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第2話
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「何で!?何で江利花が死んでんの?」
「何でお前がそんな騒ぐ」
私が漂っている頃、松本家では、電車に惹かれた末娘の確認が行われていた。
両親は半信半疑。長男はどうでもいいような顔をしているが、長女はガタガタと震えながら半狂乱になっていた。
「何で学校から、二駅先にいるんだ?そんなところに行く必要ないだろ」
「あの子、遊びに行ったんじゃないの?」
「俺にはどうでもいいんだけど」
「アンタたちは、何で心配しないのっ」
「心配なんてしないわ。そんなとこにいるわけ無いもの」
「お母さん」
「何よ」
「江利花だって、買い物に行くわ」
「静。あの子は、自分で者を買ったこと無いのよ」
「何言ってんの?」
「確かに、あの子は欲しいものを何一つ言わないな」
「お父さんまで…」
「だってあの子のものは全て、静が揃えてやっていただろ。
だから何を聞いても、必要ないと言っていたぞ」
「えっ!?兄さんまで、そんな事言うの?」
静は気が付いていなかった。
自分が妹で遊んでいたことが、まさか妹を家に閉じ込めていた事を。
そして今回、江利花を外に出してやろうと画策し、お使いを頼んだが時間が取れて自分が行けたことを黙ったまま二駅先まで行かせた事が、眼の前の肉片と関係あるということも気づかなかったのだ。
「失礼致します。DNAの確認が取れました。
ここにあるものが、松本江利花さんです。
特急にはねられましたので、ほぼ体は潰れております」
警察と消防、そして駅の管理者の確認の結果が、伝えられる。
「いやーーーーーーーッ」
静は叫び、否定の言葉を叫びながら大混乱。
母親は、ほーしん状態。
父親と雄一郎は、絶句していた。
一番最初に覚醒したのは、父親で
「何で娘は、そんなところに居たんですか?」
「どういうことでしょうか?」
「えっと…学校は事故にあった駅から、二駅分離れた場所にあるんです。
学校と家を往復してるだけだと、思っておりましたので…」
「あぁ。少し調べたところ、お嬢さんは
この駅の近くにある洋服店に寄っていたようです。
そこからの帰りに、事故にあったと考えられます」
「洋服、店…静、お前まさか」
雄一郎がなにかに気付いたように、そう言った。
「知らない。知らないわ。私は何も…」
「店主から聞いてます。お姉さんの荷物を取りに来られたと」
「嘘よっ嘘、嘘つかないで。私はそんなの頼んでない」
「オヤジ、こいつだ。取りに行かせたんだ。二駅先まで」
「静っ、お前は何をっ」
そこからは、理由のわからない修羅場だった。
姉の頼みを聞いて、体が潰れる事故に合い、遺体となった末娘の前で、家族全員の罵り合いが始まった。
それを見ていた警察は呆れながら、まずは親を止める。
半狂乱の長女に、救急隊員が鎮静剤を打ち、母親とともに病院へ運んだ。
そして末娘の体は、長男の手によって火葬され家に帰った…
「何でお前がそんな騒ぐ」
私が漂っている頃、松本家では、電車に惹かれた末娘の確認が行われていた。
両親は半信半疑。長男はどうでもいいような顔をしているが、長女はガタガタと震えながら半狂乱になっていた。
「何で学校から、二駅先にいるんだ?そんなところに行く必要ないだろ」
「あの子、遊びに行ったんじゃないの?」
「俺にはどうでもいいんだけど」
「アンタたちは、何で心配しないのっ」
「心配なんてしないわ。そんなとこにいるわけ無いもの」
「お母さん」
「何よ」
「江利花だって、買い物に行くわ」
「静。あの子は、自分で者を買ったこと無いのよ」
「何言ってんの?」
「確かに、あの子は欲しいものを何一つ言わないな」
「お父さんまで…」
「だってあの子のものは全て、静が揃えてやっていただろ。
だから何を聞いても、必要ないと言っていたぞ」
「えっ!?兄さんまで、そんな事言うの?」
静は気が付いていなかった。
自分が妹で遊んでいたことが、まさか妹を家に閉じ込めていた事を。
そして今回、江利花を外に出してやろうと画策し、お使いを頼んだが時間が取れて自分が行けたことを黙ったまま二駅先まで行かせた事が、眼の前の肉片と関係あるということも気づかなかったのだ。
「失礼致します。DNAの確認が取れました。
ここにあるものが、松本江利花さんです。
特急にはねられましたので、ほぼ体は潰れております」
警察と消防、そして駅の管理者の確認の結果が、伝えられる。
「いやーーーーーーーッ」
静は叫び、否定の言葉を叫びながら大混乱。
母親は、ほーしん状態。
父親と雄一郎は、絶句していた。
一番最初に覚醒したのは、父親で
「何で娘は、そんなところに居たんですか?」
「どういうことでしょうか?」
「えっと…学校は事故にあった駅から、二駅分離れた場所にあるんです。
学校と家を往復してるだけだと、思っておりましたので…」
「あぁ。少し調べたところ、お嬢さんは
この駅の近くにある洋服店に寄っていたようです。
そこからの帰りに、事故にあったと考えられます」
「洋服、店…静、お前まさか」
雄一郎がなにかに気付いたように、そう言った。
「知らない。知らないわ。私は何も…」
「店主から聞いてます。お姉さんの荷物を取りに来られたと」
「嘘よっ嘘、嘘つかないで。私はそんなの頼んでない」
「オヤジ、こいつだ。取りに行かせたんだ。二駅先まで」
「静っ、お前は何をっ」
そこからは、理由のわからない修羅場だった。
姉の頼みを聞いて、体が潰れる事故に合い、遺体となった末娘の前で、家族全員の罵り合いが始まった。
それを見ていた警察は呆れながら、まずは親を止める。
半狂乱の長女に、救急隊員が鎮静剤を打ち、母親とともに病院へ運んだ。
そして末娘の体は、長男の手によって火葬され家に帰った…
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