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第28話
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はあ。大変な噂になってるわ。
たぶんフランシスク様は気付いていない様子。
そもそも、私が在籍する伯爵家クラスはフランシスク様の味方だから彼に噂が届かない様にしている。
フランシスク様が葬儀参列したのは事実。でもあのタイミングで噂を流したのは、アンナしかいない。
ユゲット嬢が知っていたなら、前の噂の時に流しただろうから。
噂を流されたタイミングが悪かったわ。
婚約が解消され、私がフランシスク様の馬車に乗った次の日だもの。
アンナが、噂通りにフランシスク様が葬儀に参列していたと言えば、皆が確証を得る。
そもそも本当の事だけど。
そして、婚約が解消されてすぐに、フランシスク様が私の家に通い詰めているのも事実だから否定できないし、アンナも彼が来ていると肯定しているはず。
たった数日で、ユゲット嬢とフランシスク様が婚約破棄になるように、私が手を回した事になってしまっていた。
この噂は下級生の間に広まっている様で、白い目で見ているのは下級生が多い。
後は、アンナのクラスメイトかしらね。
昨年までは、アンナと私が従姉妹だと知らなかったのに、知れ渡っていた。
「グリンマトル令嬢、少し大切なお話がありますの」
「はい……」
子爵家クラスのご令嬢達が、怖い顔で話しかけて来た。
とりあえず聞いておきましょう。
「グリンマトル令嬢、あなたに婚約者がいというの本当の事かしら」
「はい」
「まあ。では、マスティラン様があなたの家業を手伝っているのも本当なのかしら」
「はい……」
嘘ではない。だから否定できないのよね。
でもその理由までは、誓約書に関わるから言えないのよね。
他人に誓約書の事を言うのはご法度。だからこそ、今回の事は厄介なのよ。
「酷いですわ! 事故でご両親がお亡くなりになったのは気の毒とは思いますが、マスティラン様のせいではありませんわ。タダ働きさせているというのではありませんか!」
「え!」
なぜそんな事まで知っているの?
私の家に来ている事を見た者がいるだろうし、アンナに確認すればわかる事だとは言え、タダ働きをしているかなど聞いてくるはずもない。
つまり、アンナから言わないとそういう噂は流れないわ。
どういうつもりなのよ!
「一学年に弟がおりますの。今、あなたの話で持ち切りだそうよ。従姉妹の家族があなたの為に一緒に住んでくれているそうね。その従姉妹を脅し、婚約者を押し付けているとか」
「そんな事をしていないわ!」
「嘘をおっしゃい。マスティラン様が来るからと彼女はすぐに家に帰れず、不憫に思った婚約者がマスティラン様が帰るまで彼女と一緒にいてあげていると聞いたわ」
なんでそんなデタラメな噂まで流れているのよ。
他の事が事実だけに、それだけが事実ではないと言っても信用されないじゃない。
「気持ちはわからなくもないわ。伯爵令嬢でいれるかどうかの瀬戸際ですものね」
「え?」
「マスティラン様を傀儡しようとしているのでしょうけど」
「どういう意味ですか?」
「薬師が家業だとか。卒業後に学校に通うとなれば、多額の資金が必要よね。その資金はどうやって調達するおつもりかしら?」
そういう事か。
一般的には、貴族学園を卒業後に資格を取る為に学校に通う。私が、既に卒業して資格を持っているなんて知らないものね。
もし彼女の言う状況になっていれば、親戚のウルミーシュ子爵家か婚約者の家から借りる事になる。
けど、従姉妹であるアンナもいるのに、子爵家が二人分を出すのは難しい。と思ったわけか。
というか、そんな家庭の事情、彼女達に関係ないじゃない。
「ご心配頂けるなんて、お優しい方なのですね」
「はい? あなたの心配などしていないわ。マスティラン様を心配しておりますのよ」
「そうですか。よくお考えになって。マスティラン様にタダ働きをさせて、その浮いたお金を学費に回す? そんなまどろっこしい事をせずとも、直接マスティラン領主に、資金の提供をお願いした方がよいでしょう。タダ働きをさせるという発想は、一体どこからでたのでしょうか」
「え……」
子爵令嬢達は、ハッとした様子をみせた。
ずっと肯定していたから、噂が全部本当だと思ったのね。でも考えてみれば、フランシスク様がそんな事を了承するわけがないという事に気が付いた。
