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第四章 人狼編
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※キルヴェスター視点(しばらく続きます)
現在俺たちは、アルベルト殿下の命のもと、このルーラル村に潜入調査に来ている。
このルーラル村では、毒物を用いた冒険者をターゲットとした人狼による殺人・殺人未遂事件が起こっている。
事の発端は、アースが回復魔導士の任務として人狼が出ている村に派遣されたことを知った時だ。
「兄上! アースを派遣するときは、私に一声かけてください!」
「今回の任務は回復魔導士としての任務だ。人狼による被害が出たときから、アースは回復魔導士としての任務に従事するため、お前たちとは別行動をとっていただろ? 人狼討伐の指揮をとる俺の代わりに、お前が王族としての公務をこなしているんだ。アースを派遣すると決めたとき、お前たちは王都にはいなかった。そもそも、声はかけなかったが書簡は出しているだろう?」
ぐっ……。
兄上の正論に対して、俺は言葉を返すことができなかった。
「……では、俺達もルーラル村に派遣してください! 他の人狼被害の地域よりも、捜査が難航していると聞いています。現地で直接、指揮をとるべきではないでしょうか?」
「その必要性は理解している。だが、現状王族を現地に派遣することはできない。危険性云々は置いておくとして、公務や他の人狼被害が落ち着くまでは無理だ。ルーラル村に増援部隊を送ることができる条件は、他の人狼被害の1つが解決され、お前の代わりにウェルに任せられるレベルまで公務が落ち着くことだ。それまでは、自分の役割に集中しろ。」
「くっ……。承知いたしました。出過ぎた真似をいたしました、申し訳ございません。」
兄上が言っていることは何も間違っていない。状況を見極められていないのは俺の方だ。
俺は大人しく、自室へと戻り次の公務の準備を始めた。
ーーー
兄上からお声がかかったのは、それから数日後のことだった。
人狼事件の1つが解決され、いよいよ俺の現地派遣が決まったのだろう。
俺はようやくかとばかりに、若干前のめりになり兄上の言葉を待った。
「お前たちに任務を言い渡す。ジール、キース、ローウェルは冒険者として、ルーラル村に潜入し、人狼を特定し討伐しろ。冒険者がターゲットであることは明白なため危険な任務ではあるが、騎士団としての立場からは得られない情報もあるだろう。内部から、人狼につながる情報収集しろ。」
「「「承知いたしました。」」」
「キルヴェスターは、王都に残りルーラル村の指揮をとれ。」
「!!!! 納得できません! 私も、現地に行かせてください!」
「冒険者がターゲットだと言っているだろう? お前は王族にもかかわらず、みすみすターゲットになりに行くのか?」
「……では、現地で騎士団の指揮をとらせてください。」
「それもだめだ。あの村の人狼は、対応力が非常に高い。アースの上級回復魔法に対抗するため、希少植物を使った中毒症状に手段を切り替えたくらいだ。今は、人狼側に情報を渡したくない。例えば、「王族が直接指揮を執るために現地入りした」とかな。」
兄上は、聞き分けのない子供を見るような目で俺にそう言った。
くそっ……。俺だって、自分がわがままを言っていることくらいはわかっている。わかっているが、アースが危険な現地で自分の役割を果たしているんだ。
俺も、力になりたいんだ……。
「それでも行く、というのか?」
下を向いていた俺に向かって、兄上はそういった。
あまりに思ってもいなかった言葉をかけられて、一瞬反応が遅れてしまった。
「行きます、行かせてください! なんとしても、人狼を討伐して見せます!」
「そうか、なら行っていいぞ。」
「「「お待ちください、アルベルト殿下!」」」
それまで静かに控えていた兄上の側近たちが、考え直すように兄上に提言した。
側近たちの考えもわかる。いや、むしろ正しい意見だと言っていい。
だが、俺も引くつもりはさらさらない。
「いいからやらせてやれ。キルヴェスターは貴族院入学したんだ。危険に巻き込まれるかどうかくらいは自分で選べるだろ。それに、人狼といっても戦闘能力が高いわけではない。そんな相手に後れを取るようでは困る。むしろ、俺が現地に行って、直接叩き潰したいくらいだ。」
兄上ならすべての人狼をすぐさま見つけ出して、叩き潰すくらいのことは容易にできそうだ。
この場にいる全員は示し合わせたかのように、聞こえなかったふりをした。
「だが条件として、姿を変えて冒険者として、王族であることはばれないように潜入しろ。……そうだな、夏休みを利用して力試しをしに来た、勘違い名門貴族の子息ということでいいな? ばれないように、しっかりなりきれ。やるなら徹底的にだ、討伐するまで帰ってくるな。いいな? 側近たちは適当に役作りをしろ。」
「……は? いや、意味がよくわからな」
「言葉の意味は理解できただろ? 次の満月までには片付けてこい。時間がないんだ、さっさと行け。」
兄上はそういうと、パタパタと手を振って別の仕事へと取り掛かった。
とりあえず俺は、「失礼いたしました」とだけいって、兄上の部屋をあとにした。
「……なあ、夏休みを利用して力試しをしに来た、勘違い名門貴族の子息とはどんな感じだ?」
「現地に行く許可が出てよかったじゃないですか。」
