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第114話
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そんな話の後、料理長は
「お二方とも、料理が覚めてしまいます。
私どもも厨、房に有るものを頂きますので、これで
下がらせていただきます」
と、頭を下げた。
「厨房に有るなら、皆で食べてくれ。
うまそうな料理を、手伝ってくれてありがとう」
「いえいえ、私共も、良き勉強になりました。
それでは、失礼いたします」
そのまま部屋を出ていく料理長。
「じゃあ、俺達も、食べるか?」
「あっ、お箸・・・置いてありますか?」
「あぁ、昨日借りたものが、ここに」
私が、ほっとしたのを確認したマルクス様は
パチン・・・と、両手を合わせる。
それをみた私も、同じように合わせると、2人揃って
「「頂きます」」
と言ってから、箸を持った。
マルクス様はまず、お味噌汁を飲む。
「あー・・・懐かしい。このみんそは、ここに合った物か?」
「みんそは、なかったので、他に必要な調味料をチェックしてから、
全て家から、持ってきてもらいました」
「えっ!?こんな早くに?」
「夜の内に、お兄様に連絡しておいたのです」
「ア、アクイラスに?」
「はい。いけませんでしたか?」
「いや、いけなくはないが・・・後で・・・」
そこまで言ってマルクス様は、おにぎりにかぶりついて、モグモグと言葉を濁す。
「まあいいか。細かいことは気にせず、和食を楽しむぞ」
「そうですね。この後執務もありますから、たくさん食べてください」
私にそう言われたマルクス様は
「次は、焼おにぎり・・・」
と言って、醤油味にかぶりつき
「この・・・ユ?だったかな。ホント、醤油だよな。
ちょっと塩っけが強いけど、その分マイが進む」
「塩ではなく、エンです」
「あぁそうだった。と、言うことは、やっぱり
みんそもエンが強いのか?」
「そうですね。こちらの調味料はすべてそうです」
「甘さをだす糖が高かったから、仕方ないのか」
「糖は確かに高いですね。材料は、甜菜ですか?」
「たしか違うぞ。サトウキビのような野菜だな。樹液を絞って、乾燥させる」
「それは絞るのにも、手間がかかりますね」
「手間しかない。1リットルの樹液を作るのに、1000本は要るんだ」
「それは・・・重労働、と言うことですか?」
「あぁ。しかし、元が元だけに、どうにもならん」
「では、うちの領地にあった、テサンをこちらに提供しましょう」
「テサン?」
「はい。かぶのような姿をした、甜菜に似たお野菜です。
これを細かく賽の目に切り、熱いお湯に長時間浸して成分をだし、
そのお湯のみを、煮詰めれば砂糖が出来上がります」
「えっ、そんな簡単に?」
「はい。私が色々作って、砂糖を使うので、お父様のお婆様が
教えてくださいました」
「へぇ~」
その日の朝は、そんな感じで終わった。
和食を食べたマルクス様は、とっても元気になり
「片っ端から片付けてくる」
と言って、仕事に向かっていった。
「お二方とも、料理が覚めてしまいます。
私どもも厨、房に有るものを頂きますので、これで
下がらせていただきます」
と、頭を下げた。
「厨房に有るなら、皆で食べてくれ。
うまそうな料理を、手伝ってくれてありがとう」
「いえいえ、私共も、良き勉強になりました。
それでは、失礼いたします」
そのまま部屋を出ていく料理長。
「じゃあ、俺達も、食べるか?」
「あっ、お箸・・・置いてありますか?」
「あぁ、昨日借りたものが、ここに」
私が、ほっとしたのを確認したマルクス様は
パチン・・・と、両手を合わせる。
それをみた私も、同じように合わせると、2人揃って
「「頂きます」」
と言ってから、箸を持った。
マルクス様はまず、お味噌汁を飲む。
「あー・・・懐かしい。このみんそは、ここに合った物か?」
「みんそは、なかったので、他に必要な調味料をチェックしてから、
全て家から、持ってきてもらいました」
「えっ!?こんな早くに?」
「夜の内に、お兄様に連絡しておいたのです」
「ア、アクイラスに?」
「はい。いけませんでしたか?」
「いや、いけなくはないが・・・後で・・・」
そこまで言ってマルクス様は、おにぎりにかぶりついて、モグモグと言葉を濁す。
「まあいいか。細かいことは気にせず、和食を楽しむぞ」
「そうですね。この後執務もありますから、たくさん食べてください」
私にそう言われたマルクス様は
「次は、焼おにぎり・・・」
と言って、醤油味にかぶりつき
「この・・・ユ?だったかな。ホント、醤油だよな。
ちょっと塩っけが強いけど、その分マイが進む」
「塩ではなく、エンです」
「あぁそうだった。と、言うことは、やっぱり
みんそもエンが強いのか?」
「そうですね。こちらの調味料はすべてそうです」
「甘さをだす糖が高かったから、仕方ないのか」
「糖は確かに高いですね。材料は、甜菜ですか?」
「たしか違うぞ。サトウキビのような野菜だな。樹液を絞って、乾燥させる」
「それは絞るのにも、手間がかかりますね」
「手間しかない。1リットルの樹液を作るのに、1000本は要るんだ」
「それは・・・重労働、と言うことですか?」
「あぁ。しかし、元が元だけに、どうにもならん」
「では、うちの領地にあった、テサンをこちらに提供しましょう」
「テサン?」
「はい。かぶのような姿をした、甜菜に似たお野菜です。
これを細かく賽の目に切り、熱いお湯に長時間浸して成分をだし、
そのお湯のみを、煮詰めれば砂糖が出来上がります」
「えっ、そんな簡単に?」
「はい。私が色々作って、砂糖を使うので、お父様のお婆様が
教えてくださいました」
「へぇ~」
その日の朝は、そんな感じで終わった。
和食を食べたマルクス様は、とっても元気になり
「片っ端から片付けてくる」
と言って、仕事に向かっていった。
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