まあ、本当はなぜかタダ働きしているのだけどね。
たぶんフランシスク様は気付いていない様子。
そもそも、私が在籍する伯爵家クラスはフランシスク様の味方だから彼に噂が届かない様にしている。
フランシスク様が葬儀参列したのは事実。でもあのタイミングで噂を流したのは、アンナしかいない。
ユゲット嬢が知っていたなら、前の噂の時に流しただろうから。
噂を流されたタイミングが悪かったわ。
婚約が解消され、私がフランシスク様の馬車に乗った次の日だもの。
アンナが、噂通りにフランシスク様が葬儀に参列していたと言えば、皆が確証を得る。
そもそも本当の事だけど。
そして、婚約が解消されてすぐに、フランシスク様が私の家に通い詰めているのも事実だから否定できないし、アンナも彼が来ていると肯定しているはず。
たった数日で、ユゲット嬢とフランシスク様が婚約破棄になるように、私が手を回した事になってしまっていた。
この噂は下級生の間に広まっている様で、白い目で見ているのは下級生が多い。
後は、アンナのクラスメイトかしらね。
昨年までは、アンナと私が従姉妹だと知らなかったのに、知れ渡っていた。
「グリンマトル令嬢、少し大切なお話がありますの」
「はい……」
子爵家クラスのご令嬢達が、怖い顔で話しかけて来た。
とりあえず聞いておきましょう。
「グリンマトル令嬢、あなたに婚約者がいというの本当の事かしら」
「はい」
「まあ。では、マスティラン様があなたの家業を手伝っているのも本当なのかしら」
「はい……」
嘘ではない。だから否定できないのよね。
でもその理由までは、誓約書に関わるから言えないのよね。
他人に誓約書の事を言うのはご法度。だからこそ、今回の事は厄介なのよ。
「酷いですわ! 事故でご両親がお亡くなりになったのは気の毒とは思いますが、マスティラン様のせいではありませんわ。タダ働きさせているというのではありませんか!」
「え!」
なぜそんな事まで知っているの?
私の家に来ている事を見た者がいるだろうし、アンナに確認すればわかる事だとは言え、タダ働きをしているかなど聞いてくるはずもない。
つまり、アンナから言わないとそういう噂は流れないわ。
どういうつもりなのよ!
「一学年に弟がおりますの。今、あなたの話で持ち切りだそうよ。従姉妹の家族があなたの為に一緒に住んでくれているそうね。その従姉妹を脅し、婚約者を押し付けているとか」
「そんな事をしていないわ!」
「嘘をおっしゃい。マスティラン様が来るからと彼女はすぐに家に帰れず、不憫に思った婚約者がマスティラン様が帰るまで彼女と一緒にいてあげていると聞いたわ」
なんでそんなデタラメな噂まで流れているのよ。
他の事が事実だけに、それだけが事実ではないと言っても信用されないじゃない。
「気持ちはわからなくもないわ。伯爵令嬢でいれるかどうかの瀬戸際ですものね」
「え?」
「マスティラン様を傀儡しようとしているのでしょうけど」
「どういう意味ですか?」
「薬師が家業だとか。卒業後に学校に通うとなれば、多額の資金が必要よね。その資金はどうやって調達するおつもりかしら?」
そういう事か。
一般的には、貴族学園を卒業後に資格を取る為に学校に通う。私が、既に卒業して資格を持っているなんて知らないものね。
もし彼女の言う状況になっていれば、親戚のウルミーシュ子爵家か婚約者の家から借りる事になる。
けど、従姉妹であるアンナもいるのに、子爵家が二人分を出すのは難しい。と思ったわけか。
というか、そんな家庭の事情、彼女達に関係ないじゃない。
「ご心配頂けるなんて、お優しい方なのですね」
「はい? あなたの心配などしていないわ。マスティラン様を心配しておりますのよ」
「そうですか。よくお考えになって。マスティラン様にタダ働きをさせて、その浮いたお金を学費に回す? そんなまどろっこしい事をせずとも、直接マスティラン領主に、資金の提供をお願いした方がよいでしょう。タダ働きをさせるという発想は、一体どこからでたのでしょうか」
「え……」
子爵令嬢達は、ハッとした様子をみせた。
ずっと肯定していたから、噂が全部本当だと思ったのね。でも考えてみれば、フランシスク様がそんな事を了承するわけがないという事に気が付いた。
まあ、本当はなぜかタダ働きしているのだけどね。
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