私の存在

戒月冷音

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第24話

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お伺いを立てて数日後、側妃様とマルクス様から承諾の連絡が入り、その5日後の休日に行くことになった。

私はその日までに、マルクス様に渡すものを考える。
あの時の話だと、2000年まで日本に居た。
ということはこっちで、日本のお菓子が作れたら喜ぶかもしれない。
私はそう考え、厨房にお邪魔した。

「すみません」
「あらお嬢様。こんな所になにか御用ですか?」
「えっと、何時もお菓子を作ってくれている方は居ますか?」
「お菓子?あぁ、デザートのことですね」
「あっ、そうです」
「えっと…あっ、居た。ルーク」
「は、はいっ」
「ミシェルお嬢様が、聞きたいことがあるみたい」
「どうされたんですか?」
「あの、私でも作れる簡単なお菓子って、ないかな?」
「えっと…お嬢様が、作るんですか?」
「はい。いっぱい、お話をしてくださったお礼に…駄目ですか?」
「いいえ。ダメではないのですが、奥様は知っておられますか?」
「私が作れるものがあるなら、お母様に許可をもらって作りたいなぁ…と」
「でしたら…クッキーか、カップケーキ…あ、材料があれば、
 フィナンシェとかどうですか?」
「そんなにあるの?」
「もちろん、私達もお手伝いいたしますよ」
話を聞いていた他の料理人さんたちも、そう言ってくれた。
「じゃ、じゃあ、お母様に言ってきます。
 ちょっとだけ、待っててください」
「分かりました。準備はしておきますね」
「ありがとう」
私はお礼を言って、急いでお母様の部屋に向かった。


コンコン…
「だあれ?」
「お母様、ミシェルです。入ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「失礼します」
私は部屋に入ってすぐ、お母様の前に立つ。
横には、お父様が居た。
「どうしたんだ?そんなに慌てて」
「お母様、私にお菓子を作らせてください」
「「?」」
私の言葉に、お母様とお父様が首を傾げた。
「あっ、あの、マルクス様にお菓子を作って持っていきたいの」
「えっ!?マルクス様に?」
「はい。この前のお茶会の時二人でお話した時、お菓子の話をしたの。
 そのお菓子を持っていけば、喜んでくださるかな?と思って…」
「それは、料理人に頼んでは、ダメなのか?」
「お父様。料理人は、私達のために作ってくれるの。
 だから美味しいの」
「そうよね…
 ミシェルは、マルクス様のためのお菓子を、自分が作りたいのね」
「はいっ」
私は返事とともに、コクンと頷いた。

「いいわ。やってご覧なさい。
 た・だ・し…
 料理長の注意は、よく聞くこと。
 危ないことは、しないこと。
 そこは守ってね。怪我をしたりしたら、二度とさせないわよ」
「分かりました」
その後、お母様とお父様と一緒に調理場に行き、お菓子作りを許可します…とお母様が料理長に伝えた。
それから私は、沢山のお菓子を作り出した。
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