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第1話
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私は、松本江利花。
有名会社の社長を父に持ち、ある程度裕福な生活を送っていた。
1男2女のの末っ子だが、親が兄にしか興味を持たない為、姉が私をこき使うようになった。
「江利花!」
通学途中、突然車を横付けした姉に呼び止められる。
「はい」
「今日の学校帰りに、パラドックスから荷物を取ってきてほしいの」
「予約か、何かでしようか?」
「予約~…注文に決まってるでしょ。
私に似合うはずの服を、お願いしたの。
似合わなかったら、あなたにあげるわね」
姉はこうやって自分が注文した物を、人が居るところであげるという。
けれど、貰ったことのあるものはなく、買うものは全て数十万するものばかりだ。
そんな物、15の子供が貰ってもどうしようもないのだが、何も知らない人は当然羨ましがる。
けれど、パラドックスは二駅向こうのお店。
自分で取りに行ったほうが早いのだが、
「貴女は放課後、隙でしょ。
用事を作ってあげたのだから、感謝しなさい。じゃあ、よろしくね」
そう言って、車を出す姉。
「はぁ~…またか」
私は、仕方がないと思う、他何も出来ない。
姉・静は、我が家の長女なのだが、家が兄を構う分姉はほおっておかれた。
だから私が産まれると、直ぐに構いだし、自分が育てたのだと言いだした。
それから私は、何も言えない。
「私のお陰でアンタは生きてんだから」
とか
「私が面倒見無かったら、アンタ野垂れ死んでるよ」
とか言われると、私は覚えていないんだから、はいと言うしか無くなるのだ。
「また?」
私の幼馴染の明が、声を掛けてくる。
「えぇ。今度は二駅先に、行ってこいって」
「大変だね」
「仕方ないよ」
そんな話をしながら学校に行き、授業を受け、放課後二駅先の
パラドックスへと足を向けた。
「こんにちわ」
「あら、静の妹じゃん。どした?」
「えっと、姉から荷物を取ってきてと言われて…」
「えっ!?静、自分で取りに来たよ」
「…そう、ですか」
「大丈夫?学校からここまで、歩いてきたんだよね」
「電車使ってますから、大丈夫ですよ」
「あっ、そっか。ごめん」
「じゃあ、私帰りますね」
「静に伝えようか?」
「いいえ、大丈夫です。私の勘違いだったようですから」
そう言って店を出る。
やっぱり、なかった。
朝の頼み方は、物がなくても行けという頼み方だった。
だから無いだろうな、と分かっていてここに来た。ただの気分転換だ。
そうして、帰りの電車に乗るため駅のホームで待つ。
すると、小学生の団体が階段から降りてきて、点字ブロックの内側で話を始めた。
最初はいつものことだから気にしなかったのだが、ふと顔を上げると、一人の男の子が点字ブロックの外に押し出されもう、少しで落ちそうになっていた。
だから私は、その男の子を内側に引き込もうと近づいた。
その時
「3番ホームに電車が入ります。ご注意ください」
のアナウンスとともに、入ってくる音が響きだした。
やばい…
そう思った瞬間、その男の子の外側に足を進め、少しでも内側におそうとした時、ぐっと前から体を押された。
「「アッ!?」」
私と男の子の声が重なり、2人共ホームに落ちていく。
けれど私は両手で男の子を押し出した。
「お姉さんっ!?」
そう聞こえたと同時に、私の体は硬いものにぶつかり、その衝撃とともに意識がなくなる…
そのまま私は何も見えない状態で、何処かに漂っている感覚だった。
有名会社の社長を父に持ち、ある程度裕福な生活を送っていた。
1男2女のの末っ子だが、親が兄にしか興味を持たない為、姉が私をこき使うようになった。
「江利花!」
通学途中、突然車を横付けした姉に呼び止められる。
「はい」
「今日の学校帰りに、パラドックスから荷物を取ってきてほしいの」
「予約か、何かでしようか?」
「予約~…注文に決まってるでしょ。
私に似合うはずの服を、お願いしたの。
似合わなかったら、あなたにあげるわね」
姉はこうやって自分が注文した物を、人が居るところであげるという。
けれど、貰ったことのあるものはなく、買うものは全て数十万するものばかりだ。
そんな物、15の子供が貰ってもどうしようもないのだが、何も知らない人は当然羨ましがる。
けれど、パラドックスは二駅向こうのお店。
自分で取りに行ったほうが早いのだが、
「貴女は放課後、隙でしょ。
用事を作ってあげたのだから、感謝しなさい。じゃあ、よろしくね」
そう言って、車を出す姉。
「はぁ~…またか」
私は、仕方がないと思う、他何も出来ない。
姉・静は、我が家の長女なのだが、家が兄を構う分姉はほおっておかれた。
だから私が産まれると、直ぐに構いだし、自分が育てたのだと言いだした。
それから私は、何も言えない。
「私のお陰でアンタは生きてんだから」
とか
「私が面倒見無かったら、アンタ野垂れ死んでるよ」
とか言われると、私は覚えていないんだから、はいと言うしか無くなるのだ。
「また?」
私の幼馴染の明が、声を掛けてくる。
「えぇ。今度は二駅先に、行ってこいって」
「大変だね」
「仕方ないよ」
そんな話をしながら学校に行き、授業を受け、放課後二駅先の
パラドックスへと足を向けた。
「こんにちわ」
「あら、静の妹じゃん。どした?」
「えっと、姉から荷物を取ってきてと言われて…」
「えっ!?静、自分で取りに来たよ」
「…そう、ですか」
「大丈夫?学校からここまで、歩いてきたんだよね」
「電車使ってますから、大丈夫ですよ」
「あっ、そっか。ごめん」
「じゃあ、私帰りますね」
「静に伝えようか?」
「いいえ、大丈夫です。私の勘違いだったようですから」
そう言って店を出る。
やっぱり、なかった。
朝の頼み方は、物がなくても行けという頼み方だった。
だから無いだろうな、と分かっていてここに来た。ただの気分転換だ。
そうして、帰りの電車に乗るため駅のホームで待つ。
すると、小学生の団体が階段から降りてきて、点字ブロックの内側で話を始めた。
最初はいつものことだから気にしなかったのだが、ふと顔を上げると、一人の男の子が点字ブロックの外に押し出されもう、少しで落ちそうになっていた。
だから私は、その男の子を内側に引き込もうと近づいた。
その時
「3番ホームに電車が入ります。ご注意ください」
のアナウンスとともに、入ってくる音が響きだした。
やばい…
そう思った瞬間、その男の子の外側に足を進め、少しでも内側におそうとした時、ぐっと前から体を押された。
「「アッ!?」」
私と男の子の声が重なり、2人共ホームに落ちていく。
けれど私は両手で男の子を押し出した。
「お姉さんっ!?」
そう聞こえたと同時に、私の体は硬いものにぶつかり、その衝撃とともに意識がなくなる…
そのまま私は何も見えない状態で、何処かに漂っている感覚だった。
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