5 / 52
アリスティア編
異母妹
しおりを挟む
私が放課後、居残りをするようになると、今度は昼の休憩時間に態々エリーゼが私の所にやって来た。
齢は同い年だが、エリーゼと私は学年が違う。その上、私のクラスは上位クラスで、王族や公爵家の令嬢と令息が集まる少人数のクラス。
全員、私が誰なのか知っている。
しかし、幸い名門公爵家の嫡子に侮蔑や嘲笑するような愚か者はこのクラスにはいなかった。
だから、私が地味な格好をしていても、皆、私に好意的で、むしろ令嬢等はこの姿のままいて欲しいと思っていた。
親から聞いているのだろう。本当の私の容姿について…。
婚約者を惑わせるかもしれない女など、存在しない方がいいのだ。
だが、エリーゼが私の所に来た為、冷たい視線が私に向けられる。出自はともかく見た目は高位貴族の令嬢の誰よりも美しいエリーゼに令嬢らは嫉妬していた。
どうして、分からないのかしら。私が自分を受け入れられると本気で思っているの?
正直、拘らないで欲しい。私の平穏な日常を乱さないで欲しい。勝手に自分たちだけで家族ごっこをすればいいのに……。
私が母と過ごした時間を、彼女は父と過ごしていた。公爵家で母と私がどんな風に過ごしていたのか知っているのだろうか。知っていないからこんな事が出来るのだろう。
私は、長く母の呪縛に囚われていて、自分の容姿が嫌いなのだ。誰かに『お父様に似ていらっしゃるのね』そう言われると、具合が悪くなり、動悸が激しくなる。気を失いかけたこともある程、私にとってはトラウマなのだ。
だから、他人と距離を保ちながら、学院生活を送っていたのに……。
静かにひっそりと誰にも関心を持たれず、穏やかに過ごしていた、平穏な学院生活を、彼女は土足で入ってくる。
その無神経さに腹が立つ。
「お義姉様、今日のお昼は料理長に二人分作ってもらったので、一緒にカフェテラスで食べませんか?」
「ありがとう。折角だけど私も自分の物を持ってきているから、それはケロイド様と一緒に食べればいいわ」
「そんな、私はお義姉様と一緒に過ごしたいのです。早く仲良くなりたいのに」
そんなやり取りをしていると、婚約者のケロイド様が口を挟んできた。
「こんなに思いやりのある義妹に、お前はなんて冷たい奴なんだ。お前の様な女が婚約者だなんて、俺はついていない。エリーゼが婚約者なら良かったのに」
私を睨みながら、至極残念そうにエリーゼを見つめているケロイド様。
「ダメですわ。ケロイド様はお義姉様の婚約者です。私は将来、義妹になるのですから」
悲しそうな顔をしながら俯く。
ケロイド様からすれば、差し詰、私は異母妹を虐める悪女だろう。
彼の冷たい視線が私に向けられている。
仕方なく、その日の昼食は一緒に摂ったのだが、それが大きな間違いだと気づかされるのに、時間はかからなかった。
学院のカフェは学院に通う学生なら誰でも利用出来るため、その日エリーゼは大勢の前で、私が誰なのか言ってしまったのだ。
私がアリスティア・クロムウェル公爵令嬢だと。
その結果、エリーゼに向かう筈だった悪意は、何の関係もない私へと向けられた。
理由は簡単。
私は誰にも好かれていないから……
齢は同い年だが、エリーゼと私は学年が違う。その上、私のクラスは上位クラスで、王族や公爵家の令嬢と令息が集まる少人数のクラス。
全員、私が誰なのか知っている。
しかし、幸い名門公爵家の嫡子に侮蔑や嘲笑するような愚か者はこのクラスにはいなかった。
だから、私が地味な格好をしていても、皆、私に好意的で、むしろ令嬢等はこの姿のままいて欲しいと思っていた。
親から聞いているのだろう。本当の私の容姿について…。
婚約者を惑わせるかもしれない女など、存在しない方がいいのだ。
だが、エリーゼが私の所に来た為、冷たい視線が私に向けられる。出自はともかく見た目は高位貴族の令嬢の誰よりも美しいエリーゼに令嬢らは嫉妬していた。
どうして、分からないのかしら。私が自分を受け入れられると本気で思っているの?
正直、拘らないで欲しい。私の平穏な日常を乱さないで欲しい。勝手に自分たちだけで家族ごっこをすればいいのに……。
私が母と過ごした時間を、彼女は父と過ごしていた。公爵家で母と私がどんな風に過ごしていたのか知っているのだろうか。知っていないからこんな事が出来るのだろう。
私は、長く母の呪縛に囚われていて、自分の容姿が嫌いなのだ。誰かに『お父様に似ていらっしゃるのね』そう言われると、具合が悪くなり、動悸が激しくなる。気を失いかけたこともある程、私にとってはトラウマなのだ。
だから、他人と距離を保ちながら、学院生活を送っていたのに……。
静かにひっそりと誰にも関心を持たれず、穏やかに過ごしていた、平穏な学院生活を、彼女は土足で入ってくる。
その無神経さに腹が立つ。
「お義姉様、今日のお昼は料理長に二人分作ってもらったので、一緒にカフェテラスで食べませんか?」
「ありがとう。折角だけど私も自分の物を持ってきているから、それはケロイド様と一緒に食べればいいわ」
「そんな、私はお義姉様と一緒に過ごしたいのです。早く仲良くなりたいのに」
そんなやり取りをしていると、婚約者のケロイド様が口を挟んできた。
「こんなに思いやりのある義妹に、お前はなんて冷たい奴なんだ。お前の様な女が婚約者だなんて、俺はついていない。エリーゼが婚約者なら良かったのに」
私を睨みながら、至極残念そうにエリーゼを見つめているケロイド様。
「ダメですわ。ケロイド様はお義姉様の婚約者です。私は将来、義妹になるのですから」
悲しそうな顔をしながら俯く。
ケロイド様からすれば、差し詰、私は異母妹を虐める悪女だろう。
彼の冷たい視線が私に向けられている。
仕方なく、その日の昼食は一緒に摂ったのだが、それが大きな間違いだと気づかされるのに、時間はかからなかった。
学院のカフェは学院に通う学生なら誰でも利用出来るため、その日エリーゼは大勢の前で、私が誰なのか言ってしまったのだ。
私がアリスティア・クロムウェル公爵令嬢だと。
その結果、エリーゼに向かう筈だった悪意は、何の関係もない私へと向けられた。
理由は簡単。
私は誰にも好かれていないから……
125
あなたにおすすめの小説
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
嘘つきな貴方を捨てさせていただきます
梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。
「さっさと死んでくれ」
フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。
愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。
嘘つきな貴方なんて、要らない。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
11/27HOTランキング5位ありがとうございます。
※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。
1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。
完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。
【完結】祈りの果て、君を想う
とっくり
恋愛
華やかな美貌を持つ妹・ミレイア。
静かに咲く野花のような癒しを湛える姉・リリエル。
騎士の青年・ラズは、二人の姉妹の間で揺れる心に気づかぬまま、運命の選択を迫られていく。
そして、修道院に身を置いたリリエルの前に現れたのは、
ひょうひょうとした元軍人の旅人──実は王族の血を引く男・ユリアン。
愛するとは、選ばれることか。選ぶことか。
沈黙と祈りの果てに、誰の想いが届くのか。
運命ではなく、想いで人を愛するとき。
その愛は、誰のもとに届くのか──
※短編から長編に変更いたしました。
最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる
椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。
その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。
──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。
全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。
だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。
「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」
その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。
裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。
皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]
風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが
王命により皇太子の元に嫁ぎ
無能と言われた夫を支えていた
ある日突然
皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を
第2夫人迎えたのだった
マルティナは初恋の人である
第2皇子であった彼を新皇帝にするべく
動き出したのだった
マルティナは時間をかけながら
じっくりと王家を牛耳り
自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け
理想の人生を作り上げていく
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる