8 / 168
第8話
しおりを挟む
私はその日から、家族全体に構われるようになった。
朝起きて、姉の着せ替えとなり、兄が迎えに来て一緒にダイニングへと向かう。
家族全員で朝食を取り、兄と姉は勉強に向かう。
私から離れない姉を、兄が抱え、
「おねぇちゃま、がんばっちぇくらはい」
と私が言うまで、格闘している。
私に頑張れと言われた姉は、スイッチが入ったかのようにしっかりして
「お兄様、行きますわよ」
と、兄を置いて先に行ってしまう。
その後
「おにいちゃま、いちゅもおちゅかれさまでしゅ。がんばっちぇ」
と言うと
「ありがとう。勉強頑張ってくるね」
と言って兄は部屋に戻っていくのだ。
そんな2人を見送った後、私は何故か父の膝の上に座らせられ、2つ目のデザートを母にあーんされながら食べている。
「やーん、可愛い。こんなに可愛い時期を見逃すなんて…信じられないわ」
「本当だね。あんな訳のわからない事をしでかした候爵に、講義しておこうか?」
「そうですわね。
私達は出来るだけ、子育てに専念したいと伝えていたにも関わらず
やってくれましたからねぇ」
「こうちゃくってなぁに?」
私は知らない言葉に反応し聞いてみた。
「そんな言葉も、気になるのか?ミシェルは」
「身分は難しいのよ。ミシェルはもう少し大きくなってからにしましょう」
「やっ。ちってる。だんちゃく、しちゃく、はくちゃく」
「まぁ、誰に教わったの?」
「おにいちゃまと、おねえちゃま」
「じゃあ伯爵の上は?」
「こうちゃく?」
「そうだよ。でもね、こうしゃくは二種類ある」
「ふたちゅ?」
「そう、2つある。
簡単に言うと王族の血縁の公爵と、その縁戚の侯爵だ」
「わたちの、おうちは?」
「家は公爵。ミシェルのお祖母様が、先王陛下の一番下の妹だ」
は!?私公爵令嬢なの?
その後、私は固まった。自分が公爵令嬢ということは、大きくなったら皆の手本になる存在になるということだ。
その席の重さを考えた時、これから始まるであろう教養やマナーの勉強が地獄になるだろうと予想した。
また、さっき送り出した兄と姉の勉強の時間が、自分にも取られるものだと思うと少し憂鬱になった。
「ミシェル、どうしたの?何でそんなに悲しい顔してるの?」
「私が、難しい事を言ったからか?
今はそんな事忘れていいから、笑顔を見せてくれないか?」
「そうよ、ミシェル。お父様はこれからお仕事なのよ。
そんな顔見せたら、気になって仕事が手につかないわ」
母にそう言われ、そのとおりだと思って顔を上げると、私の頭の上に今にも泣きそうな父の顔があった。
「おとうちゃま、らいじょうぶよ。おとうちゃま、わるくない」
「ミシェル~」
朝起きて、姉の着せ替えとなり、兄が迎えに来て一緒にダイニングへと向かう。
家族全員で朝食を取り、兄と姉は勉強に向かう。
私から離れない姉を、兄が抱え、
「おねぇちゃま、がんばっちぇくらはい」
と私が言うまで、格闘している。
私に頑張れと言われた姉は、スイッチが入ったかのようにしっかりして
「お兄様、行きますわよ」
と、兄を置いて先に行ってしまう。
その後
「おにいちゃま、いちゅもおちゅかれさまでしゅ。がんばっちぇ」
と言うと
「ありがとう。勉強頑張ってくるね」
と言って兄は部屋に戻っていくのだ。
そんな2人を見送った後、私は何故か父の膝の上に座らせられ、2つ目のデザートを母にあーんされながら食べている。
「やーん、可愛い。こんなに可愛い時期を見逃すなんて…信じられないわ」
「本当だね。あんな訳のわからない事をしでかした候爵に、講義しておこうか?」
「そうですわね。
私達は出来るだけ、子育てに専念したいと伝えていたにも関わらず
やってくれましたからねぇ」
「こうちゃくってなぁに?」
私は知らない言葉に反応し聞いてみた。
「そんな言葉も、気になるのか?ミシェルは」
「身分は難しいのよ。ミシェルはもう少し大きくなってからにしましょう」
「やっ。ちってる。だんちゃく、しちゃく、はくちゃく」
「まぁ、誰に教わったの?」
「おにいちゃまと、おねえちゃま」
「じゃあ伯爵の上は?」
「こうちゃく?」
「そうだよ。でもね、こうしゃくは二種類ある」
「ふたちゅ?」
「そう、2つある。
簡単に言うと王族の血縁の公爵と、その縁戚の侯爵だ」
「わたちの、おうちは?」
「家は公爵。ミシェルのお祖母様が、先王陛下の一番下の妹だ」
は!?私公爵令嬢なの?
その後、私は固まった。自分が公爵令嬢ということは、大きくなったら皆の手本になる存在になるということだ。
その席の重さを考えた時、これから始まるであろう教養やマナーの勉強が地獄になるだろうと予想した。
また、さっき送り出した兄と姉の勉強の時間が、自分にも取られるものだと思うと少し憂鬱になった。
「ミシェル、どうしたの?何でそんなに悲しい顔してるの?」
「私が、難しい事を言ったからか?
今はそんな事忘れていいから、笑顔を見せてくれないか?」
「そうよ、ミシェル。お父様はこれからお仕事なのよ。
そんな顔見せたら、気になって仕事が手につかないわ」
母にそう言われ、そのとおりだと思って顔を上げると、私の頭の上に今にも泣きそうな父の顔があった。
「おとうちゃま、らいじょうぶよ。おとうちゃま、わるくない」
「ミシェル~」
40
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
マジメにやってよ!王子様
猫枕
恋愛
伯爵令嬢ローズ・ターナー(12)はエリック第一王子(12)主宰のお茶会に参加する。
エリックのイタズラで危うく命を落としそうになったローズ。
生死をさまよったローズが意識を取り戻すと、エリックが責任を取る形で両家の間に婚約が成立していた。
その後のエリックとの日々は馬鹿らしくも楽しい毎日ではあったが、お年頃になったローズは周りのご令嬢達のようにステキな恋がしたい。
ふざけてばかりのエリックに不満をもつローズだったが。
「私は王子のサンドバッグ」
のエリックとローズの別世界バージョン。
登場人物の立ち位置は少しずつ違っています。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
村で薬師として過ごしていたセラは、
ハープの音に宿る才を王弟レオに見初められる。
その出会いは、静かな日々を終わらせ、
彼女を王宮の闇と陰謀に引き寄せていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる