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第9話
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私は両手を伸ばし、父のほっぺに手を当ててグリグリ回す。
「ミ゙、ミシェル?にゃにを」
キャハハッ…
おかしな顔になり、口を引っ張ったことで変な言葉を使う父を見た私は楽しくなった。
楽しくなってその場で、一生懸命体を伸ばし、父の顔をぐりぐりする。
ププッ…ニッヒッヒッ…キャハッ
私はずっと笑っていた。
すると
「ふふっ…お顔が面白いのね。ミシェル」
と、母が声を掛ける。
「あいっ」
「楽しそうね」
「たのちい」
「君達は俺を、おもちゃにしているのかな?」
と言って、ニッコリと笑う父を見た瞬間、やばいとは思ったがもう遅かった。
父は、膝上の私とその横に座っていた母を、まとめてギューッと抱きしめた。
「「きゃーーッ」」
父の耳の近くで大きな声で叫ぶと、父は直ぐに手を離し耳をふさぐ。
その間に母に飛びつき、父の膝の上から逃げると父はしまった…と言う顔をした。
「逃げられてしまった…」
「旦那様。お時間になります」
「そうか。時間的には丁度か」
「はい」
執事長にそう言われると、父は少しさみしそうな顔をしつつ席を立つ。
母はそれを見て、私を抱っこしたまま立ち上がった。
「見送りはここで良いよ」
「ですが…」
「仕事に行ってくる。ミシェルを頼むよ」
「はい。お任せください」
そうして父と母は、私を抱っこしたままキスをした。
私は咄嗟に、顔を隠す。
「チュッ…チュッ…」
と音が聞こえ、その後
「ミシェル、行ってくるよ」
と父の声がして顔を上げると、もう少しは慣れた場所に背中が見えた。
「おとうちゃま、おしおとがんばって」
そう言うと、振り向き片手を上げ
「頑張っ来るよ」
と言って、スキップでもしそうな勢いで仕事に向かった。
それから母と一緒にお部屋で遊び、お昼を食べれば眠たくなって昼寝をし…そんなこんなしていると、兄と姉が私の部屋に顔を出し、夕方から遊ぶ。
そして、父が仕事から帰ってきて皆で夕食を取り、兄と姉の勉強の内容や今日一日あったことの話を聞いて、父と母がそれに対して質問したり褒めたりしているのを眺めたりした。
本当にうちの家族は仲が良く、家にいる時は何かしら話しているので、私はそれを聞きながら沢山の事を学んだ。
沢山学んで疲れた頭は、家族が寝るよりかなり早く、限界を迎える。
「あっ、ミシェルが眠そうにしてる」
「ホントだ」
「今日もたくさん遊んだわ。だから疲れたのね」
「ミシェル。ゆっくりお休み…また明日」
「「おやすみ。ミシェル」」
母に抱っこされたまま、おやすみと言われた私は、返事をする気力もなく寝落ちていく…
「おやすみなさい。ミシェル」
ベットに寝かされ、母の優しい声に導かれて…眠りにつく。
1日が、そうして終わっていく。
前世とは違う生活に、私は幸せを感じていた。
だから毎日、このままの生活が続くことを願いながら眠った。
それから毎日を快適に過ごし、気がつけば5年という歳月が経っていた。
「ミ゙、ミシェル?にゃにを」
キャハハッ…
おかしな顔になり、口を引っ張ったことで変な言葉を使う父を見た私は楽しくなった。
楽しくなってその場で、一生懸命体を伸ばし、父の顔をぐりぐりする。
ププッ…ニッヒッヒッ…キャハッ
私はずっと笑っていた。
すると
「ふふっ…お顔が面白いのね。ミシェル」
と、母が声を掛ける。
「あいっ」
「楽しそうね」
「たのちい」
「君達は俺を、おもちゃにしているのかな?」
と言って、ニッコリと笑う父を見た瞬間、やばいとは思ったがもう遅かった。
父は、膝上の私とその横に座っていた母を、まとめてギューッと抱きしめた。
「「きゃーーッ」」
父の耳の近くで大きな声で叫ぶと、父は直ぐに手を離し耳をふさぐ。
その間に母に飛びつき、父の膝の上から逃げると父はしまった…と言う顔をした。
「逃げられてしまった…」
「旦那様。お時間になります」
「そうか。時間的には丁度か」
「はい」
執事長にそう言われると、父は少しさみしそうな顔をしつつ席を立つ。
母はそれを見て、私を抱っこしたまま立ち上がった。
「見送りはここで良いよ」
「ですが…」
「仕事に行ってくる。ミシェルを頼むよ」
「はい。お任せください」
そうして父と母は、私を抱っこしたままキスをした。
私は咄嗟に、顔を隠す。
「チュッ…チュッ…」
と音が聞こえ、その後
「ミシェル、行ってくるよ」
と父の声がして顔を上げると、もう少しは慣れた場所に背中が見えた。
「おとうちゃま、おしおとがんばって」
そう言うと、振り向き片手を上げ
「頑張っ来るよ」
と言って、スキップでもしそうな勢いで仕事に向かった。
それから母と一緒にお部屋で遊び、お昼を食べれば眠たくなって昼寝をし…そんなこんなしていると、兄と姉が私の部屋に顔を出し、夕方から遊ぶ。
そして、父が仕事から帰ってきて皆で夕食を取り、兄と姉の勉強の内容や今日一日あったことの話を聞いて、父と母がそれに対して質問したり褒めたりしているのを眺めたりした。
本当にうちの家族は仲が良く、家にいる時は何かしら話しているので、私はそれを聞きながら沢山の事を学んだ。
沢山学んで疲れた頭は、家族が寝るよりかなり早く、限界を迎える。
「あっ、ミシェルが眠そうにしてる」
「ホントだ」
「今日もたくさん遊んだわ。だから疲れたのね」
「ミシェル。ゆっくりお休み…また明日」
「「おやすみ。ミシェル」」
母に抱っこされたまま、おやすみと言われた私は、返事をする気力もなく寝落ちていく…
「おやすみなさい。ミシェル」
ベットに寝かされ、母の優しい声に導かれて…眠りにつく。
1日が、そうして終わっていく。
前世とは違う生活に、私は幸せを感じていた。
だから毎日、このままの生活が続くことを願いながら眠った。
それから毎日を快適に過ごし、気がつけば5年という歳月が経っていた。
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