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第163話
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部屋に帰ると、マルクス様が寂しそうに、フロランタンを摘まんだまま、待っていた。
「帰ったの?」
「お兄様が帰ってしまって、寂しいですか?」
「・・・うん。でも、あいつには言わない」
「どうしてですか?お兄様は喜ぶと思いますが・・・」
「だって、なんか恥ずかしいだろ。
居なくなったらヤダッ・・・て、言ってるみたいで」
「弟ですもの、良いじゃないですか」
「弟って・・・!!」
「私と結婚・・・じゃなかった、婚姻すれば、義理の弟ですよ」
私の言葉に、顔を真っ赤にしたマルクス様は、とってもかわいい。
「そっか、そうだよな。そうなるんだよ。
でもさ、やっぱりアクイラスと話すの、楽しいんだよな。
その時間が、終わってしまうとさぁ」
「ふふっ、そうですね。お兄様と話すのは、楽しいですからね」
「なんで笑う?」
「マルクス様、お兄様と話している時、いつも笑顔ですもの」
「そうだった?」
「そうですよ。だから、気にすることないのです。
言ってしまっても、良いんですよ」
そう言うとマルクス様は、私の腰にしがみつくと、ギューーーっと、抱き締める。
私は、なにも言わずに頭をなでなで。
しばらくそうしていると、ルーザが
「マルクス様、赤子に戻られたのですか?」
とド直球で声をかけて来た。
「戻るわけ、ないだろ」
「ですがそのお姿は、私に泣きついてきた時と同じですが?」
ルーザさんは、マルクス様の幼馴染みでもあるため、幼少期を知っている。
「いいだろ。別に」
「ふーーん。マルガ様には、ご報告しておきますね」
「なんで・・・そう言うことを・・・」
「ルーザ、言わなくて良いわ。
私は、やな思いしていないし、逆な甘えていただけて嬉しいですわ」
そう言うとまた、真っ赤になるマルクス様。
「こうして、ご自分がなさっていることより、私に言われたことで
照れていらっしゃるのを見るのも、楽しいですよ」
私のその言葉になにか気づいたのか、マルクス様はゆっくりと顔を上に向ける。
目の前にあるのは、私の胸。
その下から、私を見ていた。
するとマルクス様は、その事に気が付いたのか、ゆっくりと腰から手を離し、私を見たまま、すーーっと後ろに下がっていき、ソファーにポスンと落ちた。
そして
「うわーーーーっ・・・俺、なにやってんだよっ。あっちじゃねぇのに・・・」
あっち・・・前世で、マルクス様はそうしていたのだろうか?
私には全く分からないけど、異性にくっついて甘えるなんて・・・
そう考えた時、私もルーザの前で、あの体制を当たり前に見せていた。
マルクス様が腰に抱きついて・・・私が頭を撫でて・・・
それを思い出したと同時に、私はしゃがみこみ、顔を隠して頭を振った。
「帰ったの?」
「お兄様が帰ってしまって、寂しいですか?」
「・・・うん。でも、あいつには言わない」
「どうしてですか?お兄様は喜ぶと思いますが・・・」
「だって、なんか恥ずかしいだろ。
居なくなったらヤダッ・・・て、言ってるみたいで」
「弟ですもの、良いじゃないですか」
「弟って・・・!!」
「私と結婚・・・じゃなかった、婚姻すれば、義理の弟ですよ」
私の言葉に、顔を真っ赤にしたマルクス様は、とってもかわいい。
「そっか、そうだよな。そうなるんだよ。
でもさ、やっぱりアクイラスと話すの、楽しいんだよな。
その時間が、終わってしまうとさぁ」
「ふふっ、そうですね。お兄様と話すのは、楽しいですからね」
「なんで笑う?」
「マルクス様、お兄様と話している時、いつも笑顔ですもの」
「そうだった?」
「そうですよ。だから、気にすることないのです。
言ってしまっても、良いんですよ」
そう言うとマルクス様は、私の腰にしがみつくと、ギューーーっと、抱き締める。
私は、なにも言わずに頭をなでなで。
しばらくそうしていると、ルーザが
「マルクス様、赤子に戻られたのですか?」
とド直球で声をかけて来た。
「戻るわけ、ないだろ」
「ですがそのお姿は、私に泣きついてきた時と同じですが?」
ルーザさんは、マルクス様の幼馴染みでもあるため、幼少期を知っている。
「いいだろ。別に」
「ふーーん。マルガ様には、ご報告しておきますね」
「なんで・・・そう言うことを・・・」
「ルーザ、言わなくて良いわ。
私は、やな思いしていないし、逆な甘えていただけて嬉しいですわ」
そう言うとまた、真っ赤になるマルクス様。
「こうして、ご自分がなさっていることより、私に言われたことで
照れていらっしゃるのを見るのも、楽しいですよ」
私のその言葉になにか気づいたのか、マルクス様はゆっくりと顔を上に向ける。
目の前にあるのは、私の胸。
その下から、私を見ていた。
するとマルクス様は、その事に気が付いたのか、ゆっくりと腰から手を離し、私を見たまま、すーーっと後ろに下がっていき、ソファーにポスンと落ちた。
そして
「うわーーーーっ・・・俺、なにやってんだよっ。あっちじゃねぇのに・・・」
あっち・・・前世で、マルクス様はそうしていたのだろうか?
私には全く分からないけど、異性にくっついて甘えるなんて・・・
そう考えた時、私もルーザの前で、あの体制を当たり前に見せていた。
マルクス様が腰に抱きついて・・・私が頭を撫でて・・・
それを思い出したと同時に、私はしゃがみこみ、顔を隠して頭を振った。
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