【完結】婚約破棄は誰が為に?

春野オカリナ

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兄と弟

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 その城は山の頂上に位置し、螺旋状の坂道を登る。

 その坂道には、王都に居を構える貴族達の屋敷が並んでいた

 勿論、騎士団の宿舎、屯所が要所にあり、治安には問題がないようになっている。

 王都の城門から真っ直ぐに伸びる公道を中心に水平に鹿目状態の街並みは均等に整っていた。

 既に街は活気付いて、何年も経っている様だ。

 元々ウィンダリア事態、軍部の要塞都市として栄えた街であり、今では観光資源となっている。

 条件が整っているにも関わらず、国王は二の足を踏んでいた。

 国は衰退の一途を辿るばかりで、最早嘗ての繁栄は見る影も無くした。

 そして、遷都反対派の国王と遷都推進派の王太子で国は分裂した。

 当然貴族や国民も割れて、国の2/3は遷都に賛成したのである。

 そして、あの醜聞によって王太子失脚を狙ったのだが、実は逆に上手く利用される形となった。

 マテウスにとって偉大な兄の背は遠かった。

 子供の頃から兄と比べられ惨めな思いを味わった彼にとって、オフィーリアから誘われた時は、兄を出し抜けるという優越感を覚えた。

 その裏腹で婚約者を裏切っている罪悪感に苛まれた。

 しかし、若いマテウスには、肉欲の方が勝り結果、レイティアを失った。

 彼が失ったものはレイティアだけではなく、大部分の貴族、国民の信頼も失い。

 遂に国も失いつつある。

 現状を打開すべく兄に会う決心をしたが、あの氷の眼差しに耐える自信が無かった。

 幼き日より何度も見ているあの氷の様な冷たい印象の美しい顔が苦手だったのだ。

 城に着き、謁見の間に通されたマテウスは

 「兄上、お久しぶりです」

 「不合格だね。マテウス。もうお前の兄ではないよ。父から廃嫡されただろう?忘れたのかな。まずお前が言うことは、兄にではなく、他国の国王に対してだろう。甘やかされて育ったお前はそんな礼儀も忘れたのか」

 怒気を含んだ言葉が突き刺さる。

 謁見の間が氷付くのを感じていた。
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