私の存在

戒月冷音

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第33話

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それからしばらくして、エリス様とカリス様が離れで生活すると、お父様から教えられた。

「それは何故ですか?」
お兄様はざっくりと理由を知っているが、お姉様は全く知らないので説明を求める。
「ハリエット。後でメリテッサから聞きなさい」
「? お兄様とミシェルは、聞かなくていいのですか?」
「すまない。俺は、マルクス様から聞いていた」
「お姉様。私は、お母様から聞きました。
 お部屋を訪ねた時にちょうど、その話をしていらして…」
「分かったわ。お母様、後ほどお願いします」
お母様が頷き、そのままお開きとなった。

お母様とお姉様は、場所を変えお話するらしく、私とお兄様とお父様は、お父様の執務室に向かった。
その道中
「ミシェルは、何かを聞きに母上の部屋に行ったのか?」
お兄様から質問された。
「えっと、お菓子を持ってマルクス様のお茶会に参加した時、
 マルクス様が言っていらしたんです」
「何を?」
「王妃様が従兄弟を、第一王子様の候補にしようとしてるって。
 でも合わないから…って言われて」
「合わない?それは、相性がってこと?」
「多分そうだと思う。それを聞いて心配したの」
「何を?」
「その従兄弟の人、王妃様に捨てられるんじゃないかなって」
そう言った時、お父様がびっくりしたように私を見た。

「お父様?」
「ミシェル。どうして王妃様が捨てると思った?」
「…使えないから」
「つか…」
「王妃様の妹は、王妃様に反抗できない。
 だから、王妃様が使えないから要らないと言えば、実家も
 それに沿った動きをすると思いました」
「家から出すことも?」
「王妃様は時々実家に帰られます。
 その時に、そこに使えないと判断した人が居ることに、王妃様は耐えられない。
 そしてそれを、両親と兄妹は分かっています。だから取る行動は…」
「子供を勘当する…ということか?」
「そうなるのかな、と思いました」
「そうか…」

そして執務室に入ってすぐ
「ミシェル」
「はい」
「お前を、マルクス様の婚約者にという打診が来た」
そう言われた。
「父上。ハリエットではなく?」
「あぁ、ミシェルを名指しで」
「それは、どなたが言われたのでしょうか?」
「マルクス様本人から、ミシェルがいいと側妃様に言われたそうだ」
私は少し考えた。

私とマルクス様が揃えば、日本の技術や情報をある程度この国に持ち込めてしまう。
けれどそれをすれば、この世界はガラッと変わってしまう。
私は15迄の記憶しかないが、マルクス様は53年分の知識がある。
マルクス様は、それを表に出す気があるのだろうか?

そう考えた時私は
「お父様。私はもう一度マルクス様とお話したいです」
と言った。
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