37 / 168
第41話
しおりを挟む
「本当に、ごめんね。前にも何か、言われたんだよね?」
マルクス様のお兄様に、そう言われるが私は何も言えない。
「兄上。先にお名前を…」
「あぁっ!?そう言う事か。ごめん。
俺の名前はヘンドリック。
ヘンドリック・エルディニア。マルクスの兄です」
「わ、私はミシェル・オーギュストです。
あの~…今日は何故、お兄様までおられるのでしょうか?」
私は挨拶とともに疑問をぶつけた。
するとその横から、側妃様が
「ずっとここで話すのもよくないので、中に入りましょう。
ヘンドリック様も、よろしいでしょうか?」
「ヘンリーで良いのに…」
「ご勘弁ください。私は…」
「分かったよ。では中に入ろう。君はその荷物を、大事に抱えててね」
ヘンドリック様は、私の荷物を持ってくれている男性に声をかけた。
「あ、出来るだけ傾けないでください。
寄ってしまったら、潰れてしまいますので…」
「分かりました。お任せください」
「有り難うございます」
私の礼にいいえと答え、私の後ろを歩いてくれる男性にも分けなければと思いながら、マルクス様とヘンドリック様が歩く後ろについて行った。
前回と同じかと思いきや、中庭のガゼボに通された。
ここは前回、最後にマルクス様が連れてきてくださった場所。
前回より花が咲き乱れ、とても明るい雰囲気だ。
「前に来られた時に、ここの花を気に入ってくださったと、マルクス聞いて」
「ありがとうございます」
私はお礼を言って、席につく。
その時
「ヘンドリック殿下」
「何だ?」
「カサンドラ・コーラル公爵令嬢様が、おいでになられました」
「約束してたか?」
ヘンドリック様はすぐに、侍従に確認する。
「いいえ。予定には入っておりません。ですが…」
「何かあるのか?」
「えっと、王妃様が…」
「あぁ~…そういう事か。ちょっと行ってくる」
そう言うとヘンドリック様は急いで玄関へと走っていく。
「側妃様。
ヘンドリック様は、コーラル公爵令嬢様と
婚約されていらっしゃるのでしょうか?」
「えぇ…」
「幼い頃から、ですか?」
「そうです。幼馴染だと聞いております」
「兄上は、カサンドラ様と5歳の時に婚約されたそうです」
「そうなのですね」
私は自分の荷物のことを忘れ、話していた。
「あの、この荷物は…どうされますか?」
不意に、運んでくれた男性が声をかけてくる。
私はビクッとした後、忘れていたことに気づき
「す、すみません。ずっと持っていただいていたのですね。
ありがとうございます」
すぐに受け取ると、横の席に置いた。
「あの~…それは?」
マルクス様が、気になって聞いてくる。
「これは…前回と同じ、おみあげです」
「えっ!?お菓子をまた、作ってきてくださったのですか?」
「はい。喜んでいただきましたから…」
そう言うとマルクス様は、泣きそうな顔をしたまま笑顔を見せてくれた。
マルクス様のお兄様に、そう言われるが私は何も言えない。
「兄上。先にお名前を…」
「あぁっ!?そう言う事か。ごめん。
俺の名前はヘンドリック。
ヘンドリック・エルディニア。マルクスの兄です」
「わ、私はミシェル・オーギュストです。
あの~…今日は何故、お兄様までおられるのでしょうか?」
私は挨拶とともに疑問をぶつけた。
するとその横から、側妃様が
「ずっとここで話すのもよくないので、中に入りましょう。
ヘンドリック様も、よろしいでしょうか?」
「ヘンリーで良いのに…」
「ご勘弁ください。私は…」
「分かったよ。では中に入ろう。君はその荷物を、大事に抱えててね」
ヘンドリック様は、私の荷物を持ってくれている男性に声をかけた。
「あ、出来るだけ傾けないでください。
寄ってしまったら、潰れてしまいますので…」
「分かりました。お任せください」
「有り難うございます」
私の礼にいいえと答え、私の後ろを歩いてくれる男性にも分けなければと思いながら、マルクス様とヘンドリック様が歩く後ろについて行った。
前回と同じかと思いきや、中庭のガゼボに通された。
ここは前回、最後にマルクス様が連れてきてくださった場所。
前回より花が咲き乱れ、とても明るい雰囲気だ。
「前に来られた時に、ここの花を気に入ってくださったと、マルクス聞いて」
「ありがとうございます」
私はお礼を言って、席につく。
その時
「ヘンドリック殿下」
「何だ?」
「カサンドラ・コーラル公爵令嬢様が、おいでになられました」
「約束してたか?」
ヘンドリック様はすぐに、侍従に確認する。
「いいえ。予定には入っておりません。ですが…」
「何かあるのか?」
「えっと、王妃様が…」
「あぁ~…そういう事か。ちょっと行ってくる」
そう言うとヘンドリック様は急いで玄関へと走っていく。
「側妃様。
ヘンドリック様は、コーラル公爵令嬢様と
婚約されていらっしゃるのでしょうか?」
「えぇ…」
「幼い頃から、ですか?」
「そうです。幼馴染だと聞いております」
「兄上は、カサンドラ様と5歳の時に婚約されたそうです」
「そうなのですね」
私は自分の荷物のことを忘れ、話していた。
「あの、この荷物は…どうされますか?」
不意に、運んでくれた男性が声をかけてくる。
私はビクッとした後、忘れていたことに気づき
「す、すみません。ずっと持っていただいていたのですね。
ありがとうございます」
すぐに受け取ると、横の席に置いた。
「あの~…それは?」
マルクス様が、気になって聞いてくる。
「これは…前回と同じ、おみあげです」
「えっ!?お菓子をまた、作ってきてくださったのですか?」
「はい。喜んでいただきましたから…」
そう言うとマルクス様は、泣きそうな顔をしたまま笑顔を見せてくれた。
15
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
マジメにやってよ!王子様
猫枕
恋愛
伯爵令嬢ローズ・ターナー(12)はエリック第一王子(12)主宰のお茶会に参加する。
エリックのイタズラで危うく命を落としそうになったローズ。
生死をさまよったローズが意識を取り戻すと、エリックが責任を取る形で両家の間に婚約が成立していた。
その後のエリックとの日々は馬鹿らしくも楽しい毎日ではあったが、お年頃になったローズは周りのご令嬢達のようにステキな恋がしたい。
ふざけてばかりのエリックに不満をもつローズだったが。
「私は王子のサンドバッグ」
のエリックとローズの別世界バージョン。
登場人物の立ち位置は少しずつ違っています。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
村で薬師として過ごしていたセラは、
ハープの音に宿る才を王弟レオに見初められる。
その出会いは、静かな日々を終わらせ、
彼女を王宮の闇と陰謀に引き寄せていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる