ルトワニア国の園遊会に隣国からの訪問客が来ていた。
しかし、その人物はかつて、この国の王妃であった女性だった。隣には仮面で顔を覆った夫が立っている。
だが、それよりも王侯貴族の目を引いたのは、彼女の傍らにいる男女の双子の容姿だった。
少女は母親似で、男子の方の顔は国王瓜二つであった。
人々はもしかしたら、子を腹に宿したまま離婚したのではと訝しんだ。
国王ルドヴィックもその可能性を否定出来ないでいた。
そんなルドヴィックにエレオノーラは静かに問い掛ける。
──あなたは今、幸せですか?
ルドヴィックはその問いに素直に「幸せだ」とは言えなかったのだった。
文字数 28,236
最終更新日 2022.05.10
登録日 2022.04.30
サウザンド王国のシステイン・ガウレット公爵令嬢は国同士の同盟の為、隣国シューバッハ国のマーゴット公爵令息カイザーと婚約することになった。
だが、初の顔合わせでカイザーはシステインに
「私には愛し合っている女性がいる。君を愛することはない。この結婚は王命で国同士の同盟によるものだ。3年経ったら君とは離縁するつもりだからそのつもりでいてくれ。勿論、閨も共にしない」
そう告げたのだ。
3ヶ月後に侍女二人と護衛騎士一人を連れて、システインはカイザー・マーゴットに嫁ぐことになるのだが、彼が語る愛する女性マリウェザーの言動には何処か違和感がある事にシステインは気付きつつも三年の月日が経ったのだった。
遂に離婚の日が来てしまい。システインは約束通り離縁することになったのだが、その帰途中にシステインは、馬車ごと転落死してしまったのだが、次に目覚めると夫カイザーとの顔合わせの儀に戻っていた。
しかし、夫の様子が以前と違う事にシステインは戸惑うのだった。
文字数 21,374
最終更新日 2022.04.29
登録日 2022.03.26
サリナ・トルディは子爵夫人だ。可も不可もない至って普通の下級貴族。
ところがクリスマスを前にしたある日、夫が突然馬車事故で亡くなった。だが、問題は夫と一緒にカーマンベル伯爵夫人が同乗していたことだった。彼女はサリナとは幼馴染で、伯爵と夫のロイドは友人関係にあった。
社交界で酷い醜聞にさらされながら、サリナは二人の子供を何とか育てようと奮闘するも、子供の何気ない一言で自暴自棄になってしまい、睡眠薬を過剰摂取してしまう。
だが、目覚めたら夫が亡くなる2か月前に戻っていた。
サリナは愛する夫を事故にあわさない様にしようと心に決めたのだ。
そして、夫との関係が徐々に深まる中、あの事故の日が来る。サリナはその日夫に何があったのかを知ることになる。
文字数 22,627
最終更新日 2022.03.24
登録日 2021.12.20
アシュリーは、義妹ウルスラの代わりにエステル公爵家に嫁ぐことになった。
でも、公爵は5年前から記憶喪失で、精神年齢は10才の子供。
嫁いだといっても遊び相手のようなもので、当然、社交もしなくても構わない。
三食昼寝付きの生活は至極快適なのだが、何処かおかしい。
※この作品は第一章〜第三章までの三部作になっていますが、全て主人公は別々になっています。
※第一章はシリアス混じりのコメディ風味で、第二章は、シリアス。第三章はコメディ風味のシリアスとなってます。因みに婚約破棄は全てに付いてます。
文字数 88,186
最終更新日 2022.02.18
登録日 2022.01.06
イオナ・カレッド侯爵令嬢は失恋した痛手を癒しに、仮面舞踏会に参加した。
ところがその舞踏会で盛大に酔った勢いで大切な処女を奪われた挙句、妊娠してしまう。
相手の分からないイオナ。社交界で今まで培ってきた評判は一気に落ちてしまった。侯爵家は大金持ち、そんな彼女を妻にと望む声が急上昇。
ある夜会で彼女を探していたゲイリー・ロッドマン侯爵令息は、急いで彼女に求婚する。
妊娠、結婚、育児と二人揃って初挑戦。
文字数 18,189
最終更新日 2022.02.17
登録日 2022.01.31
初夏の日差しが強くなる頃、王都の書店では、ある一冊の本がずらりと並んでいた。
それは、半年前の雪の降る寒い季節に死刑となった一人の囚人の手記を本にまとめたものだった。
囚人の名は『イエニー・フラウ』
彼女は稀代の悪女として知らぬ者のいない程、有名になっていた。
その彼女の手記とあって、本は飛ぶように売れたのだ。
しかし、その内容はとても悪女のものではなかった。
人々は彼女に同情し、彼女が鉄槌を下した夫とその愛人こそが裁きを受けるべきだったと憤りを感じていた。
その手記の内容とは…
文字数 21,354
最終更新日 2022.02.12
登録日 2022.02.02
マイセン公爵は今日、二度目の結婚式を挙げていた。
一度目の結婚で花嫁に逃げられた憐れな男、『寝取られ公爵』と嘲りを受けていたのだ。
彼が戦地に行っている間、結婚式に間に合わず、戻って来てみれば花嫁は身代わりの男と駆け落ちをしていた。
そのことが原因で、二度目の教会での結婚に誓いで「妻を愛する事はない」と宣言してしまうのだった。
参列した招待客が驚く中、花嫁は「じゃあ、三食昼寝付きでいいでしょうか」と切り返す始末。
皆が呆れるこの夫婦のおかしな同居?生活が始まった。
文字数 3,796
最終更新日 2022.02.11
登録日 2022.02.10
ルグラン王国の王太子ジルベルトはツェニティー・アルバット公爵令嬢と婚約を破棄した。理由は子爵令嬢マリアンヌと『真実の愛』に目覚めたからだ。
ツェニティーはその後、修道院に入った。
数年後、国王が死去し、ジルベルトが国王になると周りの状況が一変した。アルバット公爵は爵位を返上し、国から出てしまい。父の代からの重臣貴族はこぞって役職を返上し、隠居したのだ。
文字数 35,302
最終更新日 2022.02.05
登録日 2021.12.01
ある日、怪我をした男を助けたエルサは、恋をした。
その男は記憶喪失になってしまっていた。
その一年後、記憶を取り戻した彼にエルサは別れを告げられたのだ。
だが、男は自分が怪我をした記憶は思い出せなかったのだ。
文字数 15,943
最終更新日 2022.01.31
登録日 2022.01.21
大国のリンデン帝国から一人の公女が嫁いできた。
彼女は、元帝国の皇太子の婚約者だったのだが、別の国から王女を娶る為、公女が邪魔になったのだ。そこへ絶対に断れない小国のオーデル国に嫁がせる事にした。
オーデル国は2年前に代替わりしたばかりの弱小国。テオドール国王は、両親が仲睦まじく恋愛結婚だったので、そんな結婚生活を夢見ている王だった。
だが、そんな彼の元に来た隣国の公女フェリエスはとんでもないおかしな女性だった。
文字数 4,579
最終更新日 2022.01.27
登録日 2021.12.03
アーネット・マドラー侯爵令嬢は、グリント辺境伯に嫁ぐ事になった。
彼女には8年間婚約していた第二王子ハーメリックと一年前、婚約を解消したばかりで、実はこの結婚には裏話があった。
三年程前に長年社交界にも出ず療養生活をしていたデニス公爵家の令嬢ミレイアが奇蹟的に回復し、初めての夜会に参加した。
美しい上にか弱い公爵令嬢に一目ぼれしたハーメリックは、アーネットとの婚約を解消し、ミレイアを新たな婚約者に迎えたかった。しかし、これといって何の落ち度もないアーネットとの破談は難しかった。
ところが、妹の王女マルグリットに辺境伯との婚姻話が来ると、王女が結婚を嫌がった。辺境などに嫁ぐより、騎士の誰かに降嫁して、王都で暮らしたいと我儘を言い出したのだ。
ハーメリックはこれ幸いとばかりに、アーネットを王女の代わりに辺境地へ追いやった。
一方、オーランド・グリント辺境伯は、長年、慕っていた王女の輿入れが全く別人に変わり、腹を立てていた。急に王子の婚約者を下ろされたアーネットに何かあるのではと訝しみ、使用人らに彼女の人となりを調査するように言い渡す。
特に悪い噂もないが、オーランドは積年の王女への想いを捨てきれず、一年の白い結婚をアーネットに言い渡すが…。
文字数 62,840
最終更新日 2022.01.17
登録日 2021.12.06
ルフィナ・エーゼラ侯爵令嬢は、右頬に醜い痣があった。その為、顔の半分をベールに隠して過ごしていた。
初めて婚約者の第一王子アーガットに会って、一目ぼれをしたがアーガットに『気味が悪い。痣が移る』と邪険にされ、それ以降も蔑にされ続けた。
とうとう、16歳の夜会でルフィナはアーガットから婚約破棄を告げられ、王都近くの森に捨てられたのだ。
暴漢に襲われたルフィナは逃げる際、幌馬車に乗り込んでまた王都に帰ってきたのだが、侯爵家を追い出されたルフィナに行くところはない。
ルフィナは近くの食堂に下働きとして雇ってもらう事にした。
文字数 1,106
最終更新日 2021.12.27
登録日 2021.12.27
オリビアは2年前から不思議な文通をしている。
彼女はある時を境に引き籠りになっていた。
その事情は国中の全ての人間の知っている。寧ろ知らない人間を探した方が早いくらいだ。
理由は、2年前の春、長雨で道が泥濘んでいる中、彼女は婚約者と一緒に王都近くの薔薇園に視察に行く予定だった。その途中で、馬車が横転するという事故に遭ってしまった。
婚約者は頭を強く打って重症なのに、オリビアは婚約者が庇ってくれたお蔭で軽傷ですんでいた。周りはオリビアが代わりになればよかったのにと罵倒した。
その事故で、彼女の婚約者は未だに意識を取り戻していない。2年間ずっと眠ったままなのだ。
父から自宅から出る事を禁じられたオリビアは2年間、婚約者が目覚めるのを待ち続けている。
オリビアは、2年の間「不幸を呼び寄せる不吉な女、この国の疫病神だ」と国中から後ろ指を指されていた。
それは、彼女の婚約者はこの国の第一王子アーロンだからなのだが……。
オリビアが公爵家で不遇な扱いをされ始めてから、月に一度不思議な手紙が来るようになった。それは名前も顔も知らない誰かからで、その手紙のお蔭でオリビアは様々な事を助けられることになるのだが……。
果たして名前を名乗らない手紙の主の正体は──?
文字数 14,842
最終更新日 2021.11.27
登録日 2021.11.15
ラシュロ・ロゼッタは地味で目立たない伯爵令嬢。
夜会に幼馴染のジョルジオ・メイナ侯爵令息の女避けの為に同伴したのが運の尽き、眉目秀麗なジョルジオに憧れる令嬢は数多い。誰にでも優しいジョルジオを婚約者の座を巡って令嬢達は取り合っていた。
「なぜ、貴女の様な地味な女が、いつもジョルジオ様の傍にいますの。身の程を弁えなさい!」
といきり立っている令嬢等に追い掛け回される日々を送っていた。やはり夜会でも絡まれ、王宮の回廊を走って逃げた時に、うっかり靴を片方落としていった。拾う間もなく、茂みに身を隠していると、夜会終了の鐘がなった。
やっと帰れるとばかりにラシュロは、別の場所に落ちているサイズの合わない大きな靴を代わりに履いて帰ったのだが、それがそもそも大間違い。拾ったものほど高くつくことはなかった。
実は、今夜の夜会はこの国の王太子殿下が隣国より留学を終え、帰国した祝いで催されたもの。しかも王太子殿下ルーベンスはこの時『運命の乙女』に出会って一目惚れをしたのだ。オーロラのような色が変わるキラキラとしたドレスに身を包んだ。金髪碧眼の美少女と一曲踊っただけで、二人は恋に落ちた。
そして、彼女は夜会終了の合図と共に急いで帰って行く途中、靴を片方落としたのだ。その靴を王太子ルーベンスが拾って、翌日より『運命の乙女』探しが始まった。
──この靴がぴったりと履ける乙女と王太子は結婚する
という御触書が出回った。
ところが、何の手違いかロゼッタ伯爵家に靴を持ってきた侍従が驚いた。その家の三女のラシュロの足にぴったり履けたのだ。
それもそのはず、王太子が拾った靴は実はラシュロが廊下に落とした片方で、代わりに履いた大きな靴が『運命の乙女』の物だった。
なにも知らずに『運命の乙女』セゾッラは、もうじき王太子がやって来ると思って待っているが一向にやって来ない。街で、別の女性が選ばれた事を知ったセゾッラはハシバミの木を思いっきり蹴とばした。
怒ったハシバミの聖霊は、セゾッラに老婆の様な姿に変えたのだ。セゾッラは慌てて謝ったが聖霊は赦さなかった。だが、セゾッラの母親の恩から呪いを解く方法を教えてくれた。それは入れ替わった運命を元に戻す事。
つまり王太子の元に行ったラシュロと入れ替わる事。自分が『運命の乙女』だと王太子に分からせ結ばれる事だった。昼間は美しい少女、夜は老婆の姿に変わるセゾッラは、学園でラシュロに近付いてラシュロを陥れる計画をするのだった。
文字数 7,591
最終更新日 2021.11.19
登録日 2021.11.13
アナトーリア・ベンガリーは、第一王子アルフォンソとの婚約を解消した。
本来なら、一年前に婚約を解消したのだが、ある事情から彼女は解消を待たされることになった。
彼女は一年前、【血の惨劇】と呼ばれる王宮の『永遠の薔薇』で起きた事件に巻き込まれ、一部の記憶を無くしたのだ。
大怪我をしたアナトーリアは事件から一月後に目覚めるが、婚約者のアルフォンソとある令嬢の事だけは思い出せない。
一年間、関係の修復を試みたが、全く進展がない上、拒絶反応が激しい事で婚約を解消する事になった。
アナトーリアは公爵家を継ぐために新しい婚約者を迎える事になったのだが、その婚約者は役立たずの王弟として有名なフェルナンドだった。
※カクヨム様にも投稿中です!
