32 / 168
第32話
しおりを挟む
「お、お母様。今の方は?」
「こめんなさいね。先に確認しておかないといけない事だったから…」
「それは、理解できましたが…」
「今のは我が家の影。
一桁の人数しかいないけど、優秀な方々よ。
さっきの方は、キリアという名で私専属。お父様にも専属がいるわ」
「そうなのですね」
「後回しにしてしまって、ごめんなさい。何かお話があったのでしょ?」
「えっと…カリス様の事だったので、ちょうどよかったかと…」
私は昨日マルクス様と話した事をお母様に伝えた。
「そう…マルクス様にも、ある程度の情報は入っていたのね」
「はい。心配はしておられました。
けれど、それ以上手を出すことは出来ないとも、言っておられました」
「確かに。気には出来ても手を貸したら王妃の手がまた、側妃様に伸びるわ。
マルクス様は、それを考えたのね」
「はい」
「本当に頭の回る方だわ」
お母様たちは知らないから、15の子供が…と思うのだろう。
けれど実際は、53歳まで生きた記憶のある男性。
私から見れば、年の功とも言える。
「ミシェルは聞いていたのだから分かって入ると思うけど、話しておくわね。
数日後に、離れに来られるわ」
「あの…一つ、確認したいのですが…」
「なぁに?」
「カリス様の、ご実家の爵位は?」
「伯爵よ」
「では、そんなにかしこまる必要はない?でもお母様の話し方は…」
「私は、王妃様を基準にしてしまうから、こうなってしまうのだけれど、
貴方達は、普通でいいと思うわ」
お母様の言葉に少し悩んだ私は、もし話すことがあったら、お母様と同じ様に話そうと思った。
第一王子と気が合わなかった…
確か、第一王子殿下はマルクス様より、おっとりした方だったと記憶している。
カリス様は、王妃様よりきつい性格なのかしら…
そんな事を考えていると
「カリス様は、ちっちゃな女王様みたいな性格よ」
と、お母様がポロッと教えてくれた。
「ちっちゃな、女王様?」
「そう。最後に生まれた女の子だから、望む分だけ構い倒していたら、
わがままを当たり前と、思うようになったそうよ」
「そうよ…ってお母様。どなたかに聞いたのですか?」
「その伯爵家の夫人は、私の義妹の友達なの。この情報は義妹からよ」
「叔母様から…ではエリス様は?」
「あの子は変に、王妃様を崇拝してしまっていて…
多分第一王子の前で、いかに王妃様が有能で美人でお優しいかというのを
淡々と説明したのでしょう」
それは、嫌われて当たり前の事。
第一王子殿下は、王妃様の圧が怖いと言っていたらしいから。
同じ圧を出して、母親を褒め称えられたら、口も効かなくなるでしょう。
「そんな感じだから、もしかしたらエリス様も来るかも」
私とお母様ははーーーっ…と息を吐いて、これからのことを憂鬱に思った。
「こめんなさいね。先に確認しておかないといけない事だったから…」
「それは、理解できましたが…」
「今のは我が家の影。
一桁の人数しかいないけど、優秀な方々よ。
さっきの方は、キリアという名で私専属。お父様にも専属がいるわ」
「そうなのですね」
「後回しにしてしまって、ごめんなさい。何かお話があったのでしょ?」
「えっと…カリス様の事だったので、ちょうどよかったかと…」
私は昨日マルクス様と話した事をお母様に伝えた。
「そう…マルクス様にも、ある程度の情報は入っていたのね」
「はい。心配はしておられました。
けれど、それ以上手を出すことは出来ないとも、言っておられました」
「確かに。気には出来ても手を貸したら王妃の手がまた、側妃様に伸びるわ。
マルクス様は、それを考えたのね」
「はい」
「本当に頭の回る方だわ」
お母様たちは知らないから、15の子供が…と思うのだろう。
けれど実際は、53歳まで生きた記憶のある男性。
私から見れば、年の功とも言える。
「ミシェルは聞いていたのだから分かって入ると思うけど、話しておくわね。
数日後に、離れに来られるわ」
「あの…一つ、確認したいのですが…」
「なぁに?」
「カリス様の、ご実家の爵位は?」
「伯爵よ」
「では、そんなにかしこまる必要はない?でもお母様の話し方は…」
「私は、王妃様を基準にしてしまうから、こうなってしまうのだけれど、
貴方達は、普通でいいと思うわ」
お母様の言葉に少し悩んだ私は、もし話すことがあったら、お母様と同じ様に話そうと思った。
第一王子と気が合わなかった…
確か、第一王子殿下はマルクス様より、おっとりした方だったと記憶している。
カリス様は、王妃様よりきつい性格なのかしら…
そんな事を考えていると
「カリス様は、ちっちゃな女王様みたいな性格よ」
と、お母様がポロッと教えてくれた。
「ちっちゃな、女王様?」
「そう。最後に生まれた女の子だから、望む分だけ構い倒していたら、
わがままを当たり前と、思うようになったそうよ」
「そうよ…ってお母様。どなたかに聞いたのですか?」
「その伯爵家の夫人は、私の義妹の友達なの。この情報は義妹からよ」
「叔母様から…ではエリス様は?」
「あの子は変に、王妃様を崇拝してしまっていて…
多分第一王子の前で、いかに王妃様が有能で美人でお優しいかというのを
淡々と説明したのでしょう」
それは、嫌われて当たり前の事。
第一王子殿下は、王妃様の圧が怖いと言っていたらしいから。
同じ圧を出して、母親を褒め称えられたら、口も効かなくなるでしょう。
「そんな感じだから、もしかしたらエリス様も来るかも」
私とお母様ははーーーっ…と息を吐いて、これからのことを憂鬱に思った。
14
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
マジメにやってよ!王子様
猫枕
恋愛
伯爵令嬢ローズ・ターナー(12)はエリック第一王子(12)主宰のお茶会に参加する。
エリックのイタズラで危うく命を落としそうになったローズ。
生死をさまよったローズが意識を取り戻すと、エリックが責任を取る形で両家の間に婚約が成立していた。
その後のエリックとの日々は馬鹿らしくも楽しい毎日ではあったが、お年頃になったローズは周りのご令嬢達のようにステキな恋がしたい。
ふざけてばかりのエリックに不満をもつローズだったが。
「私は王子のサンドバッグ」
のエリックとローズの別世界バージョン。
登場人物の立ち位置は少しずつ違っています。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
村で薬師として過ごしていたセラは、
ハープの音に宿る才を王弟レオに見初められる。
その出会いは、静かな日々を終わらせ、
彼女を王宮の闇と陰謀に引き寄せていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる