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下剋上プリンセスのドレス
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「カタリーナ王女殿下、ご到着にございます」
だだっ広いコレッティ邸のホールに溢れかえっていたゴージャスな人波。それが一斉に割れ中央を進むのは微笑みの美少女カタリーナ様。
「まぁ…」
「なんてステキ…」
「……」
声にならない人々の感嘆とウットリとした羨望のまなざし。
今夜彼女が着ているドレス、それはもちろんカタリーナ様のために僕が以前デザインしていた一点物だ。
マッティオ氏の協力によりあらゆる素材の調達が可能となった今、僕のイマジネーションに限界はない!
…というのは真っ赤な嘘で、本日のドレスは世界一有名なアニメ会社の実写映画から拝借した、世界一有名な下剋上プリンセスの美しいブルードレスだ。
極限まで装飾を排除し、薄いシフォンを幾重にも重ねたスカートにはたくさんのクリスタルビーズが散りばめられている。
それらは照明の光を受けまるでオーロラのように輝き、透明感のあるカタリーナ様の美貌をさらに引き立てる。まさに息をのむ美しさだ。
大きくデコルテを開けた胸元、そして大胆なV字カットにより肌を露出した背中(より薄くなった疑似素肌付き)、真の美しさとはシンプルだからこそ引き立つという方程式は、カタリーナ様により今ここで証明された!
「イヴァーノはどこかしら」
「カタリーナ姫殿下、僕はここに」
「今夜のドレスも見事な出来栄えだわ。気に入りました」
「ありがとうございます。端麗なカタリーナ姫殿下のお顔立ちにはもっと大人っぽい衣装も似合うかと思いまして」
「ドレスのクリスタル以外イヤリングもネックレスもつけないのね…、驚いたわ」
「カタリーナ様より輝く宝石なんてありませんから」
「嬉しいことを…。あら、あなたのブラウス…」
「気が付きました?オリジナルの新作です」
「とても素敵ね」
「はじm、…久しぶりの大夜会なので気合入れました」
ヤバイヤバイ。うっかり初めてって言っちゃうところだったよ。そういえばイヴァーノはパーティーピーポーだったっけ。それでニコラを引き連れたパンキーやダリオにばったり出くわしては揉め事起こしてたんだった。
「コレッティ夫人、今日は楽しませていただくわね」
「なんなりお申しつけくださいまし」
「他には誰が?」
「主だった夫人は参っておりますわ。姫殿下、どうぞあちらへ」
カタリーナ様がお母様に連れられ婦人部屋へと消え、フリーになった僕は気が付いたらスクラムを組んだご夫人に囲まれていた。
彼女らは侯爵家のご夫人方だ。対して僕は伯爵夫人。…ぐぬぬ…序列には抗えない…
「イヴァーノ様、あなたの才能がこれほどとは思ってもみませんでしたわ」
「見直しましてよ」
「はは…どうも…」
何の用かは大体想像つくが…やだなあこういうの。
「そこでなのですが…わたくしの注文がカラスコス伯爵夫人よりも後だなんておかしくないかしら」
「オーダーお受けした順番ですので」
「完成まで半年かかると言われましたのよ。待ちきれませんわ!」
「総力あげて鋭意努力中です」
「わたくしの娘もドレスがポートマン家のダンスパーティに間に合わないと嘆いておりますの!イヴァーノ様、なんとかしてくださらないかしら」
「品質維持のため製作日程の前倒しは受けかねます」シレッ
「まあ!つれないこと…」
「相変わらずですのね」
ツーン…
一人のワガママをきいたら全部きかなきゃいけないでしょーが!
十かゼロならゼロ一択!イヴァーノ・モードは高級ブランド、顧客満足は考えても顧客に媚びたりはしない!これはエヴァにも通じるサービスの極意!
