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第四章 人狼編
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次の日、「それでは増援部隊の様子を見に行きましょうか」と和やかにほほ笑むアルフォンスさんに従って、俺達は冒険者ギルドの入り口が見える物陰までやってきた。
このように、人目に付かないようにコソコソ行動しているのは、俺の存在が外部に漏れないようというアルフォンスさんの配慮だろう。だけど、増援部隊というのならこちらが指定する場所に来てもらえばいいのではないだろうか?
「確かにそのとおりです。我々が滞在しているところとは異なる合流場所を指定しおります。ただ今回は、増援部隊がどのような行動をしているのかを事前に把握しておきたいと思い、こうして外にでてきました。……アルベルト殿下の指令書は、少々理解しがたい箇所がございましたので。」
アルフォンスさんに疑問点を聞いてみると、貴族スマイルでこのような返答があった。
アルベルト殿下の側近はとても苦労しているようだ。俺は特に何も言わずに、無言でうなずいておいた。
すると、入口の方がなにやら騒がしくなった。
「おうおうおう、坊主どもがチョロチョロしてんじゃねーよ! ガキは帰って、ママのミルクでも飲んでな!」
「やいやいやい! 誰に向かって口をきいているんだ? この方は、名門貴族の次男、キール様だぞ!」
「そうッス! そうッス! 臭い口は閉じるッスよ!」
「なんだと、クソガキども!!!!!」
夕方ともなると、依頼を終えた冒険者たちはアルコールを大量に摂取しているらしい。
聞いたことある様な煽り文句を放ったガタイのいい冒険者はいいとして、名門貴族の子息を中心とした4人組の少年冒険者たちは、ガタイのいい冒険者などまったく恐れていないような様子で煽り返している。
名門貴族の出かどうかは置いておくとして、貴族社会では見られないようなやり取りだ。
冒険者が荒くれ者の集団だと言われるのは、こういう一面も寄与しているのかもしれない。
俺がふむふむと頷いていると、中心人物と思われる名門貴族の子息様がダンッと足を踏み鳴らした。
「わ、私を誰だと思っているのだ! 父上に言いつけてやる!」
「「「ぎゃははははははははははは!!」」」
緊張しているのかビビっているのかはよく分からないが、名門貴族の子息様は声を裏返しながらそう叫んだ。
父上にすぐ頼るところが、いかにも木っ端貴族の子息だよな……。がんばってほしい。
「パパの×××でもしゃぶってな! 笑わせてもらって礼に、今日のところは見逃してやる。」
ひとしきり笑った冒険者たちは、定型文かと思われるセリフは口にした後、次の酒場を求めて歩き出した。
その姿をプルプルと震えながら見送る名門貴族の子息様の肩を、2人が慰めるようにさすっている。
……残りの1人も、ブスっとしていないで慰めるなり、援護射撃すればいいのに。様子を見る限り、名門貴族の子息様に無理やり連れだされた不機嫌な貴族の子息といったところか。
「冒険者の世界でも口撃スキルが必要の様ですね、勉強になりました。ところで、増援部隊というのはいつ現れるのでしょうか?」
俺は冒険者についての感想を述べつつ、貴族スマイルを浮かべているアルフォンスさんにいつになったら増援部隊が現れるのかと聞いた。
「今、見ているのではないですか?」
「何をですか?」
「増援部隊を、です。」
ふむ。
俺はもう一度、ちちくりあっている少年たちをみた。
「私には、「恥ずかしがっている名門貴族の子息」、「名門貴族子息の腰ぎんちゃく」、「お調子者の賑やかし」、そして「仏頂面の鉄仮面」にしか見えませんが……。アルフォンスさんに聞いた限りだと、私の知り合いが増援部隊としてやってくるのですよね? 彼らの顔は初めて見ました。」
「今アース君が挙げた4人の特徴を、そのままアース君が最もよく知る4人に当てはめてみたらいかがでしょうか? ちなみに、王家には変身用の魔導具があるのですよ。王家の者と許可された者しか使えない魔導具です。」
「……ほぼ答えを言っているようなものじゃないですか。」
「はー、すみません。少々、アルベルト殿下には物申す必要があると気を荒立ててしまいました。最も危険な冒険者という立場にご自分の弟を送り込むとは……何を考えているのでしょうか?」
アルフォンスさんがとても怖い。
まあ、アルベルト殿下が怒られるのは若干いい気味だと思ってしまう自分もいる。
……そんなことよりも、いったいどういうことだよ!!!
