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愚か者達は真実を知る

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 「お父様、何故ここに新国の使者って、どういう事ですか?」

 「もう、お前との縁は切った。娘でも何でもない。お前はこの国の王太子殿下の婚約者だ。それ以外の何でもない」

 「そんな、私も新しい国に連れて行って下さい」

 「オフィーリア様、聞こえなかったのですが、隣国として出席されるか欠席されるかお答え下さいと言ったのが、貴女はこの国の王太子殿下マテウス様の婚約者です」

 「陛下、どうされますか?」

 「わしは行かぬ、あれの国な等、絶対に」

 「そうですか、わかりました。では、マテウス王太子殿下はどうされますか?国王代理として出席されますか?」

 「僕は…」

 マテウスはチラリと父親の顔を見ながら

 「ぼ、私は参加する。兄上がこんな事をした理由が知りたい」

 「わかりました。そのように伝えます。それでは、今から向かいますので、お支度下さい」

 「えっ、今から」

 「はい、式典は明後日となっております」

 「わかった。直ぐに用意する」

 マテウスは部屋に戻ろうとしたが、オフィーリアが

 「私も一緒に行っても良いのよね」

 「お好きにしてください」

 そう言って、国王以外は部屋を出る。

 支度が出来たマテウス達は新国を目指す。

 その道程は厳しい物で、マテウスは国の現状を初めて知ることになる。

 僕は何も知らなかった。何故、兄上が王である父に逆らって迄、遷都を押し進めていたのか。

 マテウスの見ている物は、まだ序の口だった。

 新しい国ウィンダリアについて、遷都の意味を初めて知る。

 これが兄上の国、今までの国とは違う。

 ああ、ここから王都を一望出来るのか。凄いな。

 何故、父上はあれ程、遷都に反対したんだ。

 兄上が国を出てそんなに経っていないのに、立派な王都に出来上がっている。

 これはどういう事なんだ。僕は何も知らない。
 
 いや、何も知ろうとしなかったんだ。

 兎に角、兄上と話をしなければ始まらない。

 マテウスは、兄ウィリアムの考えを知ろうと思っていた。

 だが、隣のオフィーリアがとんでもないことを企んでいる事に気が付かなかった。

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