私の存在

戒月冷音

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第34話

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「それは、もう一度話して本人にも確認したい…ということか?」
「はい。
 今の状況は、お父様が宰相様から側妃様の言われた言葉を聞いてきた状況です。
 ですがこれは、私とマルクス様の事。
 自分達で話して、決めるのが良いと私は思います」
「…それはそうだな。
 ミシェルとマルクス様が話し合って決めたことなら、誰も何も言えないだろう。
 分かった。数日後に、その場を設けていただこう」
「ありがとうございます」

その後私は自室に戻り、入浴してからベッドに腰掛ける。
何故、エリス様とかリス様がうちの離れに来た日に、打診が来るのだろう。
王妃様のご実家がバタバタしている時期に、第2王子の婚約者を決める話を、マルクス様がするだろうか。
あの時話していて笑ったのは、私が深く考えないように…そうされたような気がしていた
「誰かが…私をマルクス様に、当てようとしてる?」
ポロッと出た言葉は、私の思考をフル回転させる。

前世で姉は
「私の相手は、優秀でお金持ちじゃなきゃだめ。
 でもね、江利花の相手は、誰でも良いと思わない?
 私の言う事を聞いて、私に尽くしてくれそうな男を、江利花が捕まえてくれたら、
 困った時、私を助けてくれそう」
そう兄に言って居たのを、聞いた記憶がある。

もし、王妃様が同じ考えで、マルクス様の相手を選んだとしたら…

私は世間から見れば、ただの引きこもり。
何も知らず、親に守られたままの娘。
うまく利用できれば、自分にいいように動きそう。
無理なら力で押さえれば良い…
ぐらいだろうか。

王妃様と前世の姉を合わせると、こんな答えが出た。
これを、マルクス様に伝えて、どう考えるか聞いてみよう。
その思考の後、私はベッドに横たわる。
私はまだ、自分がどうしたいのかよくわからない。
けれど、自分と同じ状態のマルクス様が居ることが、私を安心させてくれるのは事実だ。

私一人が、2000年代の日本の記憶を持っていたら、流石におかしくなったかもしれない。
けれど私の他に、マルクス様も…そう思うだけで、ホッとする。
その上、マルクス様と日本の話をすること、で寂しかったような懐かしい感覚を、和らげることが出来るのは、本当にありがたいことなのだ。

そんな事を考えながら寝落ちた私は、少々ふしだらな夢を見てしまった。
離宮の中庭、久しぶりに会った私と、マルクス様が抱きしめ合い口付ける。
マルクス様に横抱きにされ、奥の方にあるガゼボに連れて行かれると、そのまま……


ガバァッと起きた私は、体中大汗をかき息も荒くボーゼンとした。
私…なんて夢を見たのかしら…
そのままベットから降りた私は、侍女が来る前に着替え終え、顔を洗って待っていた。
コンコン「お嬢様おはようございます」
そう言って入ってきた侍女は、着替え終わり椅子に座り、自分の入れた紅茶を飲んでいる私を見て、絶句した。
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