文字数 66,435
最終更新日 2021.11.12
登録日 2021.10.04
その国には「奇跡の君」と呼ばれる聖女がいた。
彼女の名はイヴリーヌ・バウェルン。
元公爵令嬢で、100年前に死んだはずだった。しかし、ある事情から彼女は蘇ってしまった。
目覚めた時、イヴリーヌにとっては未来の世界、誰も知ってる人のいない世界にたった一人で放り出されたのだ。
彼女の願いは只一つ。
それは死ぬことだけだった。
生きる目的の見つからない聖女は旅に出る。護衛の騎士を一人連れて……。
文字数 11,987
最終更新日 2021.11.11
登録日 2021.11.01
エミュール・シュトラウス公爵令嬢は、第三王子アトラスと婚約していた。
ある日、アトラスから「話がある」と王宮に呼び出され、客間で待っているとそこに現れたのは、アトラスとナターシャ・ゲイル伯爵令嬢だった。
「悪いがナターシャが妊娠したので、婚約を解消したい」
と言われ婚約を解消した。
そして、新しい婚約者が決まったのだが、その人物はナターシャの元婚約者のカーネリアン・ドガーズ侯爵令息だった。
でも、カーネリアンはさほど気にしていない様子で
「各上の公爵家の婿に入れるのなら、幸運ですよ」
等と言った。淑女の仮面を外したエミュールの反撃が始まった。
文字数 102,952
最終更新日 2021.11.09
登録日 2021.01.21
私、桜塚菫は、朝、目覚めると隣にいる眉目秀麗な男に目をやった。
彼の名は『ブルーノア・ガイン』伯爵。
だが、彼には裏の顔があって、暗殺ギルド【沈黙のメシア】のマスターなのだ。
私は、どうやら乙女ゲーム【乙女と花盛りの男たち】の世界に転生したようだ。
私の今の名は
ヴァイオレット・ブロッサム
公爵令嬢で、夕べこの眉目秀麗な男に殺されて、私がこの体に入ったらしい。
でも、何故、私達は同じベッドで眠っているのだろう?
その答えは、目覚めて彼から直接聞いて、顔から火が出るほど恥ずかしい内容だった。
27年、生まれてこの方、彼氏いない歴=年齢の私に神様がくれた最高の贈り物。
文字数 16,387
最終更新日 2021.11.08
登録日 2021.09.09
平々凡々な侯爵令嬢のデュランは死んだ従妹の代わりにオーランド辺境伯爵家に嫁ぐ事になる。
デュランは王命で『3年後には離婚』という期間限定の仮の妻。
従妹に心が残っている辺境伯爵に嫌われる為、これでもかと嫌味を放つのだが、当の辺境伯爵には効いていない。
ヘタレな男を演じ、本性を見せずにデュランのハートを掴もうとあの手この手で翻弄していく。
3年後の離婚を目指すデュランと絶対に逃さない様に外堀を埋めていく、美貌の悪魔辺境伯爵。
途中シリアスがありますが、ラブコメです。
文字数 43,613
最終更新日 2021.11.08
登録日 2021.05.24
ペネロペは「忘れられた皇妃」だった。ロワノフ帝国の皇妃として皇后の代わりに公務を熟すだけの毎日を送っていた。
そしてある日、用済みになったペネロペは捨てられた。廃棄となったペネロペはブレイクという暗黒騎士に嫁がされる。
だが、恐ろしいはずの彼に愛されて、やっと手にした幸せをまたもや皇帝とその妻の聖女ニーナに奪われる。
隣国オルレアン大公国が攻め入ってきて、二人はブレイクを戦場に置き去りにして、城に逃げ帰って来た。
悲しみにくれたペネロペは大公国を帝国に招き入れ、遂に帝国を滅ぼした。
人々は、彼女の事を『帝国最悪の悪女』と呼んでいた。
疑い深いオルレアン大公に毒を盛られたペネロペは、時の神殿である祈りを奉げていた。そしてその祈りが聞き届けられて、動かないはずの『時の大時計』が逆回りを始めた。
それは時を巻き戻し始めたのだ。
彼女は、今度こそブレイクと幸せになる為に、自分の全てを彼に奉げる事にする。
文字数 13,104
最終更新日 2021.11.08
登録日 2021.09.22