ローウェルはにこやかにそういうと、出発の準備をするために方々へと指示を出し始めた。
……答えになっていないじゃないか。
現在俺たちは、アルベルト殿下の命のもと、このルーラル村に潜入調査に来ている。
このルーラル村では、毒物を用いた冒険者をターゲットとした人狼による殺人・殺人未遂事件が起こっている。
事の発端は、アースが回復魔導士の任務として人狼が出ている村に派遣されたことを知った時だ。
「兄上! アースを派遣するときは、私に一声かけてください!」
「今回の任務は回復魔導士としての任務だ。人狼による被害が出たときから、アースは回復魔導士としての任務に従事するため、お前たちとは別行動をとっていただろ? 人狼討伐の指揮をとる俺の代わりに、お前が王族としての公務をこなしているんだ。アースを派遣すると決めたとき、お前たちは王都にはいなかった。そもそも、声はかけなかったが書簡は出しているだろう?」
ぐっ……。
兄上の正論に対して、俺は言葉を返すことができなかった。
「……では、俺達もルーラル村に派遣してください! 他の人狼被害の地域よりも、捜査が難航していると聞いています。現地で直接、指揮をとるべきではないでしょうか?」
「その必要性は理解している。だが、現状王族を現地に派遣することはできない。危険性云々は置いておくとして、公務や他の人狼被害が落ち着くまでは無理だ。ルーラル村に増援部隊を送ることができる条件は、他の人狼被害の1つが解決され、お前の代わりにウェルに任せられるレベルまで公務が落ち着くことだ。それまでは、自分の役割に集中しろ。」
「くっ……。承知いたしました。出過ぎた真似をいたしました、申し訳ございません。」
兄上が言っていることは何も間違っていない。状況を見極められていないのは俺の方だ。
俺は大人しく、自室へと戻り次の公務の準備を始めた。
ーーー
兄上からお声がかかったのは、それから数日後のことだった。
人狼事件の1つが解決され、いよいよ俺の現地派遣が決まったのだろう。
俺はようやくかとばかりに、若干前のめりになり兄上の言葉を待った。
「お前たちに任務を言い渡す。ジール、キース、ローウェルは冒険者として、ルーラル村に潜入し、人狼を特定し討伐しろ。冒険者がターゲットであることは明白なため危険な任務ではあるが、騎士団としての立場からは得られない情報もあるだろう。内部から、人狼につながる情報収集しろ。」
「「「承知いたしました。」」」
「キルヴェスターは、王都に残りルーラル村の指揮をとれ。」
「!!!! 納得できません! 私も、現地に行かせてください!」
「冒険者がターゲットだと言っているだろう? お前は王族にもかかわらず、みすみすターゲットになりに行くのか?」
「……では、現地で騎士団の指揮をとらせてください。」
「それもだめだ。あの村の人狼は、対応力が非常に高い。アースの上級回復魔法に対抗するため、希少植物を使った中毒症状に手段を切り替えたくらいだ。今は、人狼側に情報を渡したくない。例えば、「王族が直接指揮を執るために現地入りした」とかな。」
兄上は、聞き分けのない子供を見るような目で俺にそう言った。
くそっ……。俺だって、自分がわがままを言っていることくらいはわかっている。わかっているが、アースが危険な現地で自分の役割を果たしているんだ。
俺も、力になりたいんだ……。
「それでも行く、というのか?」
下を向いていた俺に向かって、兄上はそういった。
あまりに思ってもいなかった言葉をかけられて、一瞬反応が遅れてしまった。
「行きます、行かせてください! なんとしても、人狼を討伐して見せます!」
「そうか、なら行っていいぞ。」
「「「お待ちください、アルベルト殿下!」」」
それまで静かに控えていた兄上の側近たちが、考え直すように兄上に提言した。
側近たちの考えもわかる。いや、むしろ正しい意見だと言っていい。
だが、俺も引くつもりはさらさらない。
「いいからやらせてやれ。キルヴェスターは貴族院入学したんだ。危険に巻き込まれるかどうかくらいは自分で選べるだろ。それに、人狼といっても戦闘能力が高いわけではない。そんな相手に後れを取るようでは困る。むしろ、俺が現地に行って、直接叩き潰したいくらいだ。」
兄上ならすべての人狼をすぐさま見つけ出して、叩き潰すくらいのことは容易にできそうだ。
この場にいる全員は示し合わせたかのように、聞こえなかったふりをした。
「だが条件として、姿を変えて冒険者として、王族であることはばれないように潜入しろ。……そうだな、夏休みを利用して力試しをしに来た、勘違い名門貴族の子息ということでいいな? ばれないように、しっかりなりきれ。やるなら徹底的にだ、討伐するまで帰ってくるな。いいな? 側近たちは適当に役作りをしろ。」
「……は? いや、意味がよくわからな」
「言葉の意味は理解できただろ? 次の満月までには片付けてこい。時間がないんだ、さっさと行け。」
兄上はそういうと、パタパタと手を振って別の仕事へと取り掛かった。
とりあえず俺は、「失礼いたしました」とだけいって、兄上の部屋をあとにした。
「……なあ、夏休みを利用して力試しをしに来た、勘違い名門貴族の子息とはどんな感じだ?」
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……答えになっていないじゃないか。
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