「ご婦人方、イヴの作品は一つ一つがとても丁寧に作られた妥協を許さぬものだ。実は先日縫製の責任者は完成までの日数を短縮するため生地の変更を求め屋敷を訪ねて来られた」
「あら」
「ビアジョッティ伯…でしたかしら」
そこに降り注ぐノーブルな声。見るに見かねたフラヴィオの援護射撃だ。
イケメンに弱いのは古今東西女性の常、彼女らの頬はうっすらとピンクに染まった。が、…そのイケメンは僕のだから。
ニコリ「イヴは「縫いづらいから、そんな理由で生地を変えるなんてそんな妥協は許さない、イヴァーノの衣装をお選びくださる目の肥えた婦人方を見くびってはならない」そう申したのです」
これはホントの話である。
オートクチュールとは高級オーダー衣装だ。そして高級な生地とは薄手だったり柔らかかったり滑らかだったり、扱いの難しいものが多いのだが、そう言った生地は往々にして縫いにくい。
引き攣れる糸、破ける生地。納期に頭を痛めた縫製の主任はもう少しだけ縫いやすい生地、つまりもうちょっと厚みがあってしっかりした生地に変更したいと、そう訴えてきた。
だが僕のデザインである前世のパクリとはいいかえればコス衣装の制作。キャラクターの完成形ありきでそれを再現するためのものだ。
オーダに際し僕は何枚かの令嬢キャラデザイン画をサロンにストックしてある。顧客はそれらから好きなドレスを選んで制作に入るのだが、カタリーナ様のように人物像が分かっている場合は、僕が最も似合いそうなキャラ、似たようなキャラからコスをチョイスしている。
つまり…出来上がりを歪めた時点でレイヤーとして僕は失格!!!
ワナワナワナ…「……」
「イヴ…」キュ
レイヤーとしてのプライドとお客様との板挟みに歪む僕の表情筋。それに気付きそっと手を握りしめてくれるフラヴィオ。ああ…ささくれだった心が癒されていく…
「どうかお分かりください。イヴはあなた方を満足させるため最善を尽くしている。そしてそれはきっと時間では推し測れないものなのです」
ポッ「そうですわね。伯爵の仰る通りですわ」
ポッ「焦って未完成なものを手にしても仕方がありませんものね」
「あ、ありがとうございます!必ずやご満足いただける品をお届けします!」
こうして…レイヤーとして妥協できないばかりにイヴァーノ・モードのデビューを台無しにしかけた僕は、愛する夫フラヴィオによってパーフェクトにサポートされたワケだが…
「イヴ、私は役に立てただろうか」
ポスッ「ありがとうフラヴィオ、大好き」
「私もだ」ギュゥ
こうしてより一層イヴァーノ、美貌の夫に首ったけ説が流布していくのだが…
…仲良きことは美しきかな…僕とフラヴィオはラブラブです!
だだっ広いコレッティ邸のホールに溢れかえっていたゴージャスな人波。それが一斉に割れ中央を進むのは微笑みの美少女カタリーナ様。
「まぁ…」
「なんてステキ…」
「……」
声にならない人々の感嘆とウットリとした羨望のまなざし。
今夜彼女が着ているドレス、それはもちろんカタリーナ様のために僕が以前デザインしていた一点物だ。
マッティオ氏の協力によりあらゆる素材の調達が可能となった今、僕のイマジネーションに限界はない!
…というのは真っ赤な嘘で、本日のドレスは世界一有名なアニメ会社の実写映画から拝借した、世界一有名な下剋上プリンセスの美しいブルードレスだ。
極限まで装飾を排除し、薄いシフォンを幾重にも重ねたスカートにはたくさんのクリスタルビーズが散りばめられている。
それらは照明の光を受けまるでオーロラのように輝き、透明感のあるカタリーナ様の美貌をさらに引き立てる。まさに息をのむ美しさだ。
大きくデコルテを開けた胸元、そして大胆なV字カットにより肌を露出した背中(より薄くなった疑似素肌付き)、真の美しさとはシンプルだからこそ引き立つという方程式は、カタリーナ様により今ここで証明された!
