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夫婦の時間
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このガゼボは、特別な空間で出来ている。昔からエドワードとは、ここで会っていた。
どれ程の権力を持っていようと、誰にでも老いはやって来る。妾も年をとった。鏡を見るたびにそう思う。
夫が病に倒れた時、初めて夫婦水入らずの時間を過ごした。
「…、マーガレット…か、すまないな。まだ政務があるだろう。我の看病など侍女に、任せれば良いのだ」
「何を仰っているのです。もう私の口出しなど年寄りの冷や水ですよ」
「そなたがか面白い冗談だ」
他愛のない話をした。この夫とこんなやり取りが出来るようになるなんて、思っても見なかった。
「我はもう永くない、そなたに謝らなければならない」
「何をですか?」
「実はそなたとの結婚を望んだのは我自身なのだ。ハウエル領を視察した時、街の復興に力を注いでいたそなたに心惹かれた。だから王命を使ってでも手に入れたかった」
「何故、今更その様な事を仰るのです。もっと早くに言って頂けたら、私は…」
結婚当初に知っていたから、どうなると云うのだろう。多少の歩み寄りはできたかも知れないが、私は私でしかない。所詮、砂上の楼閣に過ぎない。何れ破局するのだ。
「私は、どうしたと?我を愛したと?そんな事にはならなかっただろう?そなたは貴族らしい貴族だから、普通の女とは違う。我が愚かだったのだ。若い頃はそんな事もわからなかった」
夫は、何を云いたいのだろう?私にも人を愛する気持ちはあるのだ。何処までも自分本位な夫に半ば呆れていた。
「そなたは、男の欲求の対象となる女ではなく『王の女』だったのだ。我ながら死に行く時になって漸く、その答えにたどり着くとは…」
「私は、貴方の妻ですよ。何を仰っているのです」
「違う。我の様な愚鈍な者にそなたは相応しくない。あの男ならそなたを幸せに出来ただろう。エドワード・ブラックボンドなら」
私は、長年封じ込めた思いを見透かされている様な心地だった。
「私とブラックボンド卿はその様な関係ではありませんし、あり得ません。あの男は亡くなった妻を心から愛しているのですから」
「それも違う。あの男は、ずっとそなたの側にいた。もし、そなたが望んだなら我から奪って何処かに隠しただろう。そのくらいそなたに執着していた」
「だとしても、もう過去の事です。どうにもならないのですから、お気にするのはお辞めください」
もう遅いのだ。だって彼はもう一年前に亡くなっている。爵位は一人息子が継いでいるのだから。
「さあ、お体に障ります。少しお休み下さい」
結局、夫が何を云いたかったのか、私には伝わらなかった。
もう遅い。私の大切な者は全て無くなった。
父も兄も息子もそして、私の知己エドワードも皆いなくなった。時期、夫もあちらに逝くだろう。私も続く事になる。
どう足掻いても元には戻れない。どれ程悔いても取り返しはつかない。時は戻せないのだから。
夫は一週間後に亡くなった。息子が即位し、私は王太后となり、息子の摂政を務めた。まだ、引退はさせてくれない様だ。
そして、私は、又肉親の情に苦しめられる事になる。
どれ程の権力を持っていようと、誰にでも老いはやって来る。妾も年をとった。鏡を見るたびにそう思う。
夫が病に倒れた時、初めて夫婦水入らずの時間を過ごした。
「…、マーガレット…か、すまないな。まだ政務があるだろう。我の看病など侍女に、任せれば良いのだ」
「何を仰っているのです。もう私の口出しなど年寄りの冷や水ですよ」
「そなたがか面白い冗談だ」
他愛のない話をした。この夫とこんなやり取りが出来るようになるなんて、思っても見なかった。
「我はもう永くない、そなたに謝らなければならない」
「何をですか?」
「実はそなたとの結婚を望んだのは我自身なのだ。ハウエル領を視察した時、街の復興に力を注いでいたそなたに心惹かれた。だから王命を使ってでも手に入れたかった」
「何故、今更その様な事を仰るのです。もっと早くに言って頂けたら、私は…」
結婚当初に知っていたから、どうなると云うのだろう。多少の歩み寄りはできたかも知れないが、私は私でしかない。所詮、砂上の楼閣に過ぎない。何れ破局するのだ。
「私は、どうしたと?我を愛したと?そんな事にはならなかっただろう?そなたは貴族らしい貴族だから、普通の女とは違う。我が愚かだったのだ。若い頃はそんな事もわからなかった」
夫は、何を云いたいのだろう?私にも人を愛する気持ちはあるのだ。何処までも自分本位な夫に半ば呆れていた。
「そなたは、男の欲求の対象となる女ではなく『王の女』だったのだ。我ながら死に行く時になって漸く、その答えにたどり着くとは…」
「私は、貴方の妻ですよ。何を仰っているのです」
「違う。我の様な愚鈍な者にそなたは相応しくない。あの男ならそなたを幸せに出来ただろう。エドワード・ブラックボンドなら」
私は、長年封じ込めた思いを見透かされている様な心地だった。
「私とブラックボンド卿はその様な関係ではありませんし、あり得ません。あの男は亡くなった妻を心から愛しているのですから」
「それも違う。あの男は、ずっとそなたの側にいた。もし、そなたが望んだなら我から奪って何処かに隠しただろう。そのくらいそなたに執着していた」
「だとしても、もう過去の事です。どうにもならないのですから、お気にするのはお辞めください」
もう遅いのだ。だって彼はもう一年前に亡くなっている。爵位は一人息子が継いでいるのだから。
「さあ、お体に障ります。少しお休み下さい」
結局、夫が何を云いたかったのか、私には伝わらなかった。
もう遅い。私の大切な者は全て無くなった。
父も兄も息子もそして、私の知己エドワードも皆いなくなった。時期、夫もあちらに逝くだろう。私も続く事になる。
どう足掻いても元には戻れない。どれ程悔いても取り返しはつかない。時は戻せないのだから。
夫は一週間後に亡くなった。息子が即位し、私は王太后となり、息子の摂政を務めた。まだ、引退はさせてくれない様だ。
そして、私は、又肉親の情に苦しめられる事になる。
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