157 / 168
第164話
しおりを挟む
「本当に、似た者夫婦になりそうですね{
「うるさいよ。ルーザ。さっさと片付けて行ってくれ」
「分かりました」
カチャカチャ
「ではこれで、失礼いたします」
ルーザさんはそのまま、カートを押して出ていった。
「ごめん。人前で、あんな事をしてしまって・・・」
「いいえ。ですがひとつ、聞いて良いでしょうか?」
「なに?」
「マルクス様は前世で、あんな感じに、異性と関わって
いらっしゃったのですか?」
「えっ!?」
「私は、前世も今も、あのような交流の経験がありませんでしたので、
さっきの行動で、あっていたのかと、心配になって・・・」
私は悩むより、聞いた方が良いと思った。
前世の家族は、そんなことしなければ、手も繋いだことはない。
ちょっとでも触れれば、バシッとはたかれるのが普通だった。
今のオーギュスト家ではそんなことはないが、お兄様とお姉様が私を構ってくださるので、先ほどのようなことをしたことはない。
だから、どうして良いか分からなかったのが、正しい。
でも素直には言えないから、そう聞いてみた。
「あーーー・・・ごめん。俺、この癖、こっちに来てからなんだ」
「そうなのですね」
「母上が、体調を崩したのがまだ小さいときで・・・
ずっと、眠っていた母上にくっつくと、スッゴク安心したから・・・」
「それで・・・でもさっき、あっちじゃないって」
「そう言ったのは、前世の俺は、男女構わず人前での相手との距離が
近かったんだ。
結婚して、嫁さんに言われてやめたんだけど、母上で戻ったって言うか・・・」
では、マルクス様が寂しそうな時は、さっきのようにすれば良いわけですね。
分かりました」
「いやいや、人前ではしないからね」
「さっきは、ルーザさんの前でしたよ?」
「ルーザは知ってたから、つい・・・」
「そう、でしたね」
私は心に少しの痛みを感じながら、それを感じさせないように話した・・・はずだった。
「ミシェル?なにか、気になった?」
そう聞かれてピクッとした。
「何が?」
マルクス様は私を、じっとみたまま動こうとしない。
私はこんな時、どうすれば良いか分からない。
今まで、人にか変わってこなかったから・・・
前世では、関わらせてもらえなかったから・・・
でも、そんな理屈を並べて逃げている自分も、嫌いだった。
だから・・・
「わ、私以外の前で、しないでほしい」
「えっ?」
マルクス様はビックリした顔をしていた。
私は恥ずかしくなって下をむく。
マルクス様はそんな私をみて、満足そうな笑みを浮かべた。
「うるさいよ。ルーザ。さっさと片付けて行ってくれ」
「分かりました」
カチャカチャ
「ではこれで、失礼いたします」
ルーザさんはそのまま、カートを押して出ていった。
「ごめん。人前で、あんな事をしてしまって・・・」
「いいえ。ですがひとつ、聞いて良いでしょうか?」
「なに?」
「マルクス様は前世で、あんな感じに、異性と関わって
いらっしゃったのですか?」
「えっ!?」
「私は、前世も今も、あのような交流の経験がありませんでしたので、
さっきの行動で、あっていたのかと、心配になって・・・」
私は悩むより、聞いた方が良いと思った。
前世の家族は、そんなことしなければ、手も繋いだことはない。
ちょっとでも触れれば、バシッとはたかれるのが普通だった。
今のオーギュスト家ではそんなことはないが、お兄様とお姉様が私を構ってくださるので、先ほどのようなことをしたことはない。
だから、どうして良いか分からなかったのが、正しい。
でも素直には言えないから、そう聞いてみた。
「あーーー・・・ごめん。俺、この癖、こっちに来てからなんだ」
「そうなのですね」
「母上が、体調を崩したのがまだ小さいときで・・・
ずっと、眠っていた母上にくっつくと、スッゴク安心したから・・・」
「それで・・・でもさっき、あっちじゃないって」
「そう言ったのは、前世の俺は、男女構わず人前での相手との距離が
近かったんだ。
結婚して、嫁さんに言われてやめたんだけど、母上で戻ったって言うか・・・」
では、マルクス様が寂しそうな時は、さっきのようにすれば良いわけですね。
分かりました」
「いやいや、人前ではしないからね」
「さっきは、ルーザさんの前でしたよ?」
「ルーザは知ってたから、つい・・・」
「そう、でしたね」
私は心に少しの痛みを感じながら、それを感じさせないように話した・・・はずだった。
「ミシェル?なにか、気になった?」
そう聞かれてピクッとした。
「何が?」
マルクス様は私を、じっとみたまま動こうとしない。
私はこんな時、どうすれば良いか分からない。
今まで、人にか変わってこなかったから・・・
前世では、関わらせてもらえなかったから・・・
でも、そんな理屈を並べて逃げている自分も、嫌いだった。
だから・・・
「わ、私以外の前で、しないでほしい」
「えっ?」
マルクス様はビックリした顔をしていた。
私は恥ずかしくなって下をむく。
マルクス様はそんな私をみて、満足そうな笑みを浮かべた。
8
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
マジメにやってよ!王子様
猫枕
恋愛
伯爵令嬢ローズ・ターナー(12)はエリック第一王子(12)主宰のお茶会に参加する。
エリックのイタズラで危うく命を落としそうになったローズ。
生死をさまよったローズが意識を取り戻すと、エリックが責任を取る形で両家の間に婚約が成立していた。
その後のエリックとの日々は馬鹿らしくも楽しい毎日ではあったが、お年頃になったローズは周りのご令嬢達のようにステキな恋がしたい。
ふざけてばかりのエリックに不満をもつローズだったが。
「私は王子のサンドバッグ」
のエリックとローズの別世界バージョン。
登場人物の立ち位置は少しずつ違っています。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
村で薬師として過ごしていたセラは、
ハープの音に宿る才を王弟レオに見初められる。
その出会いは、静かな日々を終わらせ、
彼女を王宮の闇と陰謀に引き寄せていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる