けてくれたから良いものの、イヴは安全の確保など考えても居なかったのだろう。
私はイヴのその無邪気さをとても好ましいと思っているが、それにしても無謀が過ぎる…
だが、イヴが姫殿下を可哀想と思う、その気持ちは私にも痛いほど理解できる。
幸いにして私は姫ほど頑なに護られた立場ではなかったが…それでも母と住む第四宮だけが私に許された自由で…望めば何でも手に入るようで、その実〝王家” という楔に囚われ何一つ一人では決められない、それが我々直系王族の重し。
ましてや女性であるカタリーナ姫殿下であれば尚の事だ。
「せめて楽しい思い出くらい…!」
まったくその通りだ。
アスタリアの第四宮でそれなりに楽しく暮らしていたつもりの私でさえ、このサルディーニャで一伯爵ビアジョッティとなってからの暮らしを満ち足りていると、そう感じるのだから。
もっともこの充足はイヴが与えてくれたものだが…、同じようにカタリーナ姫殿下にとってもイヴがひと時の彩りとなることだろう。
その姫殿下の厚意により可能となったのがルイージの統治教育だ。
ここサルディーニャや隣国ブルボンでは女性が多くの、特に政治的な知識をつけることに対し不要と考える向きがある。
これは我がアスタリアと大きく異なる慣習である。
それは同じ王政の国であっても、我がアスタリアには女王の存在した歴史があり、ここサルディーニャやブルボンにはそれがない、というのが大きいのだろう。
そんな中にあり、姫殿下は学への渇望が溢れんばかりだとルイージからは聞き及んでいる。時に殿下方の邪魔をしてはならぬと、講師から制止が入るほどなのだと。
「カタリーナ様はとても知的なお方です。オペラやダンスの話にしか興味のない令嬢方と違いまるで母や姉と居るようで…話していてとても落ち着きます」
「実に惜しいことだね。彼女ならアレクサ様のように、夫と共に意見を交しより良き統治を支える賢夫人になれたものを」
そんな会話が思い出される。
イヴの贈り物となる学びの時間。果たしてそれがブルボン王国で生かされるかどうか…
きっとそうはならぬのだろう。それでも…
それが彼女をどんな苦難からも支える礎になることを、私は願ってやまない。
フラヴィオのせいで今朝の僕は喉がガラガラだよ…
それでもなんとか最大の危機だけは回避出来たからよしとしよう。
そう。
フラヴィオが望むエッチでエロエロしい、あーんなセリフやこーんなセリフを言わされる…というアダルトビデオみたいな目に遭う危機だけは。
…そのために秘密をゲロってしまったのはご愛敬だが、僕はフラヴィオを信じてる!
え?そっちかって? そりゃそうでしょ。まだDT卒業したての初心者にあれらのセリフは無理だって…
「流石に言葉がない。供も連れず無防備な状態でカタリーナ姫殿下を街につれだすなど…」
結果…こうして朝っぱらから叱られていた。昨夜は二人とも疲れ果ててあのまま寝ちゃったから…、てへ☆
「何も無かったから良かったようなものの…なんと危険極まりない」
「貴族街の中はチンピラなんか居ませんし、それにこの国の人は敬虔だからシスターに狼藉は働きませんよ」
「だからと言って…」
「言っとくけど反省なんてしませんよ。こうでもしないとカタリーナ様は灰色の青春しか知らないままお嫁入りじゃないですか。そんなの可哀想です」
男のアマーディオと違い、女性の、それも輿入れ前のカタリーナ様には何一つ自由がない…。
こちらでもあちらでも、ただただ城の中に飾られるだけのドールで居るしかないなんて…頭のいいカタリーナ様にはあまりにも気の毒だ。
彼女はどこか、前世ならバリキャリを目指しそうな雰囲気があるのに。
「カタリーナ様は来年には輿入れなんですよ!」
それも侍女一人連れて行けないという話しだ…。ぜーんぶ隣国で揃えるんだって。あちらに早く馴染むために。
あちらの国はカタリーナ様のために何もかも最高級品で揃え、万全の状態でお迎えしてくれるらしいけど…それでもサルディーニャのモノを持ち込むことだけは許してくれなかったんだって。ヒドイ話だよ…
「国同士の婚姻とはそういうものだよイヴ。王女とは身一つで赴きその国への恭順を示すものなのだよ」
「マジあり得ないから」
右も左もわからないアウェイな場所で頼れる人が誰も居ないなんて…どれほど心細いだろう。
「それでもカタリーナ様は全て受け入れようとしてる。だからせめて…せめて楽しい想い出くらいたくさん作ってあげたいじゃん!」
「…君は優しい人だ。イヴ、せめて次に何かをするときは私にも事前に知らせてくれると嬉しいよ」
「止めないって約束するならそうします」