「イヴァーノはどこかしら」
「カタリーナ姫殿下、僕はここに」
「今夜のドレスも見事な出来栄えだわ。気に入りました」
「ありがとうございます。端麗なカタリーナ姫殿下のお顔立ちにはもっと大人っぽい衣装も似合うかと思いまして」
「ドレスのクリスタル以外イヤリングもネックレスもつけないのね…、驚いたわ」
「カタリーナ様より輝く宝石なんてありませんから」
「嬉しいことを…。あら、あなたのブラウス…」
「気が付きました?オリジナルの新作です」
「とても素敵ね」
「はじm、…久しぶりの大夜会なので気合入れました」
ヤバイヤバイ。うっかり初めてって言っちゃうところだったよ。そういえばイヴァーノはパーティーピーポーだったっけ。それでニコラを引き連れたパンキーやダリオにばったり出くわしては揉め事起こしてたんだった。
「コレッティ夫人、今日は楽しませていただくわね」
「なんなりお申しつけくださいまし」
「他には誰が?」
「主だった夫人は参っておりますわ。姫殿下、どうぞあちらへ」
カタリーナ様がお母様に連れられ婦人部屋へと消え、フリーになった僕は気が付いたらスクラムを組んだご夫人に囲まれていた。
彼女らは侯爵家のご夫人方だ。対して僕は伯爵夫人。…ぐぬぬ…序列には抗えない…
「イヴァーノ様、あなたの才能がこれほどとは思ってもみませんでしたわ」
「見直しましてよ」
「はは…どうも…」
何の用かは大体想像つくが…やだなあこういうの。
「そこでなのですが…わたくしの注文がカラスコス伯爵夫人よりも後だなんておかしくないかしら」
「オーダーお受けした順番ですので」
「完成まで半年かかると言われましたのよ。待ちきれませんわ!」
「総力あげて鋭意努力中です」
「わたくしの娘もドレスがポートマン家のダンスパーティに間に合わないと嘆いておりますの!イヴァーノ様、なんとかしてくださらないかしら」
「品質維持のため製作日程の前倒しは受けかねます」シレッ
「まあ!つれないこと…」
「相変わらずですのね」
ツーン…
一人のワガママをきいたら全部きかなきゃいけないでしょーが!
十かゼロならゼロ一択!イヴァーノ・モードは高級ブランド、顧客満足は考えても顧客に媚びたりはしない!これはエヴァにも通じるサービスの極意!
「ご婦人方、イヴの作品は一つ一つがとても丁寧に作られた妥協を許さぬものだ。実は先日縫製の責任者は完成までの日数を短縮するため生地の変更を求め屋敷を訪ねて来られた」
「あら」
「ビアジョッティ伯…でしたかしら」
そこに降り注ぐノーブルな声。見るに見かねたフラヴィオの援護射撃だ。
イケメンに弱いのは古今東西女性の常、彼女らの頬はうっすらとピンクに染まった。が、…そのイケメンは僕のだから。
ニコリ「イヴは「縫いづらいから、そんな理由で生地を変えるなんてそんな妥協は許さない、イヴァーノの衣装をお選びくださる目の肥えた婦人方を見くびってはならない」そう申したのです」
これはホントの話である。
オートクチュールとは高級オーダー衣装だ。そして高級な生地とは薄手だったり柔らかかったり滑らかだったり、扱いの難しいものが多いのだが、そう言った生地は往々にして縫いにくい。
引き攣れる糸、破ける生地。納期に頭を痛めた縫製の主任はもう少しだけ縫いやすい生地、つまりもうちょっと厚みがあってしっかりした生地に変更したいと、そう訴えてきた。
だが僕のデザインである前世のパクリとはいいかえればコス衣装の制作。キャラクターの完成形ありきでそれを再現するためのものだ。
オーダに際し僕は何枚かの令嬢キャラデザイン画をサロンにストックしてある。顧客はそれらから好きなドレスを選んで制作に入るのだが、カタリーナ様のように人物像が分かっている場合は、僕が最も似合いそうなキャラ、似たようなキャラからコスをチョイスしている。
つまり…出来上がりを歪めた時点でレイヤーとして僕は失格!!!
ワナワナワナ…「……」
「イヴ…」キュ
レイヤーとしてのプライドとお客様との板挟みに歪む僕の表情筋。それに気付きそっと手を握りしめてくれるフラヴィオ。ああ…ささくれだった心が癒されていく…
「どうかお分かりください。イヴはあなた方を満足させるため最善を尽くしている。そしてそれはきっと時間では推し測れないものなのです」
ポッ「そうですわね。伯爵の仰る通りですわ」
ポッ「焦って未完成なものを手にしても仕方がありませんものね」
「あ、ありがとうございます!必ずやご満足いただける品をお届けします!」
こうして…レイヤーとして妥協できないばかりにイヴァーノ・モードのデビューを台無しにしかけた僕は、愛する夫フラヴィオによってパーフェクトにサポートされたワケだが…
「イヴ、私は役に立てただろうか」
ポスッ「ありがとうフラヴィオ、大好き」
「私もだ」ギュゥ
こうしてより一層イヴァーノ、美貌の夫に首ったけ説が流布していくのだが…
…仲良きことは美しきかな…僕とフラヴィオはラブラブです!
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