このように、人目に付かないようにコソコソ行動しているのは、俺の存在が外部に漏れないようというアルフォンスさんの配慮だろう。だけど、増援部隊というのならこちらが指定する場所に来てもらえばいいのではないだろうか?
「確かにそのとおりです。我々が滞在しているところとは異なる合流場所を指定しおります。ただ今回は、増援部隊がどのような行動をしているのかを事前に把握しておきたいと思い、こうして外にでてきました。……アルベルト殿下の指令書は、少々理解しがたい箇所がございましたので。」
アルフォンスさんに疑問点を聞いてみると、貴族スマイルでこのような返答があった。
アルベルト殿下の側近はとても苦労しているようだ。俺は特に何も言わずに、無言でうなずいておいた。
すると、入口の方がなにやら騒がしくなった。
「おうおうおう、坊主どもがチョロチョロしてんじゃねーよ! ガキは帰って、ママのミルクでも飲んでな!」
「やいやいやい! 誰に向かって口をきいているんだ? この方は、名門貴族の次男、キール様だぞ!」
「そうッス! そうッス! 臭い口は閉じるッスよ!」
「なんだと、クソガキども!!!!!」
夕方ともなると、依頼を終えた冒険者たちはアルコールを大量に摂取しているらしい。
聞いたことある様な煽り文句を放ったガタイのいい冒険者はいいとして、名門貴族の子息を中心とした4人組の少年冒険者たちは、ガタイのいい冒険者などまったく恐れていないような様子で煽り返している。
名門貴族の出かどうかは置いておくとして、貴族社会では見られないようなやり取りだ。
冒険者が荒くれ者の集団だと言われるのは、こういう一面も寄与しているのかもしれない。
俺がふむふむと頷いていると、中心人物と思われる名門貴族の子息様がダンッと足を踏み鳴らした。
「わ、私を誰だと思っているのだ! 父上に言いつけてやる!」
「「「ぎゃははははははははははは!!」」」
緊張しているのかビビっているのかはよく分からないが、名門貴族の子息様は声を裏返しながらそう叫んだ。
父上にすぐ頼るところが、いかにも木っ端貴族の子息だよな……。がんばってほしい。
「パパの×××でもしゃぶってな! 笑わせてもらって礼に、今日のところは見逃してやる。」
ひとしきり笑った冒険者たちは、定型文かと思われるセリフは口にした後、次の酒場を求めて歩き出した。
その姿をプルプルと震えながら見送る名門貴族の子息様の肩を、2人が慰めるようにさすっている。
……残りの1人も、ブスっとしていないで慰めるなり、援護射撃すればいいのに。様子を見る限り、名門貴族の子息様に無理やり連れだされた不機嫌な貴族の子息といったところか。
「冒険者の世界でも口撃スキルが必要の様ですね、勉強になりました。ところで、増援部隊というのはいつ現れるのでしょうか?」
俺は冒険者についての感想を述べつつ、貴族スマイルを浮かべているアルフォンスさんにいつになったら増援部隊が現れるのかと聞いた。
「今、見ているのではないですか?」
「何をですか?」
「増援部隊を、です。」
ふむ。
俺はもう一度、ちちくりあっている少年たちをみた。
「私には、「恥ずかしがっている名門貴族の子息」、「名門貴族子息の腰ぎんちゃく」、「お調子者の賑やかし」、そして「仏頂面の鉄仮面」にしか見えませんが……。アルフォンスさんに聞いた限りだと、私の知り合いが増援部隊としてやってくるのですよね? 彼らの顔は初めて見ました。」
「今アース君が挙げた4人の特徴を、そのままアース君が最もよく知る4人に当てはめてみたらいかがでしょうか? ちなみに、王家には変身用の魔導具があるのですよ。王家の者と許可された者しか使えない魔導具です。」
「……ほぼ答えを言っているようなものじゃないですか。」
「はー、すみません。少々、アルベルト殿下には物申す必要があると気を荒立ててしまいました。最も危険な冒険者という立場にご自分の弟を送り込むとは……何を考えているのでしょうか?」
アルフォンスさんがとても怖い。
まあ、アルベルト殿下が怒られるのは若干いい気味だと思ってしまう自分もいる。
……そんなことよりも、いったいどういうことだよ!!!
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