「…止めたくとも君は止められないだろう?…いいとも約束しよう」
「フラヴィオ…」キュン
と言うことで、フラヴィオのリクエストにお応えしてネクストイベントを告知することにした。
「ってことでカタリーナ様にルイージ君のお供、以外の勉強時間をプレゼントしようと思ってて。ナイショですよ?」
「どうするのだい?」
「今度はそれほど無理しないです。輿入れ先の文学をより詳しく学ぶ、っていう名目でヴィットーレ先生に参殿してもらって講義内容をこっそり難解なのに変えてもらうだけです」
ヴィットーレは国語の講師だ。学院では主に文学、古典を中心に教えている。が、この国で講師となるには大学に進む必要がある。
ここで言う大学とは、より高度で専門的な学問を身に付けたい勉強好きな人だけが、高いお金をだしてまで進む非常に真面目な教育機関を指している。当然サークル活動もコンパもない。
そこでは文法や修辞と言う言語学や論理学、数学や幾何学、科学全般の他に、より高度な知識を要する医学や法学…といった専門科目を学ぶことができる。
つまりヴィットーレは国語の分野以外も少しくらいなら教授できるということだ。それこそカタリーナ様の望むままに…
「彼は侯爵家の生まれだったね」
「コレッティ家ほどの序列じゃないですけど出仕は十分可能ですよ」
「それならば問題無いだろう。存分力になってやりなさい」
「はーい」
ということで昨日のメモはヴィットーレを夕食に招待するカード代わりだ。二、三日中に返事は来るだろう。
さて…鴨とは言えこれもカタリーナ様のため。何を作ってもてなそうか…
-----------------------
まったくイヴの破天荒ぶりにも困ったものだ。まさか姫殿下を市中へお連れするなど…
幸いセルジオ殿が護衛を引き受けてくれたから良いものの、イヴは安全の確保など考えても居なかったのだろう。
私はイヴのその無邪気さをとても好ましいと思っているが、それにしても無謀が過ぎる…
だが、イヴが姫殿下を可哀想と思う、その気持ちは私にも痛いほど理解できる。
幸いにして私は姫ほど頑なに護られた立場ではなかったが…それでも母と住む第四宮だけが私に許された自由で…望めば何でも手に入るようで、その実〝王家” という楔に囚われ何一つ一人では決められない、それが我々直系王族の重し。
ましてや女性であるカタリーナ姫殿下であれば尚の事だ。
「せめて楽しい思い出くらい…!」
まったくその通りだ。
アスタリアの第四宮でそれなりに楽しく暮らしていたつもりの私でさえ、このサルディーニャで一伯爵ビアジョッティとなってからの暮らしを満ち足りていると、そう感じるのだから。
もっともこの充足はイヴが与えてくれたものだが…、同じようにカタリーナ姫殿下にとってもイヴがひと時の彩りとなることだろう。
その姫殿下の厚意により可能となったのがルイージの統治教育だ。
ここサルディーニャや隣国ブルボンでは女性が多くの、特に政治的な知識をつけることに対し不要と考える向きがある。
これは我がアスタリアと大きく異なる慣習である。
それは同じ王政の国であっても、我がアスタリアには女王の存在した歴史があり、ここサルディーニャやブルボンにはそれがない、というのが大きいのだろう。
そんな中にあり、姫殿下は学への渇望が溢れんばかりだとルイージからは聞き及んでいる。時に殿下方の邪魔をしてはならぬと、講師から制止が入るほどなのだと。
「カタリーナ様はとても知的なお方です。オペラやダンスの話にしか興味のない令嬢方と違いまるで母や姉と居るようで…話していてとても落ち着きます」
「実に惜しいことだね。彼女ならアレクサ様のように、夫と共に意見を交しより良き統治を支える賢夫人になれたものを」
そんな会話が思い出される。
イヴの贈り物となる学びの時間。果たしてそれがブルボン王国で生かされるかどうか…
きっとそうはならぬのだろう。それでも…
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⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
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連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
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